ソーシャルリスニング導入において大きな課題となるのがツールの設定です。設定が上手くできていない場合には本当に必要な情報にたどり着くことができず、リスクを見落とす危険性もあります。適切なキーワードの選定などツール設定上のポイントを解説します。
自社やその製品、サービスに対する評判をインターネット上から収集する「ソーシャルリスニング」を導入する企業が増えています。ツールを導入して効率的に情報収集することも一般的となりましたが、その設定の難しさに頭を悩ます担当者の皆様も少なくないのではないでしょうか。
ツール設定の基本は「キーワード設定」です。しかし、キーワードとして自社名や製品名・サービス名を入れたところ「全く関係のない投稿ばかりが収集される」という経験をされた方もいらっしゃると思います。
また、「キーワードを入れたのにあまり投稿が引っかからない」という声も聞かれます。その場合、「リスクのある書き込みを見落としていないか?」と不安になってしまうこともあるでしょう。
ソーシャルリスニングとは、インターネット上の膨大な情報から「自社やその製品、サービスに関するもの」を目的に合わせて選び出す作業とも言えます。
人的リソースが十分にあるのであれば多くの情報を収集して、その一つ一つを判断することもできます。しかし、現実的には限られたリソースを効率的に使って情報の収集と分析を行う必要があるのではないでしょうか。
無駄を省きながらも本当に必要な情報を漏らさないため、ツール設定において押さえておきたいポイントを考えていきます。
まずはソーシャルリスニングを行う目的を考えてみたいと思います。
ソーシャルリスニング導入の目的は「マーケティング活用」、「リスク対策」の2つに大別されます。
【マーケティング活用】 【リスク対策】 |
この両方を目的とすることも人的リソースが確保できれば可能です。ただし、収集した情報の取り扱いや関係部署と連携した体制構築も大きく異なるため、まずはいずれかを選択することが望ましいでしょう。
仮に「リスク対策」を選択した場合、さらに具体的に「知りたい情報」を絞り込むことで適切なキーワードが見えてくると考えられます。
例えば価格について否定的な書き込みがあったとします。もしも製品のコンセプトを「高価格だが高い満足度を提供」としていた場合、この否定的な書き込みはそもそも企業として既知の内容です。もちろん価格に対する貴重なご意見を無視して良いわけではありませんが、他のリスク投稿に比べて優先度が低いという判断もあり得るでしょう。
会社名、製品名、サービス名のみをキーワード設定するとあらゆる情報が入ってきます。例えば「製品名+虫」というように異物混入など具体的なリスクを想定したキーワードを設定する、もしくは不要なものを設定から取り除くことも重要です。
自社に関するワードをキーワードとして設定したところ、無関係な話題が大量に検知されるということがあります。同じ名称、もしくは名称の一部が同じという別のものが検索対象になってしまうケースです。これらは不要な情報であり、本当に必要な情報を埋もれさせてしまうおそれがあります。
一般的な検索ツールであれば「NOT検索」、ソーシャルリスニング専用ツールであればそれに類する機能を活用して、不要な情報を省くことも重要な設定です。
いくら検索しても欲しい情報が出てこない場合、そもそも検索キーワードが間違っている可能性があります。インターネットに社名、製品名、サービス名が正確に書き込まれるとは限りません。特にTwitterなど投稿に文字数制限がある場合には正確な名称を記載することは稀だと思われます。
そこでインターネット独自の略称や通称などがないかを把握することが重要になります。企業が認識できていない名称もあるかもしれません。これらをキーワードに設定して漏れのない情報の収集を行いましょう。
ツール(キーワード)の設定を完了すれば実際にインターネット上の書き込みの収集が始まります。書き込みの内容ももちろんですが、件数の変化にも注目したいところです。
新製品の発表などニュースによって件数が増加することは一般的な傾向です。あらかじめ想定されていた変化であれば良いのですが、そうではない場合にリスクの有無を判断する必要があるでしょう。
意図しない件数の増加があった場合、早急な状況の把握が必要になります。その際に通常時に対してどれくらいの増加があれば「確認を要する異常状態」とするかを定義しなくてはなりません。ツールなどにこの定義を設定することも早期の検知と対応には欠かせないと考えられます。
このようなツールやキーワードの設定は設定して終わりではありません。刻々と変化するインターネットにおいては、継続的に情報の分析とチューニングを行っていくことが求められます。
状況に応じてツールやキーワードの設定を変えていくことについても、慎重にならざるを得ないと思います。設定を変更したばかりにリスク投稿を漏らしたのであれば元も子もありません。
それではチューニングのポイントはどこにあるのでしょうか?
プロモーションが活発になると当該企業に関する書き込みもインターネット上では増加します。このような増加要因を事前に把握できているのであればツール設定に反映すべきかと考えられます。
例えばプロモーションについては検索の対象外とする、もしくは集中的にリスク投稿を収集するためにワードを追加するなどの対応も検討されます。
「世論の変化によって企業にとってのリスクが増大する」ということがあります。
かつて”バイトテロ”と呼ばれた従業員の不適切な行為がネット炎上で話題になった際には他社の同様のリスク投稿が集中的に調べられ、追加で炎上するということがありました。
また社会全体の価値観が変化したことで、かつては問題のなかった企業の活動や情報発信に対する評価が一変することもあります。
そのような変化を把握してキーワードに反映させることも重要なチューニングの一つです。
前述の通り件数の突然の増加は見逃せません。
もしもリスクがなかったとしても、それで終わりではなくチューニングに活用しましょう。ソーシャルリスニングの必要のない投稿が増加したのであれば、キーワードの設定を変更して調整する必要があります。また新たなリスクとなり得る傾向を発見した場合にも速やかなチューニングが求められます。
このようなチューニングを安定的に行っていくためには専任の担当者が欠かせません。人的リソースの問題だけでなく継続的な知識のアップデートなど専門性も必要になるでしょう。
チューニングは自社について、そして社会について情報をキャッチアップしていくことが重要になります。自社の状況に比べて、社会の状況について継続的に把握していくことが難しいとの声も聞かれます。
アディッシュでは専任アナリストがキーワードの設定とチューニングを担当。インターネットにおける世論の動きや社会状況を踏まえたご提案をさせていただきます。
また自社の営業時間外においては突発的な件数の増加への対応は困難です。アディッシュのソーシャルリスニングは24時間365日目視で対応するので、このような状況の変化を即座にご連絡する体制を構築可能です。
ソーシャルリスニングの安定的な運用をサポートさせていただきますのでご相談ください。