ゲーム運営の現場では「面白いゲームを作れば自然とファンが集まる」という時代は終わりを迎えつつあります。近年では、公式SNSや配信コミュニティにおけるユーザー同士のやり取りが、ゲーム体験そのものを形成する重要な要素となっています。
ユーザー同士が語り合い、盛り上がり、時には運営にフィードバックを返すことで、コミュニティはコンテンツの一部として成長していきます。
一方で、このようなユーザー間コミュニケーションは、企業にとって新たなリスク源にもなり始めています。たった一つの炎上コメントが、瞬く間にブランドイメージを傷つけ、プレイヤー離脱、不買運動、株価への影響といった連鎖反応を引き起こすことも珍しくありません。
これからのゲーム運営に求められるのは、コンテンツの面白さだけではなく、ユーザーとの信頼関係をいかに守り、育てていくか──つまり、コミュニティと正面から向き合い、その安全性を支える仕組みの構築です。
コミュニティリスクと聞くと、大規模な炎上事件や悪質な誹謗中傷をイメージしがちですが、実際にはより小さな火種が日常的に存在しています。
・発売前の情報漏えい
・SNSでの誤情報拡散
・ファン同士の対立やトラブル
・公式アカウントへの攻撃的なコメント
・タイアップ先や配信者絡みの炎上
・アカウント売買によるトラブル
・RMT(リアルマネートレード)がもたらすゲームバランスの崩壊と対立
こうした事例の多くは、一見すると単なるノイズや一部の過激な発言に見えるかもしれません。
しかし、放置しておくと「熱心なファンだったはずのユーザー層」が不信感を抱き、コミュニティ全体の冷え込みを招く引き金となり得ます。
つまり、コミュニティリスクとは突然発生するものではなく、気付かないうちに蓄積・拡大していくものなのです。
私たちが多くのゲーム企業様と向き合ってきた中で、最もよく聞くのが「気づいたときにはすでに手遅れだった」という声です。
たとえば、SNS上でネガティブな意見が拡散し、話題になってから公式声明を発表しても後手に回った印象は拭えません。結果として、ユーザー離れ、レビューサイトでの評価低下、メディアでの報道、株価への影響などが表面化し、修復には莫大なコストと時間がかかります。
さらに、カスタマーサポート部門に問い合わせが殺到し、人員増強を余儀なくされるケースも少なくありません。担当者がSNSを常時監視し、神経をすり減らしながら対応しているという事例もあります。
リスク対応において重要なのは、発生後の対応ではなく、「兆候の段階でいかに早く検知し、適切な初動対応を取れるか」が鍵となります。
近年、ゲーム運営のスタイルは大きく変化しました。
リリース後もアップデートやイベント、キャンペーンを継続的に実施する「ライブサービス型」が主流となり、公式・非公式を問わず、ネット上でのユーザー交流の場は爆発的に増えています。
こうした状況で、運営の目が届かないリスク領域も広がる一方です。
問題が起きたときに慌てて対処する「事後対応型」では、もはや間に合わない場面が増えています。
今、企業に求められているのは、兆候を可視化し、初動判断を可能にする体制づくりです。
単なる監視ではなく、コミュニティとの信頼関係を守る仕組みそのものが運営力として問われています。
オンライン機能を備えたゲームでは、ユーザー同士の交流が大きな魅力である一方、その場が荒れることで深刻なコミュニティリスクが生じます。以下は実際に発生した事例です。
あるオンラインゲームでは、リリース直後から「他作品の盗用」「違法な開発手法」といった根拠のない噂がSNSで拡散。さも事実かのように扱われ、ユーザー間で不信感や批判が広がりました。
当初は静観していた運営側も、誤情報が様々なメディアに取り上げられたことを受け、公式声明やイベントでの説明を実施。制作背景や事実関係を公開し一部の誤解は解消されましたが、初動の遅れがブランドに影響を残しました。
嘘や駆け引きを楽しむタイプのゲームでは、ゲーム特性上の緊張感が暴言や差別的発言、個人攻撃に繋がるケースが頻発しました。
ロビー(試合前の待機部屋)での追放機能が嫌がらせ目的で乱用され、「晒しプレイ」と呼ばれる行為も蔓延。対応としてチャットフィルターや通報機能が強化されたものの、後追い対応となり、荒れた印象が定着しました。
対戦型アクションゲームでは、試合中のボイスチャットで暴言、性差別的発言、いじめ行為が未成年ユーザー間で多発。
保護者からの苦情やメディア報道もあり、運営はチャット制限やマッチング方式の見直しを実施しました。しかし、それ以前に被害を受けたユーザーの中には、ゲーム自体を離れてしまった人も少なくありません。
暴言や差別的発言、ボイスチャットの悪用は、ユーザー間のトラブルとして運営の大きな負担になります。
一方、誤情報の拡散は、ユーザー同士の対立だけでなく、運営への不信感を生みコミュニティ全体の信頼を揺るがすリスクです。
早期に兆候を検知し、ルール提示や技術的対策を先回りで打つことこそが、コミュニティの信頼を守る最大のポイントです。
では、具体的にどのような体制を作ればよいのでしょうか。
コミュニティリスクは、単発の施策で防げるものではなく運営全体として継続的に向き合うことが必要で、以下のような基本的な仕組みが求められます。
① ソーシャルリスニングで声の変化を捉える
ユーザーの声をただ拾うのではなく、継続的にモニタリングし、感情傾向や話題の変化を把握することが重要です。
ネガティブな投稿だけでなく、ファンの盛り上がりが過熱することで発生する「ポジティブなリスク」にも注意を払うことが重要です。
② 公式・非公式コミュニティの情報も幅広くカバー
公式SNSだけでなく、配信者のコミュニティ、ユーザー同士が情報交換を行う掲示板やコメント欄など、さまざまな場所でユーザーの声は発信されています。
特に、リーク情報や誤った噂話が広がる場は、公式チャンネルとは限りません。
こうした非公式の場で何が起きているかにも、常に目を配る体制が必要です。
③ モデレーション体制の整備
企業が運営する公式コミュニティやSNSでは、ユーザー同士が安心して交流できる環境づくりが欠かせません。
そのためには、通報対応やNGワード設定、不適切な投稿の削除といったコミュニティ内の秩序を保つための監視体制を整える必要があります。
④ リスク対応フローの明確化
トラブル発生時に、「誰が、どの基準で、どのように動くのか」が曖昧だと対応が後手に回りがちです。
炎上やクレームが発生した際の情報共有フローや初動対応の指針をあらかじめ社内で策定し、関係部署がスムーズに連携できる体制を作っておくことが重要です。
アディッシュでは、以下の領域でゲーム企業様のコミュニティリスク管理を支援しています。
・SNS・コミュニティ監視(X、YouTube、Discord など主要チャネル対応)
・ソーシャルリスニング分析(ゲームタイトルごとの感情変化、トレンド分析)
・モデレーション運用支援(通報・削除対応、NGワード設定、海外コミュニティ対応)
・炎上・クレームの早期アラートと初動対応支援
・ゲーム内チャット、掲示板、攻略サイトなどの監視・支援
当社では、24時間365日体制で、企業ごとにカスタマイズした監視基準を策定し、専門オペレーターが人の目でリスクを確認しています。
国内大手ゲーム企業・配信プラットフォームでの豊富な支援実績を活かし、貴社の運営チームと並走いたします。
ユーザーとのコミュニケーションは、ブランドを成長させる資産である一方、管理を怠れば深刻なリスクにもなります。
そのリスクにいち早く気づき、適切に対処する体制こそが、貴社のゲームブランドを未来へとつなげます。
アディッシュは、リスク情報を単なる脅威として捉えるのではなく、運営チームの次の一手につながる経営資源として活用できるように支援をします。
私たちも、24時間体制の目視監視とソーシャルリスニングの視点から、企業の安心を支える支援をしています。
・24時間365日、専用監視基準+専門スタッフ目視で投稿を見逃さずチェック
・リスク投稿だけでなく、マーケティング活用できるポジティブな声まで幅広く収集
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