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記事審査×SEO効果!法律に強いコンテンツ制作でリスク回避&順位UP

はじめに|生成AI時代のSEO施策に求められる“法令順守コンテンツ”とは

SEOコンテンツ制作では、薬機法や景表法といった法令違反による炎上・削除リスクを軽視できません。実際、医療・健康系メディアが不適切な記事を公開したことで批判が殺到し、サイト全体を非公開に追い込まれた事例もあります。こうしたリスクは、検索順位の低下やブランド毀損にも直結します。

本記事では、法律の観点を取り入れた記事審査・校正フローを整備し、検索順位と信頼性を同時に高める方法を解説します。法令順守とSEOの両立によりリスクを最小化し、安心してコンテンツマーケティングに取り組むための実践ポイントをご紹介します。

1. 法令違反によるコンテンツ削除リスクとは

法律に抵触する恐れのあるコンテンツを公開すると、サイト運営に重大なリスクが生じます。例えば、健康食品や美容関連の記事で、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 (以下「薬機法」)に違反する表現を用いた場合、行政から指導や罰則を受ける可能性があります。具体的には2年以下の懲役または200万円以下の罰金といった刑事罰の対象となるほか、業務停止命令や課徴金納付命令などの行政処分を受けるリスクもあり、企業活動に直接的な影響を及ぼします。 違反が発覚すれば、企業は社会的信用を失い、ブランドイメージにも深刻なダメージを及ぼします。

違法表示や不適切な記事は、当局や消費者からの削除要請や差止請求を招く場合もあります。不当景品類及び不当表示防止法(以下「景表法」)では、消費者団体が違反表示の停止を求めて差止請求を行うことが可能で、応じなければ訴訟に発展することもあります。加えて、消費者からの通報やSNS上での批判(炎上)に発展するケースもあるため、公開前に法的リスクを精査する体制が欠かせません。

さらに、検索エンジン上の評価にも影響します。Googleはユーザーを欺くコンテンツを厳しく取り締まっており、薬機法違反のように不正確・誇大な情報を含むページは順位が大きく低下するリスクがあります。
特に医療・健康分野のようなYMYL領域(Your Money or Your Life:人々の生活や安全に大きな影響を与える領域)では品質評価基準が厳しく、根拠のない効能主張を含むサイトはコアアップデート後に順位が急落した事例もあります。一度評価や信頼を失うと、全面的なコンテンツ見直しが必要となり、回復には長い時間がかかります。

このように法令違反コンテンツは、炎上による信用失墜、削除指導、検索ペナルティなど多方面のリスクを引き起こします。
大手企業が運営するキュレーションメディアが薬機法違反や著作権侵害で批判を受け、全記事を非公開にした事例や、女性向けメディアが健康記事の不適切表現を指摘され複数記事を削除した事例などもあります。法令順守を軽視することは、最悪の場合、サイト閉鎖や事業停止に繋がりかねない点を強く認識する必要があります。

2. SEOに配慮した記事構成と表現

法律を順守しつつSEO効果も高いコンテンツを制作するためには、ユーザー目線法規制の観点の両面から記事構成や表現を工夫することが重要です。

Googleは検索評価において「経験・専門性・権威性・信頼性(E-E-A-T)」を重視しています。特に健康や金融といったYMYL分野では、コンテンツの正確性や信頼性が検索順位に直接影響します。そのため記事構成では、誇張や不確かな情報を避け、事実に基づいた専門性の高い内容にすることがSEO上も有利です。法律を遵守したコンテンツは結果として、Googleから高く評価される信頼性のシグナルとなります。

参照:
Google 検索セントラル公式ブログ(E-E-A-T解説, 2022年12月)
Google Search Quality Rater Guidelines (最新版PDF)

タイトル・見出しの付け方

SEOにおいてタイトルタグやH1〜H2の最適化は重要ですが、同時に薬機法違反が出やすい箇所でもあります。キーワードを適切に盛り込みながらも、「効果絶大」「〜を治療」など直接的で断定的な表現は避けることが不可欠です。代わりに「サポート」「維持」「健康的に」といった穏やかな表現を活用すると安全です。

NG:「腰痛を治すサプリ」
OK:「毎日の健康をサポートする栄養補助食品」

このように工夫することで、ユーザーの検索意図を満たしつつ法令にも抵触しないタイトル設計が可能になります。

本文表現の工夫

本文中の記述も誇張を避け、正確さを重視することが大切です。医薬品的な効能を暗示する表現は避け、科学的根拠がある場合はその内容を正しく引用・明示し、根拠が不十分な場合には過度に断定せず注意深く表現することが求められます。

NG:「飲めばがんが治る」「血糖値が正常に」
OK:「食生活の補助に」「日常のコンディション維持に」

さらに「〜の場合もあります」「効果には個人差があります」といった注意書きを加えることで、ユーザーに誠実な情報提供ができ、信頼感が高まります。その結果、長期的なSEO評価の向上にもつながるのです。

引用と参考文献の活用

公的機関のデータや専門家の見解を引用することは、記事の説得力を高める有効な手段です。医療・健康系コンテンツであれば、公式ガイドラインや学術論文を参照すると、ユーザーだけでなく検索エンジンからの評価も向上します。

読みやすさの確保

SEOではユーザー体験も重要です。段落を適度に区切り、箇条書きや小見出しを活用することで、情報が整理されて読みやすくなります。法令順守による堅実さと、ユーザーフレンドリーなSEOライティングを両立させることが、長期的に成果を出すコンテンツ制作のカギとなります。

3. 法的リスクのあるNGワード一覧

コンテンツ制作で注意すべき法律上のNG表現の一部を、理由と安全な言い換え(OK例)とあわせて整理します。
※最終的な可否は文言単体ではなく、広告全体の印象(全体表示)で判断されます。

1) 疾病の予防・治療をうたう表現

  • NG例:「飲めばがんが治る」「血糖値が正常に」
  • 理由:医薬品的な効能効果の標ぼうは薬機法の規制対象。食品・サプリ等で病名や治療効果を示すのは不可。
  • OK例:「栄養バランスをサポート」「日々の健康維持を応援」※病名・治療の断言は避ける。

2) 身体機能を改善・変更する断定(細胞・再生・若返り 等)

  • NG例:「細胞が若返る」「遺伝子レベルで再生」
  • 理由:化粧品や一般商品では本来持ち得ない効能を暗示し、効能範囲を逸脱するため。
  • OK例:「角層(表皮の最外層)にうるおい」「肌をすこやかに保つ」など、許容範囲内の機能表現に限定。

3) 比較・最上級・No.1/唯一/断定的表現

  • NG例:「競合より圧倒的に優れる」「業界唯一」「必ず効果がある」
  • 理由:合理的根拠を欠く優良・有利誤認は景表法違反のリスク。さらに効能効果に関する最大級表現(絶対・必ず等)は、薬機法上も禁止されている。
  • OK例:「自社調査(n・期間・条件明記)で高評価」「特定条件下で当社比○%改善」など、根拠を明示した範囲にとどめる。

4) 安全性の保証(無害・副作用なし・絶対安全)

  • NG例:「副作用は一切ない」「絶対安全」
  • 理由:効能や安全性を全面的に保証する表現は誤認を招き、適正広告基準にも抵触。
  • OK例:「使用上の注意に従い適切にご使用ください」「○○試験を実施(試験条件・範囲を明記)」など。

5) 体験談の直接引用で効果を示唆

  • NG例:「2週間でウエスト−5cmになりました!」
  • 理由:体験談を通じた効能効果の暗示は、客観的根拠に乏しく誤認を招きやすいため。医療広告では原則禁止され、打消し文言を付けても認められない場合が多い。
  • OK例:効能効果ではなく「使用感」にとどめる。
    例:「肌がしっとりしたように感じました(個人の感想です)」

6) 医師・専門家の推薦で効能を訴求

  • NG例:「医師も効果を絶賛」
  • 理由:医薬関係者等による推薦や効能の訴求は薬機法の規制対象。特に化粧品においては監修・共同研究といった訴求自体が不可とされており、健康食品でも効能暗示や優良誤認のリスクが非常に高い。
  • OK例:健康食品などで監修を受ける場合は、「監修範囲(監修箇所や基準)」を明示する。第三者評価を引用する場合も、評価内容とその限界を明確に伝え、“お墨付き”と誤認されない工夫を行う。
    ※化粧品では監修や推薦を用いた効能訴求は原則NGのため避ける。

7) 恐怖をあおる・不安を与える表現

  • NG例:「今すぐ対策しないと危険!」「放置すると命に関わる」
  • 理由:過度に不安や恐怖を与える表現は不当誘引や誤認につながり、規制対象となる。
  • OK例:「気になる方は専門家に相談を」等、注意喚起は客観データと中立的で冷静な表現を用いる。

運用のコツ

  • NG/OK言い換えリストを自社用に整備し、ライター・編集・デザイナーに共有する。
  • タイトル・見出し・図版を含め、全体印象を公開前フロー(一次:編集、二次:法務/有識者)でチェックする。

※上記は一般的な運用ガイドです。最終的な可否は商品区分・媒体特性・表示態様により異なります。不確実な表現や解釈が分かれる表現は、企業にとってリスクとなり得るため、安易に使用せず、必ず法務や専門家に確認のうえで判断することが重要です。

4. 審査・校正の社内フロー構築方法

① ガイドラインの策定

法令順守と品質担保のためには、まず自社の商品・サービスに即したコンテンツ表現ガイドラインを策定することが重要です。薬機法・景表法に抵触しかねない表現の具体例と、その安全な言い換え表現集、業界特有の留意事項をまとめておくと、実務で活用しやすくなります。

参考にできるのが、消費者庁が公表している「事業者が講ずべき措置に関する指針」です。ここでは「従業員教育」「表示内容の事前確認」「エビデンス資料の保存」「問題発生時の迅速対応」など、企業が取るべき措置が明示されています。これを踏まえて、違法表現を防ぐチェック項目と手順を明文化しましょう。

② マーケ×法務の協働体制

次に、マーケティング担当と法務担当が連携できる体制を整えます。記事制作はまずライターや編集担当が執筆・原稿を整え、その後マーケ責任者がSEOキーワードや読者ニーズの観点からチェックするのが一般的です。最後に、リスクが高い表現について法務や有識者が確認するフローを取り入れることで、品質と法令順守を両立できます。

理想的には「ライター・編集 → マーケ責任者 → 法務担当」の三段階フローを組み、二重チェックでヒューマンエラーを防ぎます。ただし、人数が多すぎると責任の所在が曖昧になりやすいため、役割分担を明確にしておきましょう。

③ 部門間のコミュニケーション強化

マーケと法務が対立しないためには、お互いの視点を理解する機会を設けることが大切です。

  • マーケ側は「なぜその表現がNGなのか」を学び、代替表現の提案力を養う。
  • 法務側は「ビジネス上伝えたい価値を阻害しない」観点から柔軟に表現を模索する。

例えば「即効性」という訴求を使いたい場合でも、法務と相談し「すぐに効果が表れる」など断定的な表現は避け、「日々の健康維持をサポート」「一定期間の利用で変化を感じた方もいる」など、科学的根拠や一般的な表現に基づいた緩やかな言い回しに調整することが理想です。定期的に勉強会を開催し、互いの専門知識(SEO基礎/薬機法・景表法基礎)を共有することで歩み寄りやすくなります。

④ チェックツール・リストの活用

近年は薬機法・景表法違反を自動検知するツールも登場しています。無料・有料のサービスを活用しつつ、最終判断は必ず人間が行いましょう。また、チェックリストも有効です。

  • NGワード一覧
  • 表記ゆれのルール
  • 引用ルール

これらをまとめ、校正時に一つずつ確認すれば抜け漏れを防げます。ジャンル別に「医療系記事チェックリスト」「価格表示チェックリスト」などを作成するのも効果的です。

⑤ 定期的な見直しと最適化

法令やガイドラインは改訂が頻繁に行われるため、アップデートのたびに自社ガイドラインやチェック項目を修正し、社内に周知する必要があります。また、実務で発生したヒヤリハット事例(例:「公開後に指摘を受け修正した」)をナレッジ化して、再発防止に活かしましょう。

さらに、特定の担当者に依存しない体制づくりも重要です。属人化を避けるためにチーム全体で一定レベルのチェックを行えるよう教育を行いましょう。定期的にレビュー会議を開催し、業務負荷や漏れを振り返ることで、効率的かつ精度の高い審査フローを維持できます。

5. 外注チェック・監修活用のポイント

SEOと法令順守の両立は可能

「法律に配慮するとSEO施策が制限されるのでは?」という声はよく聞かれます。しかし実際には、法令順守とSEOは相反するものではなく、両立可能です。むしろ誠実で正確なコンテンツは、専門性・信頼性の高さとして評価され、長期的には検索順位やユーザーの信頼向上につながります。一時的な誇大表現による集客よりも、クリーンな情報発信を継続することが最も有効なSEO対策といえるでしょう。

専門家によるチェックの重要性

制作者自身が法的観点から表現を見直すのは容易ではありません。そのため、薬機法・景表法に詳しい専門家による監修や外部チェックを取り入れることが有効です。専門家はリスクのある表現を正確に指摘し、代替表現を提案してくれるため、違反リスクを未然に防ぐと同時に、ライターの表現力向上にもつながります。外部に依頼する際は、自社の製品特性や訴求ポイントを事前に共有し、双方の視点を組み合わせた改善を進めることが大切です。

マーケと法務の協働体制

外注を活用しても、最終判断は自社にあります。そのため、マーケ部門と法務部門が常に連携できる体制を整えておくことが欠かせません。たとえば新商品LPの制作時には、企画段階から両部門で擦り合わせを行い、「強調するポイント」と「控えるべき表現」を事前に合意しておくことで、公開直前の修正やトラブルを防止できます。また、リスク度に応じて優先順位を付ける運用も有効です(例:医療・金融分野の記事は必ず法務レビュー、それ以外は簡易チェック)。

レビュー体制の最適化

記事数が増えると審査に時間がかかるため、効率的なレビュー体制を整える必要があります。誤字脱字やNGワード確認を一次チェック、法務観点での最終確認を二次チェックといったように段階を分けると精度とスピードを両立できます。また、レビュー体制のボトルネックを定期的に振り返り、改善を繰り返すことで、無理のないチェックフローを維持できます。

信頼性とブランド価値の強化

外部チェックや最適化された社内フローによって、違法・不適切なコンテンツを未然に防げます。これは炎上や行政指導のリスクを抑えるだけでなく、「安心して読めるサイト」という信頼を積み上げ、ブランド価値向上にも直結します。結果的にユーザーエンゲージメントや検索評価(E-A-T)も向上し、持続的な成果を生むコンテンツ運営につながります。

まとめ|リスクを抑えて成果を高める、安心のコンテンツ制作を

法令違反による炎上・削除リスクは、企業のブランドや検索順位に大きな影響を与えます。しかし、法令に準拠した誠実なコンテンツは、SEO評価の向上と信頼獲得を同時に実現できる資産です。
本記事で解説したように、

・ガイドラインとチェックフローの整備(違反を防ぐ仕組みを標準化)
・マーケと法務の協働体制(企画段階から合意形成)
・外部監修や専門サービスの活用(専門家視点でのリスク検証)
・継続的な改善と最適化(改訂やヒヤリハットをナレッジ化)

を実践することで、コンテンツマーケティングにおける「攻め」と「守り」を両立し、安心して成果を伸ばせます。もし「社内リソースだけでは不安」「専門的な法令チェックが必要」と感じる場合は、外部サービスの活用も検討してください。

アディッシュ株式会社では、クライアントと合意した基準書に基づき、広告や記事の表現を第三者視点でチェックするサービスを提供しています。専門スタッフがガイドラインに沿って迅速に確認を行い、安心できる情報発信を支援します。
提供サービスの例は以下の通りです:

・広告審査サービス
合意した基準書に基づき、広告表現をチェック。誤解を招きやすい表現やリスクの高い記載を早期に発見。

・記事審査サービス
コンテンツ公開前に第三者視点で校正・審査を実施。ガイドラインに沿ったレビューで安心して公開可能。

このような仕組みを導入することで、企業はリスクを抑えながらも、継続的に信頼性の高いコンテンツ発信を行うことができます。