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2019.04.24

個人トラブルが多発!ライブ動画配信サービスを運営する上で押さえておきたい対策とは

伝える力が魅力の動画コンテンツ。いまや個人が情報発信の場としてSNSやライブ配信サービスを活用し、動画を配信することは珍しくありません。しかし、こうした動画によるトラブルが頻発していて、動画配信プラットフォームの運営に関わる人々にとって看過できない状態になっています。今日は、ライブ配信サービスで起きがちなトラブルと、どのような対策が必要かについて、整理して考えたいと思います。

1.生活に身近な存在となった動画配信・ライブ配信サービス

スマートフォン(以下、スマホ)の普及により、誰でも写真や動画を手元で気軽に撮影できるようになりました。同時に、スマホで動画を見る行為が手軽になり、情報収集の一つの手段として一般化しつつあります。

文章や写真と比べ、圧倒的にわかりやすく伝えられるという動画の性質を活かし、生活に関わるさまざまなサービスで動画配信が行われるようになりました。映画やドラマ、音楽等の映像コンテンツを配信するサービスや各種スポーツのライブ・見逃し配信に特化したメディア、独自のニュース番組を配信するメディア、美容関連や料理、暮らしをテーマにしたメディアやフリマアプリのライブコマース機能など、枚挙にいとまがありません。また、FacebookやTwitter、Instagram、LINE等の代表的なSNSにはその機能が備わっているので、特別に意識して使っていない人でも、スマホ上で何らかの動画コンテンツを目にしたことはあるのではないでしょうか。

最近では、SNS以外にも個人が動画を投稿したりライブ配信できるサービスが数多く発表されています。インターネット上で誰でも人気者になるチャンスがある時代。一部には「投げ銭」が可能なものもあり、お気に入りの動画を配信しているユーザーに気軽に投資できるようになっています。そのため、稼ぐことを目的にライブ配信をしている人々も珍しくありません(なお、これらライブ配信サービスに関しては、以前にもブログでまとめて紹介していますので、そちらもご覧ください)。

こうした個人で自由に投稿可能なサービスは、ライブ配信や動画の配信を通じて多くの視聴者とコミュニケーションを取る、一種のコミュニティと言えます。純粋に趣味をテーマにコミュニケーションを楽しむものもあれば、個人のスキルを活かした情報配信で対価を得るためのものもあります。特に若い世代を中心に他とつながるコミュニティの一つとして浸透しつつあり、今後も動画配信サービスに対するニーズは高まり、利用は拡大されると考えられます。

しかし、ライブ配信サービス市場の盛り上がりとともに社会的な議論の的となっているのが、主に個人が配信する動画に端を発するトラブルです。

2.動画配信メディアにおけるトラブルとは

それでは、実際にどのようなトラブルが発生しているのでしょうか。代表的なパターンとしては以下の3つが挙げられます。

(1)危険行為・反社会的行為の配信

危険行為のわかりやすい例としては、爆破の犯行予告や運転中にスマホを操作して撮影した動画などが挙げられます。また反社会的行為の代表的な事例は、「バイトテロ」などと呼ばれる勤務中のライブ配信です。

この手のトラブルはSNSが普及し始めた頃から多くあったのですが、2019年になって飲食店やコンビニエンスストアの店員が不衛生な行為を撮影した動画配信などが相次ぎ、再び社会的に注目を集めています。もちろん従業員の教育・マネジメントは企業の責任です。しかし、突然の悪質な動画配信により雇用する企業が営業停止に追い込まれたり、ブランドイメージを傷つけられるという実被害の影響は甚大で、未然に防ぐ必要があります。

(2)わいせつ・暴力的表現の配信

わいせつ目的のユーザーがチャットで女子中学生に全裸を要求した事案や同級生の裸動画を勝手に拡散させた事案、あるいは体罰や動物虐待などの暴力的な場面を撮影した動画が拡散された事案などが問題になっています。動画は情報量が豊富で静止画よりも修正・変更が難しいため、軽率な投稿によって個人情報が流出するなど問題が拡大しやすいことも指摘されています。

(3)個人の思想信条・拡散目的の配信

先に挙げた「投げ銭」の仕組みのように、インターネットを介して発信される個人の声に世間の目が届き、大きく取り上げられる社会に変わってきたことで起きているトラブルもあります。個人の承認欲求を満たすために公序良俗に反する投稿をしたり、多様な視聴者に対する配慮を欠く内容を発信したり、他者に不快な思いをさせるリスクと隣り合わせです。つい最近も個人の差別思想を動画で率直に語り炎上する事案が発生しました。

(1)〜(3)に挙げた内容以外にも忘れてはいけない問題が、SNSの拡散力です。ひとたび公開された動画は本人の意向と無関係に、想像を超える勢いで拡散される可能性があります。実際、一時的に公開するつもりでInstagramのストーリーにアップしていた動画を他のユーザーが拡散しトラブルに発展したというケースもあります。

3. 動画配信トラブル対策には「監視」

2で挙げたトラブル発生を防ぎ、視聴者が安心して楽しめるコミュニティにするためには、プラットフォーム上で発信される情報を監視し、問題に速やかに対処する必要があります。
実際、すでに一部のサービスではこのコミュニティ監視の取り組みが進んでいます。以下で具体的な監視対象や監視方法についてご紹介します。

(1)動画配信に関わるリスクと監視対象の種類

①配信動画
犯罪を示唆するものや公序良俗に反する内容の映像が流れたり、コメントが表示されるリスクがあります。監視対象は、ライブ配信映像、アーカイブ映像、投稿動画、音声、コメントになります。

②アカウント情報
出会いや不法行為、過激な情報発信などを目的にしたユーザーの存在もリスクです。ここではアカウント名・プロフィール情報・画像を対象に監視を行います。

③DM・タイムライン
コミュニティである以上、ユーザー同士のダイレクトメッセージ・タイムライン上でのやり取りにもリスクが内在しています。社会常識から外れたテキストや不適切な画像などがないかを監視する必要があります。

(2)監視の方法

①全件監視
(1)に挙げた映像・画像・コメントなど、関係するもの全てを監視します。ライブ動画はプラットフォーム上で常に巡回してチェックするなど、極力抜け漏れがないような取り組みを行います。

②抽出監視
NGワードをトリガーに映像やコメントのチェックを行う方法です。NGワードやランダム、機械学習などあらかじめルール化したフィルター機能で絞り込み、抽出された投稿を監視します。①に比べると漏れが発生する可能性はありますが、チェック工数が少ないためコストを抑えることが可能です。

③通報監視
他のユーザーから通報された投稿を監視する方法です。①②と比べて予防策としての機能はもっとも弱く、性善説を前提にしているのが特徴です。ただし、うまく機能すれば問題が大きくなる前に対処することはできるため、コストを割けない場合には通報機能のみ設置するという選択肢もあります。

(3)その後の対応

監視の結果、問題となる動画の配信や不適切なコメント投稿などを見つけた場合、概ね以下の対応が考えられます。

・注意・警告
問題投稿をしているユーザーに問題点を伝え、修正・改善対応を求めます。

・映像やコメントの削除・非公開への変更
システム側で直接他のユーザーの目に触れないように対処します。 

・強制退会
注意や警告に応じず、不適切な投稿や迷惑行為を続けた場合、強制的にアカウントを排除することがあります。

・その他
犯罪や他のユーザーに対する迷惑行為など、その場での対処ですまない場合には警察へ通報することもあります。

 

こうした監視を徹底することで、問題のある動画や投稿があればすぐに発見できます。火種の芽を迅速に摘むことで、周囲の目に触れ大きなトラブルとなるリスクを最小限に抑えることができるのです。

4. まとめ

個人による動画配信で多数のトラブルが発生している中で、動画・ライブ配信サービスの運営者には、誰もが安心・安全に利用できるコミュニティ環境を提供するための取り組みが求められています。

そこで進んでいるのが、コミュニティにおける監視です。監視対象は映像・コメント・音声まで多種多様ですが、何を対象にどのレベルまで監視するべきかはサービスの性質によっても異なります。そのため、まずは自社サービスに必要な「監視」について、懸念される事態を想定し、設計することをおすすめします。

なお、監視を実践する際のリソースや設計段階におけるソーシャルリスク管理のノウハウに関する不安がある場合には、外部の専門会社へ委託するのも選択肢の一つです。アディッシュでも安心安全に利用できるプラットフォームづくりのサポートを事業コンセプトに、500を超える企業・サービスのソーシャルリスク管理をお手伝いしている実績があります。現在の取り組みに不安を感じている、事業を始める段階で設計から相談したい、などご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

アディッシュのモニタリングソリューション「MONI」

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アディッシュのモニタリングソリューション「MONI」

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