利用する統計データは「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」 (平成24年版及び平成25年版)です。同調査は、昨今のスマートフォンの普及、ソーシャルメディアの利用の拡大といったメディアの利用環境の変化を踏まえ、国民の情報通信メディアの利用時間と利用時間帯、利用目的、信頼度などについて調査するため、平成24年に始められたものです。
平成25年版における調査対象者は、13歳から69歳までの男女1,500人(性別・年齢10歳刻みで2013年3月住民基本台帳の実勢比例)を、全国125地点(都市規模×地域(11区分)により層化)、ランダムロケーションクォータサンプリングにより抽出し、訪問留置調査を実施したそうです。平成25年版の調査実施期間は2013年11月30日(土)~12月8日(日)で、連続する平日2日間(火曜・水曜グループと水曜・木曜グループの2グループを組成)及び休日1日の行動を対象者自身が記入した、とあります。
この調査方法を見る限り、実際に行った行動を“自ら申告する”という手法ですので、より実態が分かるということになります。1人の人にフォーカスを当ててその人の行動を解き明かすという手法ですので、利用実態をリアルに推し測ることができます。
なお、平成24年調査が平日のみを対象とするなど、完全な比較ができませんので、あくまで傾向としてご覧ください。
次のグラフに、コミュニケーション系メディアのうち、“通話系コミュニケーション”の手段の1つである「携帯電話」と、“テキスト系コミュニケーション”のうち「ソーシャルメディア利用」及び「メール利用」を取り上げ、平成24年及び同25年の利用者比率を年代別に掲載しました。
これを見ると、平成24年に比べて平成25年は、10代~30代のソーシャルメディアの利用者比率がそれぞれ20ポイント近く高まっているのが分かります。特に20代に至っては、平成24年の37.6%から、平成25年には50.2%になり、半数以上がソーシャルメディアを利用しているとの結果が出ました。
一方で、メールの利用率は、平成24年は20代では72.0%と高かったものの、平成25年には約20ポイント減と急激に下がり、50.2%となりました。結果的にソーシャルメディア利用率と同じ50.2%ではありますが、その勢いが全く異なるのが一目見て分かります。
なお、携帯電話に関しては、50代以外のすべての年代で平成24年から同25年にかけて利用者の比率が減少していることが分かります。平成25年では、30代以降の携帯電話の利用率はいずれの年代でも20%を超していますが、10代では6.8%にしかすぎず、若年層のコミュニケーション手段はテキスト系コミュニケーション、中でもソーシャルメディアの勢いが増していることが読み取れます。
この、ソーシャルメディアにおける各年代の利用率と、実際の人口(総務省統計局・2013年12月概算値)を掛け合わせてみると、以下のようになりました。
10代ソーシャルメディア利用者数 = 10代人口(1,183万人) × 10代利用率(43.5%) ≒ 515万人
20代ソーシャルメディア利用者数 = 20代人口(1,304万人) × 20代利用率(50.2%) ≒ 655万人
30代ソーシャルメディア利用者数 = 30代人口(1,659万人) × 30代利用率(31.6%) ≒ 524万人
人数にすると、10~30代の単純計算で1,693万人がソーシャルメディアを利用しているということになります。この数字を見てどう思いますか? 2013年12月時点(推計・概数)の総人口1億2,727人のうち13%に過ぎないと見るか、それとも約1,700万人もの人数と見るか、人によってとらえ方は異なると思いますが、冷静に考えると、非常に多いと思いませんか? しかもソーシャルメディアに慣れている若年層が、近い将来社会の担い手となっていくことを考えると、今後ソーシャルメディアは無視できない存在になっていると言ってよいでしょう。
ちなみに、同調査内で、具体的なソーシャルメディアの利用有無を質問していました。ここでは個々のソーシャルメディアについての言及は割愛しますが、有力なソーシャルメディアのいずれかの利用有無を尋ねた結果を掲載します。
ソーシャルメディア利用者のうち、LINE、Facebook、Twitter、mixi、Mobage、GREE、Google+の7ブランドのいずれかを利用していると回答したのは、20代では実に9割以上に及んでいます。40代でも60.5%に達するなど、数少ないソーシャルメディアに大勢の人が集中的に集まる様子がうかがい知れます。近年は著名人などもこうしたソーシャルメディアを積極的に活用していますし、当然の結果と言えばそうかもしれません。