「ソーシャルリスニングをマーケティングに活かす 前編」では、ソーシャルリスニングをマーケティングに活用する場合のメリットや手法について記載しました。今回は、解決したい課題別、目的別に見たソーシャルリスニングの具体的な活用方法を記載いたします。
ソーシャルリスニングは「本音に近い自然な声」が得やすく調査が手軽に出来る長所があるため、自社のターゲットの深掘りや組み直しをするための積極的な活用が可能です。
消費者が何に興味を持っているのか、商品・サービスについて何を価値として感じているのか、どういう場面で利用しているのか。こうした漠然とした概念に対して、ソーシャルリスニングを通じて推し測ることができます。
企業の論理として、「組織・部門」、「業務プロセス」、「商品単位」といったものさしを通して商品・サービスを見る傾向にあります。一方、消費者動向をみると、「解決してほしい課題全体」、「商品やサービス・企業全体・提供経路やブランドイメージなどの全体を通して提供される体験」、「商品/サービスの品質が良くても全体として感じる不便さ」、「企業側で想定してない利用シーン」など、あらゆる観点から商品・サービスを見ているケースも少なくありません。
こうした消費者視点を磨き、どのような要因が“顧客にとっての”価値向上になるのかを知ることが重要です。それにより顧客視点での価値の切り口で商品やサービスの価値を向上させることに繋げられます。
ソーシャルリスニングは、商品やサービスに関する投稿を収集・分析し、評判や改善点を具体的に把握するという活用もできます。お客様の声を拾うためのコールセンターやお問い合わせ窓口を設けている企業も多いと思いますが、そうした窓口に入ってくるお問い合わせは大抵、解決したい課題を明確に持っている人からのお問い合わせが多いのではないでしょうか。
一方、ソーシャルメディア上に溢れる声は、課題を掲げた投稿よりも、その時の気分で何気なく発した投稿が多く、ポジティブな内容も相当含まれています。不満要素を見つけて改善に繋げるだけでなく、ファン層がどのような点を好んでいるのかを知ることもでき、それを強みにプロモーションを考えるといった利用方法もあります。
またソーシャルリスニングでは、投稿日時のデータを持つため、時系列で評判の変化を追うことができます。何らかの施策を打ったときに、その効果を把握することが可能です。
ソーシャルリスニングにより、自社が発信したメッセージがどう受け取られているかのタイムリーな把握もできます。自社のプロモーション(CMやイベント)、広報・IR活動においてどのようなメッセージの発信が好意的に受け止められ、逆にどのような発信はネガティブに受け止められるのか、またその反響の大きさを見ることができ、自社の発信するメッセージや発信方法の改善に役立たせることが可能です。
実際、プロモーション効果測定手法としてソーシャルリスニングを活用したいというニーズは最近増加傾向にあります。
競合商品やサービスと比較した自社商品・サービスの印象を測ることもできます。同じ期間内に、自社商品・サービスについての投稿と競合商品・サービスについての投稿がどの程度のボリューム感で語られているのか、その投稿内容に差はあるのかを比較すれば、自社商品・サービスに対する一般消費者の相対評価が分かります。
さらに、一般的なアンケートを設計する際にも活用できます。アンケートは最初の仮説立てが重要であるため、その基となる情報をソーシャルリスニングで取得します。アンケートとソーシャルリスニングは相反するものではなく、組み合わせて活用することで、より立体的な把握へと結びつけることが可能です。