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【2025年10月】SNSリスク対策で注目のトラブル事例

作成者: 田中 裕一朗|2025.11.17

2025年10月、SNS上では企業やブランドに関連する複数の話題が注目を集めました。
いずれも拡散スピードが速く、モニタリングによる早期対応の重要性が改めて示された事例です。
本記事では、特に反響の大きかったトピックを取り上げ、その経緯・SNS上の反応・企業への示唆をまとめました。

2025年10月 SNSで注目を集めた話題まとめ

1. イラスト”トレパク疑惑”でコラボ企業に問い合わせ急増

事件の概要

人気イラストレーターが手がけたポスターが、実在するモデルの写真を無断で使用して作成されたと話題になりました。
いわゆる「トレパク(トレースによるパクリ行為)」の指摘により、発注元の企業がこのポスターの使用を見合わせると発表しました。
また、このイラストレーターの過去作品についてもトレース元を特定する動きが加速。過去作品でコラボした企業や団体への問い合わせが相次いでいます。

SNS上での反応

SNSでは批判的な声が多く見られましたが、専門家の中には「トレース自体が必ずしも違法とは限らない」との見解もあります。
今回のケースでは、後日モデル本人の同意を得たと発表され、法的な問題は解消しました。
しかし、批判は一定期間続き、「トレパク疑惑」という言葉自体が発注企業のイメージを損なう結果となりました。

企業への示唆

この事例は、法的に問題がなくても炎上が企業に波及する可能性を示しています。
クリエイターを起用する際には、過去の作品やSNS発信を確認し、炎上リスクを把握することが重要です。
また、納品物についても他者の権利侵害や不適切表現がないか社内で確認する仕組みを整備することが、ブランド毀損の防止につながります。

2. 大阪・関西万博の閉幕に見るSNSの影響力

開催経緯と背景

2025年10月13日に閉幕した「大阪・関西万博」。
開幕前には建設費の高騰やパビリオン建設の遅れなどネガティブな話題が先行。公式キャラクターの「ミャクミャク」もこの頃は「気持ち悪い」などの厳しい評価がされていました。開幕後にも海外パビリオン建設に関連した工事費の未払い問題、会場内でのユスリカの大量発生、飲食物の高い価格設定などの否定的な話題が続きました。

SNSでの反響

開幕後はSNS上にポジティブな投稿が増加しました。
来場者による写真や感想、訪問者へのアドバイスなどが共有され、人気インフルエンサーによる発信も話題拡散を後押ししました。
結果として「万博ロス」と閉幕を惜しむ声が多数投稿され、SNSがポジティブな認知形成に大きく寄与したことがうかがえます。

企業・主催者への示唆

SNSは炎上を引き起こすリスクを持つ一方で、好意的な認知を広げる力も持っています。
主催者や企業は、リスク対策と並行してポジティブな発信を促すコミュニケーション設計を意識することで、イベントやブランドの評価向上につなげることができます。

3. 飲食店での迷惑行為が再び拡散

発生した出来事

10月中旬、人気回転寿司チェーンで女子高生とみられる人物が「回転する寿司を素手で触る」「醤油ボトルを舐める」といった迷惑行為を行う動画がSNSで拡散しました。
運営企業は「実行者を特定し、地元警察と連携して対応する」と発表しましたが、SNS上では当事者の個人情報が拡散され、二次被害も発生しました。

SNS上の反応

SNSでは「再発防止ができていない」「対応が甘い」といった批判的な意見が寄せられ、企業対応にも注目が集まりました。
過去にも同様の事例があり、訴訟を取り下げた企業が「軽い対応」と見なされ批判を受けたケースもあります。
こうした背景から、企業の初動対応や姿勢が炎上の拡大に大きく影響すると考えられます。

このほかにも飲食店などでの迷惑行為は数多く発生しています。SNS上での関心も高く、被害企業の動きに注目しています。迷惑行為の当事者とのやり取りなど、公開できない内容もあります。しかしそのような事情は伝わりにくく、憶測や場合によっては根拠のないデマを発生させるリスクがあります。

対応への示唆

企業は被害者であっても、説明不足や対応の遅れが批判の対象になる可能性があります。
迷惑行為の発生時には、SNSモニタリングを強化し、事実確認と公式見解の発信を迅速に行うことで、憶測やデマの拡散を防ぐことが重要です。

4. サイバー攻撃を受けた企業へのSNS反応

事実経過

2025年9月、食品メーカーがサーバー攻撃を受けていたことが判明。システム上のトラブルにより製品の生産や受注などを停止したことも報じられました。
同様のサイバー攻撃は別の企業でも発生。普段購入している商品が手に入らないなど、消費者の生活にも具体的な影響を及ぼしています。

SNSでの反応

SNS上では「被害企業が気の毒」「どの企業も他人事ではない」といった同情的な意見が見られる一方、
「セキュリティ対策が不十分」「危機管理が甘い」との指摘も投稿されました。
対応の差によって、企業ごとの印象が分かれる結果となりました。

今後の示唆

被害企業の中には、発覚後すぐに調査状況を公表し、定期的な進捗報告を行う企業もありました。
こうした迅速で透明性の高い情報発信は、デマ拡散の抑止や信頼維持に効果的です。
サイバー攻撃のような緊急事態では、スピード感と正確性を両立した対応体制が求められます。

まとめ

今回取り上げた4つの事例はいずれも、企業が直接的な加害者ではありませんでした。
しかし、SNS上では「対応の誠実さ」「発信のスピード」など、行動のすべてが評価対象となります。

一度炎上が発生すれば、真偽不明の情報や憶測が拡散し、企業リスクは増大します。
モニタリングによる早期把握と、正確で誠実な情報発信が信頼を守る鍵です。

日常的にSNSリスク対策を行い、緊急時に備えた体制整備を進めることが、ブランドを守る最も確実な手段といえるでしょう。