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ネット選挙の可能性を米国大統領選挙から考察

2013年、日本でネット選挙が解禁!

2013年4月19日、公職選挙法が改定され、インターネットを活用した選挙運動が解禁されました。これにより、候補者や政党、一般有権者がブログやSNSを使って選挙に関する情報を発信できるようになりました。

従来は、特定の候補者に対する投票を呼びかける文章をインターネットを介して発信することが禁止されていたため、候補者は選挙期間中のWebサイトの更新やSNSでの発言などを自粛していました。

今回の解禁によって、多くの候補者・政党が精力的にインターネットを使った選挙活動を行っています。

もちろん、法改正によって何もかもが解禁されたわけではなく、一部の規制に関しては現在も有効です。改正の詳細については、総務省の「インターネット選挙運動の解禁に関する情報」を確認しましょう。

米・大統領選でオバマ氏が味方につけたSNSパワー

 

ネット選挙の有効性については、米国オバマ大統領の事例が顕著です。オバマ氏は2008年と2012年の大統領選に勝利していますが、中でも前者は「ソーシャル選挙」とも呼ばれ、SNSを活用した選挙運動が目立ちました。

米国のネット選挙は、1992年に電子メールによる選挙運動が初めて行われて以降、1996年には選挙キャンペーンサイトが活用され、2000年には、インターネットを介したクレジットカード決済による政治献金が解禁されています。

オバマ陣営は、2008年の選挙において、SNS「my.barackobama.com」とWebサイトから簡単に小口献金を行えるシステムを立ち上げ、オバマ・ファンを強力に囲い込みました。オバマ氏は小口を中心に6億4,873億ドルもの献金を受け、対立候補ジョン・マケイン氏の1億9,172億ドルに大きく差を付けました。

2008年の選挙時には、オバマ氏のFacebookサポーターは237万9,102人、一方のマケイン氏は62万359人にすぎませんでした。また、2012年の選挙で、オバマ氏が3億677万904回の「(Facebook)いいね!」を受けたのに対し、対立候補のミット・ロムニー氏は885万9,617回でした。

Twitterフォロワー数に関しても、オバマ氏の11万8,000人(2008年)に対してマケイン氏4,942人、2,106万6,220人(2012年/オバマ氏)に対してロムニー氏148万5,065人。YouTubeの動画再生数については、オバマ氏の1,841万3,110回(2008年)に対してマケイン氏は203万2,993回、約2.5億回(2012年/オバマ氏)に対してロムニー氏は約2,600万回でした。

ソーシャルメディアと“ビッグデータ”も活用

このように、ソーシャルメディアをいかに活用できたかが、選挙の結果に結びついたのは間違いありません。

ちなみに2012年の大統領選挙は「ビッグデータ選挙」と呼ばれました。オバマ陣営は、有権者の行動や志向に関する膨大なデータベースを分析し、年齢や性別、過去の投票などに応じて異なるメッセージを配信しました。また、安価なシステムやクラウドサービスを最大限に活用し、IT支出を抑えたという特長も見られます。

日本では、ようやくネット選挙の一部が開放されたばかりです。候補者も政党も有権者も、その利用には不慣れで、大きな失敗をする恐れがあります。ネット選挙に潜むリスクについては「ネット選挙、3つのリスクと知っておくべきSNSルール」で解説をしています。

※2017年9月追記
2016年のドナルド・トランプ候補が勝利した米国大統領選挙においては「フェイクニュース」が選挙結果に影響を与えたと話題になりました。フェイクニュースについては「2017年はフェイクニュースとの戦い?求められるサイト運営者の責任」でも取り上げています。