企業は集客を目的にSNSなどで情報を発信するようになりました。しかし、その裏には「炎上」というリスクが潜んでいます。
今回は、その「炎上リスク」について解説します。
まずは、リスクについて
リスクとは、一般的に「危険」を意味します。
一方で、金融業界ではリスクを「不確実性」と捉えるケースも多いです。株や不動産投資はリスクが高いほどリターンが大きくなります。しかし、必ずリターンが得られるわけではありません。このような特徴を持つ金融商品を取り扱っていることから、リスクを不確実性という意味で使用しています。
炎上リスクといった場合は、企業イメージの低下や誹謗中傷される可能性を指します。
リスクへの対応策を考える際は、どのようなリスクが存在するかを確認することが大切です。
リスクは1つだけとは限らず、複数ある場合もあります。リスクが複数ある場合、限られた資源を最適に配分するためにリスクアセスメントを行いましょう。
リスクアセスメントとは「リスクの特定」「リスクの分析」「リスクの評価」のプロセスを表します。想定されるリスクを洗い出した上で「被害の大きさ」「発生確率」「影響度」でスコアを付けていき、優先度の高いリスクから対応します。
優先度が決まった後の対応方法は、一般的には主に、回避、低減、移転、受容の4つあります。
回避とは、原因となる事象を取り除くことを指します。例えば、SNSの運用をすると炎上のリスクがあるので、運用を止めてアカウントを削除する等が、少し極端な例ではありますが、当てはまります。
続いて、低減とは、リスクとなる事象が発生する可能性を下げる、または発生した際の影響を小さくすることを指します。例えば、SNSの炎上の発生可能性を下げるために投稿前にWチェック体制を作る、発生した際に早期に解決するためSNSの投稿監視を実施する等が当てはまります。
移転とは、自分たち以外にリスクとなる事象が発生した際の影響を移転することを指します。例えば、SNSが炎上した際の、金銭的な損害を補填するために、保険に加入する等が該当します。
特にリスクの大きさについては、自社だけではなく、第三者の知見がある機関と算出することをおすすめします。
受容とは、対策を取らずに、文字通り受け入れることを指します。見込まれるリスクが小さい場合、もしくは、現実的な対策が無いものの、事業上重要な施策のため、リスクの大きさを理解した上で実施することが当てはまります。
アディッシュでは、主にリスクの低減につながるサービスを提供しています。リスクの低減策を十分に取れているか、簡便的に分かる無料の炎上リスク診断サービスも提供しているため、興味がある方は利用してみてください。
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炎上は大きく分類すると5つの事態を引き起こします。
炎上により企業イメージが低下すると、業績に悪影響を及ぼす恐れがあります。なぜなら、企業の不当な行為や不誠実な対応が発覚すると、顧客は企業に対して不信感を抱き、製品・サービスの購入を控えるようになるためです。
顧客の中には他社製品に乗り換える方もいるでしょう。企業に悪いイメージが付くとなかなか払拭することができません。そのため、すぐには回復しないことが大半です。
イメージや業績の悪化に伴い、見込んでいた売り上げが立たなくなるだけではなく、投資家の投資控えも発生することが多いです。
さらに投資控えだけではなく、企業の将来性を悲観して保有している株を売却する動きが加速します。メディアでネガティブな報道が繰り返されることで、パニック的な売りが発生して株価が急落してしまうのです。従業員の不祥事で株価が暴落することもあります。
炎上は企業をはじめ、関係者が誹謗中傷されて精神的苦痛を受ける可能性もあります。企業の代表取締役や広報担当者、製品開発者など特定されやすい関係者に対して誹謗中傷が集中する傾向があります。
関係者の個人情報が拡散されて執拗な攻撃を受けたり、家族も巻き込まれたりする可能性もあります。
炎上で企業イメージが低下してしまうと、企業存続や給与・賞与維持等への不安感を高めるためです。
また、勤務先に対する否定的な意見を聞かされたり、誹謗中傷が気になったりして仕事に集中できなくなるケースもあります。実際に不正が発覚して従業員が大量に離職してしまった企業も存在します。
過去には不適正行為を起こして炎上し、消費者庁や個人情報保護委員会などの規制当局から調査を受け行政処分を受けた企業も存在します。
炎上リスクを低減するための対策方法は主に6つあります。
炎上リスクを低減するために、ソーシャルメディアガイドラインを作成して、従業員に周知しましょう。ソーシャルメディアガイドラインとは、ソーシャルメディアに関する指針やルールを表すものです。
ソーシャルメディアガイドラインを作成することで、従業員全員がソーシャルメディア利用ルールに関して共通認識を持てるようになり、個人による不適切な発言を防止できます。
出典元:『クミアイ化学工業株式会社』
例えばクミアイ化学工業株式会社は、ソーシャルメディアガイドラインをWeb上で公開しているため、参考にしてみると良いでしょう。
ソーシャルメディアガイドラインには「自社の製品やサービスに関する情報は、公式発表に基づいて発信すること」「競合他社に関する否定的な言及は行わないこと」などを盛り込むことをおすすめします。
炎上リスクを低減するために、投稿の内容をチェックすることが大切です。SNSなどへ投稿する際は次のような内容をチェックしましょう。
等を、それぞれ、より具体的に項目に落とし込み、投稿チェックリストを作成しておき、複数の担当者で投稿をチェックするとSNS炎上を防ぎやすくなります。
炎上リスクを低減するために、炎上発生時の対応を計画しておくことも欠かせません。なぜなら、炎上した際に迅速な対応が求められるためです。迅速に対応できれば被害を最小限に抑えることができ、企業イメージの回復を早めることができます。
危機管理体制を構築する際は①想定される危機状況の対応とシナリオ②担当者の責任③担当者の権限を定めておくと迅速に対応できるようになります。
炎上リスクを低減するためには、従業員に炎上リスクを理解してもらい適切な行動を取ってもらうことが大切です。そのため,炎上対策研修を実施しましょう。
炎上対策研修では炎上の原因、炎上しやすい投稿例、炎上時の対応など実践に役立つスキルを習得できます。炎上対策研修を通じて、炎上による影響を深く理解できるようになり、従業員1人1人が慎重な行動を取るようになるでしょう。また、企業のコンプライアンス意識を高めて企業文化を醸成する上でも有効です。
企業のコンプライアンス意識を高める重要性について詳しく知りたい方は、下記の記事をお読みください。
関連記事:『コンプライアンスとは?SNS時代のリスク管理』
炎上リスクを低減するためには、炎上事例やトレンドを把握して、自社の状況に照らし合わせて対策を講じることが大切です。
炎上事例をチェックすると、どのような要因で炎上するのか、どのような表現が炎上を誘発するのかを把握できます。これにより、自社が同様の状況を招かないための対策を立てることができます。
炎上リスクを低減するためには、モニタリング体制を強化して、炎上の兆候を早期に察知することが大切です。炎上の兆候となるネガティブな投稿を早期に発見して対応すれば、炎上を拡大させずに食い止めることができます。
ソーシャルリスニングツールなど専門ツールを活用することで、モニタリング体制を強化できます。
ソーシャルリスニングツールは、膨大な量のデータをリアルタイムで収集・分析し、自社に関するネガティブな言及や炎上兆候を自動的に検出します。これにより、人的なリソースを大幅に削減し、効率的なモニタリングが可能になります。
モニタリング体制を強化するためには、データのチューニングが大切です。モニタリングを適切に運用するためのチューニングのポイントを下記の記事で解説しています。
関連記事:『SNSモニタリングを適切に運用するためのチューニングのポイントは?』
アディッシュ株式会社は企業の炎上リスクを低減するために役立つサービスを提供しています。
炎上リスク診断とは、企業の炎上リスクを数値化して可視化するサービスです。企業でSNS運用するために備えるべき4つの体制(SNS管理・広報・危機管理・社内)の観点から分析でき、炎上リスクが高い要因を具体的に特定できます。自社のSNS運用における課題を客観的に把握することが可能です。
炎上リスク診断は完全無料のため、ぜひ利用してみてください。
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炎上対策ツール「Pazu」とは24時間365日、SNS運用を監視するためのツールです。Pazuを利用すれば、ネガティブな感情表現や炎上に繋がるキーワードが含まれる投稿をイ早く検知できます。
ソーシャルリスニングと、専任アナリストと炎上対策ツールがセットになり、SNS炎上の検知漏れを防止できるサービスです。専任アナリストがSNS炎上対策の設計から運用まで行います。
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炎上が引き起こすと、企業イメージが低下したり、関係者が誹謗中傷されたりしてしまいます。
そのため、炎上のリスクを理解した上で対策をすることが重要です。
ぜひ、社内で考えるきっかけとしていただければと思います。