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ステマ規制で何が変わる?インフルエンサーマーケティングと従業員のSNS利用に注意

作成者: 土居里奈|2023.09.12

2023年10月1日からステルスマーケティング(いわゆるステマ)が景品表示法により規制されます。インフルエンサーを起用したマーケティングだけでなく、従業員のSNS利用においても注意すべき点があります。具体的にNGとなるケースを分析しながら違反とならないためのSNS運用について解説します。

ステマ規制の概要

消費者庁は2023年10月1日から景品表示法(正式名称:不当景品類及び不当表示防止法)における「不当表示」の対象とすることを発表しています。これにより違反した場合には広告主に対して措置命令が出されることになります。

 

ステマ(ステルスマーケティング)について消費者庁は「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」と定義しています。広告であることに気付かれないように自社の製品やサービスについて宣伝を行う手法で、具体的には以下のような方法で行われます。

 

・事業者が自社とは無関係の第三者になりすまして、自社の製品やサービスを宣伝する

・芸能人やインフルエンサー、一般人に利益を提供して自社の製品やサービスについて好意的な情報発信をしてもらう

 

海外ではすでにステマについて規制がされてきました。日本においてもようやく法律による規制が始まります。

そもそもなぜステマは規制されるべきなのでしょうか。

 

皆さんも広告を見る際に、「ちょっと誇張されているでしょ」、「良いことしか言わないよね」というように内容を疑うのではないでしょうか。しかし、著名人が「この商品がすごく良かった!」とSNSに書き込めば、そのような疑いもなく実体験による感想として素直に受け止めるかもしれません。

この差が消費者の消費行動に影響を及ぼすため、ステマ規制の必要性については議論されてきました。

 

以上を踏まえて、広告と認められる場合にはきちんと「広告である」と明示して、ステマにならないようにしていくことが企業側に求められます。

企業は自社の製品やサービスを広告・宣伝します。これ自体は当然問題ありませんが、広告であることを隠してはいけないということです。

 

それではどのような場合に「広告」と認められ、「広告」と明示することが求められるのでしょうか。

広告にあたる?あたらない?の判断

SNSなどにおける情報発信について、広告に該当するとして規制の対象になるかはその情報発信者によって整理されます。

1.企業の関係者が自社の製品やサービスについて発信する場合

製品やサービスの販売促進が求められる立場にある者がその製品やサービスの魅力を語るなどすると広告と判断されます(競合他社製品を誹謗中傷する場合を含む)。

例えば、お菓子メーカーの営業担当者が自社の商品について「これは美味しい!」とSNSに書き込むと広告となる可能性もあります。

 

販売促進と直接関係のない従業員や子会社の社員が一般人の得られる知識の範囲内で商品について情報発信したとしてもこれは広告とは判断されません。

 

営業担当という立場において自社の商品の良いところを自分のSNSに書き込む程度はこれまでにもあったかもしれません。これらの投稿について「広告の可能性がある」という認識を持つことが今後はさらに求められるでしょう。

2.企業が第三者に自社の製品やサービスについて発信を依頼する場合

著名人やインフルエンサー、その他一般人などに企業が明確に依頼や指示を出してクチコミなどを発信してもらう場合は広告となります。明確な依頼や指示がなくとも、クチコミを書くなどすることで何かしらの利益が得られることを期待させたら規制の対象となる可能性があります。

 

一方でこのような第三者があくまでも自主的にクチコミやレビューなどの情報を発信することは広告とはなりません。

例えば製品やサービスを無償で提供された場合であっても、第三者が自分の意思で好意的な書き込みを行っているのであれば問題がありません。

 

これらの状況を踏まえて、「広告であるのにそれが伝わらない可能性がある」ケースにおいては以下のような情報を明示的に入れる必要があります。

 

・広告

・宣伝

・PR

・プロモーション

 

前述の通り、違反の場合に措置命令の対象となるのは第三者ではなく広告主です。特にインフルエンサーマーケティングを活用される企業も増えていますが、どのような情報発信がされているのか、「広告であることの明示」が適切に行われているかをチェックする必要があるでしょう。

「広告であること」を明示して規制の適用を回避

インフルエンサーを起用したPRにおいて、「#PR」などのハッシュタグを用いることが多いのではないでしょうか。また「〇〇社から商品の提供を受けて投稿している」という表記によって広告であることを明示する場合もあります。

これらの手法について、今回のルール変更に伴いさらに徹底していく必要があると考えられます。

 

ただしSNSによってはハッシュタグを用いてPRを明示することを非推奨としているものもあります。そこで各SNSでは、ユーザーの投稿を企業が広告配信することで結果的にステマを回避する公式機能を設けています。

 

例えば、Instagramにおいてはインフルエンサーの投稿を広告として配信できる「ブランドコンテンツ広告」という機能があります。この機能によりインフルエンサーと企業の関係が明確になるためPR表記が適正に行われているかなどを気にする必要がなくなります。

また、広告として効果測定ができるため、インフルエンサーの評価としても注目されています。

 

前述の通りに海外ではステマ規制が日本より先行してきました。そのためInstagramだけではなく、X(元Twitter)やTikTokにおいても同様の機能やステマ防止のためのルールが徹底されています。

広告であることを隠すのではなく、このような機能を用いてユーザーと一緒に優良なコンテンツとしてのプロモーションを作り上げていくことが求められています。

まとめ

最後にステマ規制を踏まえてプロモーションを行うためのポイントをまとめます。

 

・広告であるか、広告でないか、という基準を十分に理解する

・広告となる場合には「広告である」ということをルールに従って明示する

 

上記が基本的な注意点です。

 

またあわせて注目したいのは、従業員など関係者のSNS利用についてです。

「従業員のSNS利用」というと不用意な書き込みによる、いわゆる”ネット炎上”を想像します。しかし、従業員が自社の製品やサービスについて書き込むことがステマ規制の対象となる可能性がある以上は新たなリスクとして注目をしたいところです。

各社、従業員のプライベートでのSNS利用については一定のルールを設けていることでしょう。その内容が「ステマ規制」という観点で対応できているかを再度見直す必要があります。また、過去の投稿において規制の対象になる内容はないか点検することも求められます。

 

もちろん従業員が自分の働く会社の製品やサービスを人に勧めたいと考えてくれることは大変喜ばしいことです。そのため自社の製品やサービスについて書くことを萎縮させるのではなく、望ましい形式で書いてもらえるようにルールを徹底することが必要でしょう。

 

アディッシュでは従業員のSNS利用についてのルール策定のサポートなど、企業のインターネット活用を支援しています。