導入事例 | インターネットモニタリングのアディッシュ

海賊版商品を着実に削除。アニメーションの総合プロデュース会社と取り組む“効果的な海賊版対策”【株式会社トムス・エンタテインメント様】

株式会社トムス・エンタテインメントは、数々の人気アニメーションの企画・製作から映像ライセンス事業、コンテンツ事業までをトータルにプロデュースする会社です。一方で、後を絶たない「海賊版商品」の存在に頭を悩ませていました。作品の価値を守り、ファンが安心して商品を手に取れる環境を構築するため、同社はアディッシュの模倣品・海賊版商品パトロールサービスを導入しました。

本日は、海賊版商品への具体的な対策やサービス導入のきっかけ、導入後の成果について、トムス・エンタテインメントで権利侵害対策を担当されている佐藤様とアディッシュ株式会社の担当である小泉さんにお話を伺いました。


株式会社トムス・エンタテインメント 佐藤様

日々変化する海賊版にいち早く対応。2社が共同でパトロールに取り組む

──本日はよろしくお願いいたします。まず、トムス・エンタテインメント様の事業内容についてご紹介ください。

佐藤様:当社はセガサミーグループに属するアニメーションのプロデュース会社です。アニメ制作60年を超える会社ですので、幅広い年代の方がおそらくご存じのアニメーション作品があるのではないでしょうか。

当社の大きな特徴は、クリエイティブとビジネス・プロデュースの両立により、IP(知的財産)創出からお客様満足度の向上まで、「アニメーション制作事業」「映像ライセンスビジネス」「マーチャンダイジングビジネス」を軸に、ワンストップで推進する総合力を有していることです。アニメーションビジネス全体に対して責任感を持って事業に取り組んでいます。

──人気作品だからこそ海賊版商品が出回ってしまう背景があると思います。海賊版商品が出回ると、どのような悪影響があるのでしょうか。

佐藤様:まず直接的な影響として、当社が得るはずだった利益を海賊版に奪われてしまうため、収益面での損失が挙げられます。また、正規品であれば品質をしっかり管理したうえで商品化を許諾しますが、海賊版商品は低品質なものも多いです。例えばTシャツなら生地がペラペラだったり、印刷が粗かったりするものは少なくありません。

何より心を痛めるのは、正規品だと信じて購入されたファンの方をがっかりさせてしまうことです。以前、海賊版商品のレビューに「娘のクリスマスプレゼントに間に合いました。ありがとうございます」という親御さんの書き込みを見つけ、大きなショックを受けました。

——低品質な海賊版商品が出されると、作品そのものの価値まで損なわれてしまう恐れがありますね。そんな海賊版商品に対して、行っている具体的な対策について教えてください。

佐藤様:まず、海賊版を出品しているサイトの監視・パトロールをアディッシュさんにお願いし、海賊版商品のリストを作成していただきます。そのリストをもとに弊社が商品の削除申請を行っています。

小泉:アディッシュでは平日に毎日30分ずつ対象のサイトを巡回し、週に1度リストを提出しています。巡回の対象となるサイトは、トムス・エンタテインメント様とご相談の上で決定します。そのほか、2週間に一回、海賊版商品の出品傾向などについてのレポートを作成し、ミーティングで情報共有を行っています。

──具体的に、どのようなサイトで海賊版商品が出回っているのでしょうか。

佐藤様:私たちが普段使っているサイトにも数多く出品されています。メジャーなECサイトや、フリマサービスでも海賊版商品を目にします。商品のジャンルは、スマホケースなどの小物からTシャツなどのアパレル、インテリアまでさまざまです。

──アディッシュによる巡回で、特に注意しているサイトや商品ジャンルはありますか?

小泉:重点的に巡回しているのは、ユーザー数が多いサイト、そして削除申請にきちんと応じてくれるサイトです。現在は5サイト前後を対象に巡回しています。また、新たに海賊版商品が出品されたり、政府機関などから悪質として公表されたりしたサイトがあれば、その都度トムス・エンタテインメント様と相談して監視します。

商品ジャンルはあまり絞らず、作品名やキャラクター名で検索し、網羅的にチェックしています。商品ジャンルを絞らないことで、思いもよらない商品が見つかることもあるためです。

最近の海賊版商品はスマホケースが多いですが、サイトごとに特色があります。某ECサイトでは、毛布やマット、シャワーカーテンといったインテリア系の海賊版商品が非常に多いです。

ECサイトだけでなく、プリントオンデマンド(Tシャツや雑貨などに好きなイラストを印刷できるサービス)で無許諾のイラストが使用されている場合もあり、これも巡回対象となります。

海賊版対策に手が回らず……真に伴走できるパートナーを求めてアディッシュと出会った

──海賊版商品の被害に対し、サービスの導入前はどのような対策をされていましたか。

佐藤様:以前の侵害対策といえば、「違法動画」の対応が中心でした。主な業務は、動画共有サイトやSNSプラットフォームに無断でアップロードされたアニメーション映像の削除申請が中心でした。

──海賊版商品まで対策を広げたことには、どのような背景があったのでしょうか。

佐藤様:私自身が違法動画対策に取り組むうちに、「このやり方では発展性がない」と感じるようになりました。たとえるなら、目の前に落ちているゴミを拾うだけの「やっつけ仕事」になっていると考えたのです。

見つけたら消すという単純作業だけでなく、能動的に違法動画を探しにいくルーティンを整えることで継続的な対策につなげたいという思いでした。

そんな中、約2年前からテスト的に海賊版商品の対策を始めました。ただ、動画から商品へと範囲を広げれば、当然ながら監視するサイトや対応すべき対象も増えますので、社内のリソースだけでは限界があります。そこで協力していただける外部パートナーを探し始めました。

──数ある企業の中から、アディッシュのサービスを選ばれた決め手は何だったのでしょうか。

佐藤様:違法動画対策については、検知から削除申請までをワンストップで請け負う完結型のサービスがいくつも存在します。海賊版商品についても同じようなサービスを探していたのですが、ちょうどいいサービスがなかなか見つからなかったのです。

中には、訴訟も視野に入れたサービスを提供している法律事務所やコンサル会社もあります。しかし、当社が求めていたのは、違法動画対策と同じ規模感・金額感で始められるサービスでした。

まずは監視・パトロールだけでも対応してくれて、かつ、ノウハウを蓄積しながら伴走できるパートナーはいないかと探していた時に、アディッシュさんにちょうど出会いました。

2024年9月の、模倣品・海賊版商品パトロールサービス提供開始のプレスリリースを見てすぐに連絡しました。余談ですが、当社がアディッシュさんに問い合わせた最初の企業だったと聞きました。

──単に業務を委託するのではなく、「共に成長してくれるパートナー」を求めていたのですね。

佐藤様:そうです。違法動画対策はある程度ルーティン化された作業が多いのですが、海賊版商品対策はそう一筋縄ではいきません。というのも、公式商品かどうかを見極めるのが非常に難しいのです。その見極め方に関して、明確なやり方は定まっていませんでした。

例えば、無許諾のTシャツやマグカップにもかかわらず、公式のイラストが印刷されている場合、本物と模造品を見極めるのはかなり困難です。また、フィギュアのような立体造形物になると、イラストよりもさらに判別が難しくなります。

だからこそ、「共に試行錯誤しながら伴走してくれるパートナー」を求めていました。アディッシュさんはまさにその通りのスタンスで、私たちの希望にぴったりとフィットしました。

半年間で7万件以上を巡回。サービス導入で視野が広がりナレッジも蓄積

──実際にサービスを導入して、どのような効果がありましたか。

佐藤様:最も効果があったのは、社内だけで対策を行っていた時と比べて「圧倒的に視野が広がった」という点です。アディッシュさんも加わったことで新たな視点が生まれ、これまで気づけなかった課題や傾向を多く発見できました。

特に2週間に一度のミーティングは、本当に参考になります。当社になかったアディッシュさんの視点や分析方法は大変興味深いもので、大変助かっています。

時間経過と共に海賊版業者側の手口は巧妙化していきます。例えば、あるとき「作品名での出品が減り、キャラクター名での出品が増えている」という報告をいただきました。「削除申請を避けるために、意図的に作品名を記載していないのではないか」と推察していただき、納得しました。そうした現場からのリアルな意見をいただけると、非常に勉強になります。

——アディッシュの巡回や報告の実績についても、具体的に教えてください。

小泉:2025年1月から6月末までの半年間で約7万2,000件の巡回を行い、海賊版の疑いがある商品として約5,800件をご報告しました。そのうち、ほぼ全ての海賊版商品が削除されました。

1~3月と4~6月に分けて比較すると、4~6月の報告件数が約1,500件増えています。これは、対象作品の人気や知名度が上がり、海賊版業者のターゲットにされやすくなったためと考えられます。作品の人気が上がるのは喜ばしいことですが、海賊版商品が増えてしまうのは悩ましいですね。

とあるプリントオンデマンドサービスについては、作品名での検索結果が0件になったという成果も挙がっています。これは継続的な削除申請の効果が一端にあったのではないかと期待しています。

——継続的な削除申請の効果とは、具体的にどういうことでしょうか。

小泉:まず、海賊版商品は次々と出品されるため、コンスタントに巡回することは必須です。そして、継続的に削除申請を行うことで、プラットフォーム側の対応にも変化がみられるようになりました。

特に印象的だったのが、先ほど触れたとあるプリントオンデマンドサービスでの事例です。プリントオンデマンドサービスでは、正規品は基本的に出品されないため、作品名で検索をすると高確率で海賊版商品がヒットします。継続的に削除申請を行っていたところ、或る時から作品の正式名称での検索結果が0件になりました。

削除申請を行っていない、同作品の他社権利の海賊版商品も多数出品されていたにも関わらず、すべての海賊版商品が一括で表示されなくなったのです。

アルゴリズムの影響などほかの要因も考えられますが、継続的な削除申請によってプラットフォーム側に「この作品は海賊版対策を徹底している」ことが伝わり、その検索キーワード自体を検索結果に表示しないよう制限した可能性があるのではないかと、期待を込めて考えています。

そのほか、担当者が定期的にチェックすることで、正規品と海賊版商品を見分ける精度とスピードの向上という効果も得られました。

──トムス・エンタテインメント様から見て、レポートの精度はいかがでしょうか。

佐藤様:レポートの精度は非常に高く、アディッシュさんに依頼して本当に良かったと感じています。人気作品の場合、多くの商品にこれまた多数のイラストの使用許諾を行うために管理が煩雑になることもあります。そんな場合でも小泉さんは画像検索エンジンなどを駆使して、イラストや商品を特定してくださり、正規の商品と海賊版商品をしっかり判別してくれます。そのスキルにいつも助けられています。

気を付けている点としては、取り組みの初期から、報告の理由をコメントするようにお願いしています。互いにコメントを残して「違和感」の根拠を言語化することで、違法商品の傾向が掴めてきます。それを続けていくうちにノウハウが溜まり、監視の精度も上がっていきました。

共に学び、共に進化する。トムス×アディッシュが目指す“効果的な海賊版対策”

──トムス・エンタテインメント様とのやりとりで印象に残っていることがあれば教えてください。

小泉:佐藤様は「ユーザー目線で見てどうか」という軸を明確に示してくださるので、私たちとしても非常に業務を進めやすいです。例えば、ニッチなキーワードで探し続けるのではなく、一般的なユーザーが検索するであろう代表的なキーワードに絞ることで、効率的に進めています。

削除に応じてもらえないプラットフォームに時間をかけても仕方がないという考え方も、新たに得られた視点でした。実際にほかの企業様からも、こういったお困りごとのご相談をいただくことも多く、トムス・エンタテインメント様のサイトの選定に対する考え方は、私の中で財産になっています。

トムス・エンタテインメント様はIP管理における長年の実績をお持ちなので、私たちも多くの学びを得ています。いつも知見を惜しみなく共有してサービスの改善にご尽力いただき、ありがとうございます。今後も良い関係性で、共に海賊版対策に取り組んでいきたいと考えています。

──最後に改めて、アディッシュと協業して良かった点をお聞かせください。

佐藤様:海賊版商品への対応は、企業によっては訴訟を起こしたり、海外の司法機関と協力したり、根本的な対策を取っている場合もあると思います。各会社独自の考えで侵害対策をしているとは思いますが、結局どれも正解であるし間違いではないと思います。

当社では、「いかに現実的かつ持続可能な形で、海賊版を減らしていくか」を考えています。もっと効果的な手段もあるかと思いますが、お客様が買い物をする身近なECサイトから少しでも違法商品を減らしていくことが、毎日の業務の中で実直に対応できるひとつの方法であると思っています。ですので、日々の巡回や情報整理の部分を丁寧に支えていただいていることに、とても助けられています。

今後も協力しながら、より効果的な海賊版対策を進めていければと思っています。

──海賊版商品の対策について、貴重なお話をいただきありがとうございました。

まとめ|現実的で続けられる海賊版対策を

今回のインタビューから、海賊版対策には、「継続的な巡回」「削除申請の優先順位づけ」「違和感の根拠を共有しながら精度を高めるプロセス」が欠かせないことが改めて見えてきました。

日々状況が変わるECサイトでの“水際の対策”は、企業のブランド価値とファンの体験を守るうえで、今後さらに重要になります。しかし、社内だけでこの体制を維持するのは容易ではありません。

アディッシュでは、今回ご紹介したような定期巡回・検索ロジックの設計・レポートによる情報共有を通じ、企業の状況に合わせた海賊版対策の運用をサポートしています。

企業規模や体制によって取り組み方はさまざまですが、今回の事例が、海賊版対策を進めるうえでの参考になれば幸いです。