「消費者生成メディア」と訳される「CGM(コンシューマー・ジェネレイテッド・メディア)」。
具体的な事例を挙げれば、SNS、クチコミ・レビューサイト、Q&AサイトなどがCGMに含まれます。
CGMとは、プロに発注するコンテンツ制作ではなく、消費者によって生み出されるコンテンツで成立するメディアの形。
インターネット、そしてソーシャルメディアの普及により、消費者が「発信力」を持ったことでCGMは生まれたと考えられます。
例えば、新しいテレビを買おうと思っている人にとって、実際に購入した消費者の感想は家電に詳しいプロのアドバイスに負けない価値があるのではないでしょうか。
CGMに参加するユーザー(消費者)が盛り上がるほど、大量のコンテンツが生み出されていきます。これらのコンテンツはその他のユーザーを集めるだけでなく、検索エンジン最適化(SEO)の観点からも効果を発揮すると言えるでしょう。
一方通行の情報発信はマスメディアにおいても実現可能です。インターネットの双方向性を活用していった結果、CGMのようなユーザー参加型のメディアが注目されるようになったと考えられます。
消費者の積極的な参加はポジティブな効果を発揮しますが、一方でCGMには課題もあります。
その中の代表的なものを下記に挙げていきます。
発信者はあくまでも一人のユーザーであり、専門家ではありません。医療など専門的な知識を必要とするコンテンツにおいて、誤った情報を掲載するリスクがあります。
消費者がコンテンツを充実させようとした場合、他サイトの情報や画像を用いる可能性があります。その際に著作権を侵害してしまうリスクがあります。
ユーザー同士がコミュニケーション可能な機能がある場合、お互いを誹謗中傷するトラブルに発展する可能性があります。自分にとって心地の良い場所でなければ、ユーザー離れのリスクも発生します。
CGMはユーザーが積極的に関与しなければ成立しません。そのためサイト内でユーザーの行動を制限せずに自由を保証することもあるでしょう。
しかし、一方でユーザーの好き勝手な振る舞いが前述のような問題を起こす可能性も否定できません。サイト運営者は様々な方法でサイトを「目指したい形」のためにコントロールしていく必要があります。
2016年末に表面化した「キュレーションサイト問題」。
運営企業は各サイトをCGMとして展開しています。しかし、キュレーションサイトはCGMではないという意見も散見されます。
キュレーションサイト騒動で問題視されたのは、クラウドソーシングなどを通じて安価にコンテンツ制作を発注してきたビジネスモデルです。その結果、不正確な情報を含む記事や著作権侵害の疑いのあるコンテンツが掲載されたと考えられています。
そもそもCGMは「消費者生成メディア」なので、あくまでも一般ユーザーの自発的な参加に依存しています。細かな指示を出してコンテンツ制作を依頼し、対価を支払っている場合はCGMと呼んでいいものか疑問が残ります。
運営企業と直接関係のない外部のライターが書いた「まとめ記事」と対価を払って制作された「まとめ記事」を同列に扱うことは困難です。
有料で制作された「まとめ記事」に問題があった場合に「あくまでもライターの責任」と逃げることは説明に無理があります。
サイト運営者としての責任については引き続き考えていくべきテーマです。
・ユーザー参加型サービスの起爆剤?インセンティブ付与の考え方