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【2025年12月】SNSで注目の話題と企業への影響

作成者: 田中 裕一朗|2025.12.25

2025年12月にSNSを中心にインターネット上で注目を集めた話題についてまとめています。広告やSNS運用における炎上回避のための参考としてご活用ください。

2025年12月 SNSで注目を集めた話題まとめ

1. 「だからデビューできないんだよ」発言で炎上



事実経過

バラエティ番組において人気女性芸人がアイドルグループ所属の男性タレントに「だからデビューできないんだよ!」という”イジり”のコメントをしたところ、ファンから反感を買う結果となりました。番組内で行われたテスト対決において不正解だった男性タレントに対するツッコミとしての発言でしたが、SNSでは批判が殺到しています。

SNS上での反応

背景には、この男性タレントが所属事務所から正式にデビューしていない状況があると指摘されています。デビュー間近とされながらも実現していない事情を踏まえると、配慮を欠いた発言だったと受け止めたファンが多かったようです。

実際には番組としての演出だった可能性もあり、女性芸人を擁護する声も散見されます。一部ファンの過激な行動が”推し”であるアイドルをバラエティ番組で起用しにくくなると指摘する声もあります。

一般的な価値観とファンの間の価値観のズレがあるのは事実であり、ここに企業として注意したいポイントがあります。

企業への示唆

今回のアイドルのケースのように、ファンにとっては触れられたくない点などが存在しています。広告やSNS運用において、この点に不用意に踏み込んでしまうとトラブルに発展する恐れがあります。
ただしファンに過剰に配慮することが必ずしも正しいとは言えません。しかし不快に感じる人がいる可能性を念頭においておくことは重要です。

広告やSNS運用など対外的に発信するメッセージにおいては、可能な限り多様な視点を入れて「嫌な気持ちになる人はいないか?」という観点でチェックをしたいところです。

2. フィンランド「つり目」写真投稿が大きな波紋

事実経過

ミス・フィンランドに選ばれた女性がSNSに投稿した「つり目ポーズ」写真に対して、「人種差別だ」という批判が殺到。その後ミスフィンランドの称号が剥奪され、彼女は謝罪を発表しています。
しかし、フィンランドの国会議員など一部政治家がミスフィンランドの資格剥奪を問題視。彼女への連帯のために「つり目」ポーズの写真をSNSに投稿したことで騒動が拡大しました。

一連の投稿に対して批判的な意見が殺到したことを受けてフィンランド政府も反応。首相が日中韓のフィンランド大使館のSNSを通じて謝罪を発表しました。

SNSでの反応

SNSでは当然ながら「つり目」写真を投稿した国会議員らのアカウントに批判が集中。それだけでなく大使館やフィンランドの航空会社の投稿にまでも厳しい意見が書き込まれています。これまでフィンランドに対して良いイメージを持っていたという人も多数いるため、今回の騒動にショックを受けた人も少なくないようです。

また、各アカウントに対して日本から書き込まれるコメントの中には誹謗中傷とも受け取れるものが含まれています。きっかけは人種差別的な写真投稿でしたが、だからと言って誹謗中傷して良いわけではなく、冷静な対応を呼びかける声も上がっています。

企業への示唆

今回の騒動については「つり目ポーズ」に対する認識の違いが大きく影響しています。東アジアでは「差別的」と捉えますが、フィンランドでは「幼稚だが差別的とまでは言えない」と捉えていることがそれぞれの謝罪や説明などから読み取れます。
特定のジェスチャーやシンボルが他の地域や文化圏で絶対的に受け入れられないことがあります。このような文化的なトラブルに企業が巻き込まれることも予想されます。

企業にはさまざまなバックグラウンドを持つ社員や関係者がいます。文化的な価値観の違いを考慮せずに何気なくSNSに書き込んだ内容や投稿した写真がトラブルの火種となることもあります。最新のトラブル事例をもとに、社内や関係者向けに定期的な情報共有や啓発を行うことが、リスク低減につながるでしょう。

3. 「忘年会幹事だけポイントずるい」広告で炎上


事実経過

タクシー配車アプリの運営企業による「忘年会、幹事だけポイント貯まるのずるくない!?」という広告に対し、SNS上で批判が殺到しました。この広告は忘年会の幹事が会費を受け取り、支払いをクレジットカードで支払うことでポイントを入手することを「ずるい」と表現したものです。
批判を受けて当該企業は謝罪をし、広告の掲出終了を発表しました。

SNS上の反応

SNSでは「幹事の大変さ」について議論が活発になっています。望んで幹事を引き受けるという人は少なく、店選びや日程調整、出席確認、集金などやらなければならないことはたくさんあります。過去に幹事を担当した苦労などから「ずるい」という表現に対して納得できないという人も少なくないようです。

また忘年会そのものに対するSNSの反応にも注目です。忘年会は社内のコミュニケーションの機会として重要な行事と捉えることもできますが、一方で行きたくないという意思が尊重されない空気に疑問を感じる人もいます。
数年前には「#忘年会スルー」というハッシュタグで、忘年会の不参加を宣言することがSNSでトレンドになりました。しかしコロナ禍を経て、忘年会のようなリアルなコミュニケーションの機会を求める意見もあります。

企業への示唆

忘年会などの行事の是非はSNSなどネット上で議論が続いています。季節の話題として忘年会は広告やSNSの投稿などに採用されるテーマですが、「不快に感じる人はいないか?」という点に配慮が必要だと考えられます。

また忘年会、花見などの社内イベントについての受け止め方は変化しています。この受け止め方の変化をキャッチアップしつつ、発信するメッセージが「時代遅れ」とならないような取り組みも重要ではないでしょうか。

まとめ

2025年12月は、誰かが感じる「不快感」について企業もキャッチアップしていくことの重要性がわかる出来事が発生しました。
年末年始はSNSの利用時間も増え、トラブルに対して企業の対応も遅れがちです。緊急時の対応フローを再度点検してみるのはいかがでしょうか。