インターネットモニタリングブログ | アディッシュ

ECモールに潜む「非公式グッズ」の実態──タレントのブランド戦略を脅かす画像悪用のリスク

芸能プロダクションにとって、所属タレントの「ブランドイメージ」は多大な投資のもとに築かれる重要な知的財産です。
しかし現在、ECモール等にはタレントの画像を無断使用した非公式グッズが多数流通しており、せっかくのブランディングが台無しにされかねない、危ういリスクが表面化しています。

そこで今回は、現在クリーンなイメージを強みとして、ドラマやCMを中心に幅広く活動している複数の女性俳優を対象に、国内大手ECモールにおける非公式グッズの流通実態を調査しました。

【実態調査】検索上位に潜む非公式グッズの内訳

■調査概要
調査対象サイト:国内大手のECモール(代表的な1サービスを対象)
調査対象者:クリーンなイメージを持つ女性俳優・タレント計3名(以下、Aさん、Bさん、Cさん)
調査日:2026年7月某日
検索キーワード:各俳優・タレントの氏名(フルネーム)
調査方法:検索結果の初期表示である「おすすめ」順において、各俳優・タレントの上位120商品(計360商品)の商品特性(正規品・海賊版・画像特性など)および内訳を調査



検索結果の上位120商品(計360商品)のうち、正規品が過半数を維持しているものの、およそ3件に1件の割合(約36%)が「海賊版」や「アイコラ」といった非公式な商品に侵食されている実態が浮かび上がりました。

※アイコラ(アイドル・コラージュの略): 有名人の顔写真と、他人の身体の画像を悪質に合成した写真のこと。露出度の高い身体画像が使用されることが多い。現在はデジタル技術や生成AIの悪用により、精巧かつ大量に作られるようになっている

今回の調査で確認されたアイコラ画像には、いずれも本人の身体的特徴や露出度を意図的に変え、性的な印象を強める加工が施されていました。具体的には、「バストサイズが明らかに誇張されているもの」「ビキニの布面積が極端に小さいもの」「奇抜なデザインで煽情性のある水着」など、露出度の高い露骨な加工が施された画像が流通していました。

では、画像自体は本人の画像を使用した海賊版グッズでは、どのような画像が使われているのでしょうか。露出度や特性に着目して分類したものが、次のグラフです。




Aさん(64.3%)とBさん(64.9%)のデータを見ると、海賊版グッズに使用されている画像の6割以上を「水着・下着姿」が占めていました。一方でCさんの場合は「露出なし」が約8割(79.2%)を占めており、俳優によって流通している画像の特性には大きな差が見られました。

これらの海賊版グッズに無断転載・流用されているのは、いずれも過去に出版された写真集やグラビア雑誌などに掲載されていた本人の画像です。流通する割合に個人差はあるものの、かつて公式にリリースされた過去のグラビア写真が、今もなおネット上で勝手にデジタルコピーされ、性的な目線で消費されるターゲットとして狙われ続けている実態があります。

男性俳優の検索結果との決定的な構造の差

参考として、同じECモールで男性俳優の名前についても検索したところ、女性俳優とは異なる傾向が見られました。

まず、悪質な合成写真であるアイコラの疑いがある商品は一切見られませんでした。また、本人の画像を使用した海賊版グッズ自体は多数確認されたものの、露出が激しい画像を使った商品はなく、「シャツがはだけている程度」の軽微な露出に留まっていました。この調査結果からは、非公式グッズ市場における「男女による需要の決定的な違い」が読み取れます。

男性俳優のグッズが単なるファン向けの「非公式のタレントグッズ」として消費されている傾向が強いのに対し、女性俳優のケースでは、アイコラや海賊版を通じて「性的な目線で消費されるターゲット」として画像が選定されているという、明確な実態の違いが示されています。

非公式グッズがタレントのブランドにもたらす3つのリスク

非公式グッズ、特に性的な消費を目的とした商品の流通には、単なる著作権侵害の枠を超え、タレントのブランド価値やプロダクションの経営を揺るがす致命的なリスクが潜んでいます。

1. CMやスポンサー契約に影響する可能性

企業がタレントをCMや広告に起用する際、重視される判断基準の一つとなるのが、「その企業のサービスや商品が持つ世界観と、タレントが体現するブランドイメージが合致しているか」という点です。

本来、タレントのビジュアル露出は、写真集や雑誌、広告など、それぞれの媒体の役割やターゲットに合わせて、事務所の手で緻密にコントロールされています。しかし、ECモール等で事務所の許諾を得ていない非公式グッズや、悪質な加工が施された商品が日常的に横行していると、事務所側が進める戦略的なブランディングの大きなノイズとなってしまいます。

非公式な流通とはいえ、「露骨な性的消費を想起させる商品」が野放しになっている状態は、スポンサー企業にとって「ブランドセーフティ(自社イメージの安全確保)」の観点から懸念材料となり得ます。これは、タレントが本来持っている広告価値を毀損し、今後の新規CMやスポンサー契約において企業側が「起用を控える」といった、将来的なビジネス機会の損失に直結する深刻なリスクです。

2. マネジメント体制への不信感とタレント本人への負担

不適切に流通している非公式グッズや悪質な加工商品が放置され、ファンや一般層の目に触れ続ける状態は、ファンやパートナー企業など、タレントを取り巻く周囲との信頼関係を損ねる第一歩となりかねません。

「事務所がこの状況を黙認している」と受け取られてしまうと、特に現代の熱心な「推し活」層やファンコミュニティから、「事務所はタレントを大切に守ってくれていないのではないか」という強い不満や不信感を募らせる引き金となってしまう恐れがあります。

タレントの活躍を支える最大のパートナーであるファンに対し、事務所のマネジメント体制やタレントケアの姿勢への疑念を与えてしまうことは、事務所のブランド価値を損ない、タレントの今後の活動の基盤を大きく脅かす問題にもなり得ます。同時に、こうした被害の放置はタレント本人に対する心理的負荷となり、日々の活動への影響や活動継続への不安を生じさせる要因となります。タレントとの信頼関係を維持し、安心して活動できる環境を守るという意味でも、放置できない重要な課題です。

3. 公式グッズの価値低下と販売機会の損失

将来的に公式グッズを展開していく際、粗悪な海賊版が市場に定着してしまっていると、公式グッズが持つプレミアム価値やブランドの希少性が大きく損なわれることになります。

本来であれば「事務所とタレントが正当に得るべき収益」が、非公式な第三者のプラットフォームや業者に勝手にマネタイズされている現状は、公式関連商品による収益化の機会を失うという点で、極めて深刻なビジネス上の損失リスクです。

タレントのイメージを守る「能動的なブランド保護」の必要性

今回の調査では、モラルを欠いた悪質な画像加工と、ECモールの隙を突いた非公式ビジネスの存在が、タレントのブランド価値を脅かす大きな要因になっている実態が確認されました。

これらは、プラットフォーム側の自主的な取り締まりを待つだけでは、根本的な解決には至りません。事務所側からもアプローチを行い、社内での情報集約やスムーズな通報手順の共有など、実効性のある対処体制を整えていくことが求められています。

一方、日々のマネジメント業務に追われる中で、こうしたネット上の継続的な監視や、集まった情報の精査・リストアップする作業を社内リソースだけで継続していくのは、工数的にも容易ではありません。そのため、社内だけで抱え込まず、こうした調査や監視の負担を軽減する外部サービスを上手に活用することも、実効性のあるブランド保護対策を持続させるための有効な選択肢です。

アディッシュが提供するブランド保護・リスク対策サービス

アディッシュでは、フリマサイトやECサイトにおける不適切な出品物の検知を通じて、企業のリスク対策を支援しています。
ご相談・ご質問等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

フリマサイト巡回監視の価格例