今回より3回に分けて、株式会社ガリバーインターナショナル(※当時。現、株式会社IDOM。以下、ガリバー)へのインタビュー記事をお送りします。
中古車買取・販売事業大手企業であるガリバー全国約460店舗(2015年8月現在)の中古車買取・販売店を展開、2,000名を超える従業員を抱えています。
ガリバーでは、インターネットが普及するよりも前から通信衛星を通じた全国店舗での在庫一元化や画像販売システムをいち早く導入するなど、ITを駆使した先進的な取組みを実施しています。ウェブ集客施策も積極化しており、店舗内や本社オフィス内をGoogleインドアビューで公開したり、チャットで車の相談ができるガリバーチャットサービスを提供したりするなど、一歩進んだITの活用を実践しています。
ITに関する先進的な取り組みをしているガリバーでは、どのようにSNSと付き合っているのかを、インタビュー形式にてお届けします。第1回は、デジタルマーケティングチームの体制と現在力を入れている施策についてお伺いしました。
※インタビューの内容は、2015年6月現在の状況です。
<話し手>
株式会社ガリバーインターナショナル デジタルマーケティングチーム 村田創様
株式会社ガリバーインターナショナル デジタルマーケティングチーム 加瀬珠樹様
<聞き手>
アディッシュ株式会社 オンラインコミュニティ事業部 チーフアナリスト 大貫留美子
株式会社ガリバーインターナショナル本社 (同社提供)
−今日はよろしくお願いします。最初に社内体制や業務内容についてお聞きしたいのですが、皆さんが所属しているデジタルマーケティング部では、どういった業務に携わっていますか。
村田様: まずは部署の変遷についてお話させてください。現体制でのデジタルマーケティングチームは2014年10月にスタートしましたが、それ以前もマーケティング系の業務には私たちが関わっていました。店舗で働いていた現場の人が異動してくることも結構あって、私は低価格車を扱う専門店・ガリバーアウトレットの企画部門にいて、加瀬さんは軽自動車専門店であるミニクルの企画部門にいました。
加瀬様: 私は、現在5店舗まで増えている岩手県盛岡市で、1号店の立ち上げに関わりました。ミニクルでは40代女性をメインターゲットに据えた軽自動車を豊富に扱っていて、そこでの集客をいかに向上させるかを一生懸命やってきました。
村田様: デジタルマーケティングチームとして編制される前の数年間は、3人で業務を担当していました。数年間3人で必死に業務をこなしつつ、結果的に現在の16人体制になりました。
−3人から16人というのは、だいぶ増えましたね。16人の業務範囲はどのようなものでしょうか。
村田様: 16人の中には、広告の投資収益率を測定したり、ウェブページのアクセス解析を専門に見たりするアナリティクス担当が2人います。以前は分析業務を行う必要などなかったのですが、一旦成功した事例を再現するためにも、またガリバーのサイトに来てくださるお客様がどのような方なのかを見極めるためにも、Googleアナリティクスを利用して適切な施策の評価をしています。その他、ペイドメディアを担当している人は2人で、オウンドメディアの担当は5人です。それ以外にクリエイティブディレクターを配置し、合計16人となっています。
−部署としての目標や、日々実施していることとしては、どのようなことがありますか。
加瀬様: オウンドメディア担当の中でもそれぞれ役割が違います。中古車査定での申し込み獲得を担当する人、店舗への集客を見る人など、細かく担当を分けています。私は、中古車の販売部分でのコンバージョンをいかに獲得するか日々奮闘しています。
これまでは、自動車を売りたい人が、ガリバーの店舗の電話番号を自ら調べて問合せるという、売るための行動を自発的に起こしてきました。しかし、これだけではお客様を能動的に増やすことが出来ません。今取り組んでいるのが、売りたい人だけでなく、車を“買いたい”人を取り込んでいくための施策です。その集客に向けたコンテンツづくりが私たちの命題となっています。具体的には、店舗ごとのブログを通じた集客が挙げられます。自ら行動するお客様だけでなく、それ以外の新しいお客様も増やしていくために、あらゆる仕掛けを作っていく、これがデジタルマーケティング部が日々取り組んでいることです。
株式会社ガリバーインターナショナル デジタルマーケティングチーム 加瀬珠樹様
−今お話のあったオウンドメディアというのは、具体的にはお店の従業員の方々が書いているブログも大きなひとつですよね。更新もかなり頻繁にありますし、何より数が多く充実していますね。
加瀬様: そうですね。今はすべての店舗でそれぞれブログサイトを用意していますが、2012年頃にブログ運用を開始した時は、30店舗程度から始めました。現在のような全店舗での対応になったのは2014年9月からです。今でこそブログを重要施策と位置付けているものの、実は紆余曲折がありました。ブログよりもソーシャルメディアを積極化しようという時期があったのです。
−そうだったのですね。それはいつぐらいですか。
村田様: 2012年頃ですね。その頃Twitterが流行の兆しを見せていて、Facebookも波に乗っていました。ガリバーでもソーシャルメディアを始めようと考えたのです。ソーシャルメディアに注力した分、ブログを放置してしまった期間がありました。しかし、様々な判断がありオウンドメディアの方が必要だと認識し、現在はブログに軸足を置くことを優先しています。ホームページへのアクセス数を伸ばすため、ユーザーのニーズに寄り添ったオウンドメディアを残したいという判断です。400以上ある店舗が毎日1記事ずつ更新すれば、1日だけでも400もの記事を提供できる。その点、会社としての公式Facebookは頑張っても1日2件程度までが限界です。その量の差を考えると、やはり店舗ごとのブログは重要だと思いました。
加瀬様: ブログについては、2014年9月は各店舗ともまず週に1回は必ず更新するというところから始まりました。今でも更新している店舗としていない店舗の差は結構ありますが、毎月6,000ほどの記事が全国の店舗で投稿されるまでになりました。
−実際にブログの取組みは集客に繋がっていますか?
加瀬様: 繋がっていると思います。2014年9月と2015年6月とを比べると、ブログを入口としたユーザーが最終的に申込みに繋がったか推移をみると、確実に増えています。店舗数から見るとまだまだ記事の更新数は少ないですが、これからもっと増やしていきたいと思っています。私はもともと店舗にいたこともあるので、店舗側でブログを更新することの大変さも知っています。日々お客様と向き合う最前線の現場スタッフにとって、接客することが最も重要なのでブログが後回しになりがちなんです。でもブログを更新することも集客に繋がる大事なことだから少しずつでもやりましょうと根気強く啓蒙し続けています。
村田様: 具体的な取組みとして、毎週月曜日と金曜日に全店舗に向けてメールを出しています。店舗ごとに案内する内容が異なりますが、基本的には、月曜日には先週上がってきた各種数値を、金曜日には次にやるべき取組み内容の提案を、それぞれ提供しています。また、ブログに書く内容についてもアドバイスしています。自動車の入荷情報や、お客様に納車した報告を書いてほしいと思っていますが、店舗によって内容もまちまちなので、そこは課題ですね。何のためにブログを書き続けるのかを理解してもらわないと、やらされている感が残ってしまうので、地道に啓蒙しています。
⇒⇒「インターネット上で語られていることを“翻訳”してから報告」ガリバー社によるソーシャルリスニング(事例インタビュー【第2回】)へ続きます。
こちらもあわせてご覧ください。
ガリバーインターナショナル公式Facebook