インターネットモニタリングブログ | アディッシュ

子供を守るスマホ・フィルタリング

スマートフォン対応 新しいフィルタリングサービス

通話だけでなく、いつでもインターネットにアクセスでき、動画・音楽・ゲームも楽しめる「スマートフォン(スマホ)」は、この1~2年で爆発的に普及しました。今や小中学生・高校生も、自分のデバイスを持ったり、両親のものを借りたりして、スマホに慣れ親しんでいます。

【下記参照】青少年の携帯電話の所有率及び所有機種(平成24年度 青少年のインターネット利用環境実態調査/内閣府)

しかし、容易にインターネットへアクセスできるということは、子どもたちがネットの脅威にさらされるということです。アダルトや暴力的なサイトだけでなく、サイバー犯罪者が普通のものに見せかけた攻撃用サイトなどもあり、十分な知識がないと対処できないケースが多々あります。

そこで携帯電話事業者各社は、スマホ向けの「フィルタリングサービス」を新たにリリースしたり、従来のサービスへ機能を追加したりしています。

NTTDoCoMo あんしんモード http://www.nttdocomo.co.jp/service/safety/anshin_mode/
KDDI 安心アクセス for Android http://www.au.kddi.com/mobile/service/smartphone/safety/anshin-access/
SoftBank スマホ安心サービス http://www.softbank.jp/mobile/service/sp_safety/

これらは単なるWEBブラウザのフィルタリングにとどまらず、スマホの各種機能やアプリの使用制限も掛けられる多機能なセキュリティサービスを提供しています。いずれも、子どもの学齢に応じたフィルタリングレベル設定や閲覧・使用可否の選択が可能で、家族のポリシーに合わせて任意に変更できます。

スマホ普及とアプリ活用による新たな課題も…

もともと従来の携帯電話(フィーチャーフォン)においても、フィルタリングサービスが提供されていました。2007年末の総務大臣要請によって「青少年が利用する携帯電話にはフィルタリングの利用を原則とする」という方針が打ち出されました。その後、第三者機関による公平な審査と運用監視が必要とされ、モバイルコンテンツ審査・運用機構(EMA)が設立されました。

09年4月には、「青少年インターネット環境整備法」が施行され、フィルタリング機能の提供がサービス事業者に義務化されました。その結果、13年1月に内閣府が発表した調査結果によると、3G携帯電話網においては小学生では76.5%、中学生は69%がフィルタリングを利用しており、ある程度普及したと言えます。

【下記参照】フィルタリング利用率(携帯電話等)(平成24年度 青少年のインターネット利用環境実態調査/内閣府)

しかし、スマホの普及によって、新たな問題が発生しました。

スマホには、無線LANの機能が搭載されていることが一般的です。携帯電話各社も携帯電話網の混雑を回避するため、できるだけ無線LANを利用するようにホットスポットサービスや接続アプリなどを提供しています。

ところが無線LAN接続の場合は、事業者が提供する携帯電話回線を介さないため、フィルタリングを適用できません。「青少年インターネット環境整備法」(17~19条)においても、無線LAN接続については、いずれの事業者もフィルタリングの提供義務を持たないと解釈できます。

またスマホでは、さまざまなアプリを用いてインターネットへ接続することができます。アプリの仕様によっては、事業者のフィルタリングによるアクセス制限が困難な場合もありました。

子どもが安全に利用できるスマートフォン環境を

そこで総務省は12年9月、無線LAN接続やアプリ利用時においても、従来の携帯電話のように安心・安全なフィルタリングサービスを簡単に利用できる環境を立ち上げるとして、「スマートフォン安心・安全利用促進プログラム」を発表しました。また同時に、フィルタリング環境の改善においては、EMAの認定を反映するようにも要請しています。

「スマートフォン安心・安全利用促進プログラム」の公表

この要請を受けて、スマホ向けに無線LAN接続時やアプリ起動時にも機能するフィルタリングとして、冒頭に紹介した3社のサービスなどが開始されました。

一方EMAにおいても、従来はWebブラウザから閲覧可能なWebサイトのみを認定の対象としていたところを、アプリも対象とした認定制度を新設しています。EMAの認定サイト/アプリは、携帯電話事業者のフィルタリング対象から除外され、自由にアクセスすることが可能です。

また13年9月、総務省は「スマートフォン安心安全強化戦略」を取りまとめました。ここでは、スマートフォンの利用者情報を不正に取り扱うアプリ(不正アプリ)が急増していることを受け、個々のアプリが適切な作りになっているかどうか、第三者機関が検証する仕組みを整えることが提唱され、実施に向けて動き始めています。

サービス事業者だけでなく、セキュリティソフトウェアベンダーも、さまざまなスマホ向けのセキュリティアプリを提供しています。しかし、こうしたサービスやアプリを適切に活用するには、大人が正しい知識を子どもに提供しなければなりません。なぜフィルタリングが必要なのかをきちんと説明し、安全な環境を提供してあげることが私たちの義務なのです。