インターネットモニタリングブログ | アディッシュ

社内で行うリスク報告。何を伝えなくてはならない?

ソーシャルリスクに関する社内レポートは、Power Pointなどで作成された報告書だけを指すわけではありません。リスクをいち早く知らせるための「メール通知」もレポートの一種です。またその内容に関して、数値の推移というのも重要ではありますが、どのような高リスク投稿があってどのように対処したかという定性的な内容も盛り込むべきでしょう。今回は、考えられる社内レポートの種類を整理したうえで、どのような使い分けをしていくことが望ましいか例を挙げながらご紹介します。

「社内報告」って一体何をすればいい?

ソーシャルリスクに関する社内レポートとしてどのようなものを活用していらっしゃるでしょうか。

レポートは、Power Pointなどで作成された報告書だけを指すのではありません。リスクをいち早く知らせるための「メール通知」もレポートの一種です。

また、数値の推移というのも重要ではありますが、リスクに関するレポートは、どのような高リスク投稿があってどのように対処したか、という定性的な内容も盛り込むべきでしょう。

これらを踏まえ、ソーシャルリスクに関する社内レポートの種類をまずまとめてみたいと思います。

【定期レポート】

日報

1日の投稿状況を把握するためのレポート。前日の状況を朝チェックできるようなレポートが多い。

投稿件数、すべての投稿リスト、また目視チェックしている場合は判断基準の分類ラベルなどを確認できるようなもの。

週報

直近1週間の投稿状況を把握するためのレポート。

週次投稿件数推移、実際の投稿のうち気にすべき内容(抜粋)、内容別件数推移、社内施策やプレスリリースの日付とその反響の有無などを確認できるようなもの。

月報

直近1ヶ月の投稿状況を把握するためのレポート。

月別投稿件数推移、実際の投稿のうち気にすべき内容(抜粋)、内容別件数推移、社内施策やプレスリリースの日付とその反響の有無などを確認できるようなもの。

【不定期レポート(発生都度)】

閾値アラートメール

SNS上での投稿件数が、予め設定している「1時間当たりの件数」を上回ったときに通知メールが送られる。炎上の検知に利用するもの。

緊急連絡メール

1件の投稿でも、内容的にリスクが高いと判断されるものがあればできるだけ早いタイミングで関係者にメールで送付して通知するもの。

クライシスレポート

リスクが高い投稿があった場合や炎上発生時に、炎上・拡散状況を経過観察するために作るレポート。数時間ごとに投稿件数やメディアへの転載状況をリアルタイムで定点観測し、注目すべき投稿がある場合はその投稿のRT増加推移を記録。これらをレポートとしてまとめる。その内容に基づき、関係者が、次のアクションを判断できるようにするためのもの。

もちろん、企業によって不要なレポートもあるでしょう。アディッシュでは、同じ定期レポートでも、日報は毎日すべてのお客様にお送りしていますが、週報や月報についてはお客様のご希望によりオプションでのご提供としています。不定期レポートも同様で、閾値アラートメールや緊急連絡メールは多くのお客様が希望されますが、お客様のご状況・ご要望に合わせて適切なレポートをご用意することで、モニタリングが適切に運用できるようにしています。

ソーシャルリスニングツールを利用している場合、日報・週報・月報はツールで出力できるケースも多いのではないでしょうか。また、閾値アラートメールについても、閾値の数値さえ決めてしまえば、設定した通りに自動的にメールが送付されるようになります。

一方、緊急連絡メールやクライシスレポートは、人の判断が入ったり、別の切り口からの調査が必要だったりと、ツールだけでは完結できないレポートとなります。ツールを使いながらも、最終的には人の手が必要となります。

こんなに多くの種類のレポートがあると、どう使い分けていいか判断が難しいですよね。あくまで一例ですが、活用方法の流れを記載したいと思います。

①日報を毎日チェックし、どのような投稿があるかを把握する

  • 特に炎上などが起きていない平時の状態におけるおおよその全体傾向を把握しておく
  • 例えば「1日の投稿件数は約◯件、そのうち✕✕に関するネガティブな投稿は◯件程度、△△に関する要注意投稿は◯件程度」など、平常時における内容別に見た内訳を感覚的に分かるようにしておく
  • そこから内容的・件数的に外れる傾向がある場合、何かが起きている可能性があると見極められるようにする

②緊急連絡メールが届いたら即座に確認し、対応方針を迅速に判断する

  • 目視により、リスクが高そうな投稿が1件でもあったら、関係者全体に周知する
    • 予め、自社に関する「リスク」を定義しておき、そのリスクに関する内容があれば緊急連絡を送る、などと定めておく(詳細は「ソーシャルリスクを評価するための判断基準づくりのポイントは?【ソーシャルリスニングの秘訣】<https://monitor.adish.co.jp/blog/sns_risk_judgment/>」をご覧ください)
  • 緊急連絡メールは、一定時間に送付されるべきものではなく、発見し次第即送付されるべきもののため、メールが送付された場合に迅速にその内容に関する事実確認を行い、対応方針を関係部署で検討する
  • 特に店名や個人情報などが記載されていたり、画像や映像があったりするものは、拡散されることもありうるため事実確認は必須となる

③閾値アラートメールが届いたら、毎回必ずTwitterで検索する

  • 件数の増加を知らせる閾値アラートメールが届いたら、必ず即Twitter上をチェックして、自社に関する話題を検索する
  • 特に、ネガティブ/リスクを含む内容でRT(公式リツイート)が多い投稿については要確認
  • ネガティブ/リスクを含む内容で炎上状態となっている場合は、件数の推移や投稿内容の変化などをしっかり把握しウォッチする

④クライシスレポートでは、炎上最中のリアルタイム情報を記録する

  • クライシスレポートは、実際に高リスクな炎上が起こってしまった場合のレポートとなるため、多くても年1~2回程度となる(年に1回もない企業も多い)
  • 数時間に1回など短いスパンでの炎上拡散状況を把握するため、リアルタイムで投稿件数を記録したり、ニュースサイトへの転載有無をGoogle検索したりする
  • また、気になる火種投稿(炎上を引き起こすきっかけとなった投稿)のRT推移を把握するため、ツールで件数を追ったり定点的に投稿キャプチャを保存したりして件数推移を記録する
  • 投稿されている内容が事実なのかどうか、事実確認を迅速に行う
  • 火種投稿の投稿者がどのような人物かを探り、もし社内関係者であれば投稿の事実を確認する

⑤週報や月報で、期間内に発生した対応履歴を残し、次回に活かす

  • 期間内の投稿件数、チェック件数、内容別件数、緊急連絡件数などをグラフや表を用いて記録する
  • 投稿件数が多くなった場合は、なぜ多くなったのかの背景を記載する
  • リスクを伴う投稿について、内容の事実確認や何らかの対応を行った場合、その対処内容を記載する

ただ、一連の流れを完璧に整え運用するのは容易ではないかもしれません。最低限押さえておくべきポイントは、以下の2点です。

  • 日報で毎日の投稿傾向を把握し、普段と異なる傾向がないかを見極められるようにする
  • 投稿の中でよりリスクの高いものについては、たとえ1件であっても早めに社内共有し然るべき対処をする

炎上に対処する事が重要なのではなく、炎上する前からいかに食い止めていくのかがポイントです。普段からSNS上の投稿動向を把握し、気になる投稿に対して11つ対処していれば、いざというときにも冷静に判断できます。それ以前に、1件の高リスク投稿を放置せずその都度丁寧に対処することで、そもそものリスク状態が改善していくはずです。

いざという時の「社内報告」では何を伝えるべき?

普段からSNS上の投稿動向に注意を払ってしっかり日々の対策をしていても、炎上を100%防げるわけではありません。キーワードがうまく設定されておらず火種となりそうな投稿を見逃すこともあるでしょうし、過去の投稿が掘り起こされて炎上する事例も幾度となく繰り返されています。

SNSやインターネット上の炎上状態は「重大な1件の投稿」から始まることがほとんどです。この「重大な1件の投稿」を発見するためには、普段からSNSの投稿にどのような内容があるのか、その1件の投稿はどういう人が投稿したのかなどをしっかり把握することが必要不可欠です。

そして万が一炎上が起きてしまった場合、担当外の部署や経営トップも含めて状況をリアルタイムに把握することが望まれます。特に、メディアに取り上げられた場合は拡散スピードと拡散量が非常に大きくなり、複数のメディアからの問い合わせがあるかもしれません。その場合、担当部署だけが知っていればいいというわけにはいきません。経営陣にも情報が行き渡るべきですし、内容によっては、正しくない情報が内部から漏れることを防ぐために全従業員に周知する必要もあるでしょう。

いざというときの社内報告で何を伝えればいいのかは、その炎上動向や投稿内容、タイミングにもよりますが、いくつか実際の参考例を挙げたいと思います。

①実際の例~ 月報で対処結果を報告

A社の例を見てみましょう。

多くの店舗を抱えるA社では、社内向け月報に、投稿件数や内容別件数のほか、高リスク投稿とその対処結果を記載しています。店舗などで起こった顧客トラブルや従業員の不適切な投稿が大半で、画像や動画から店舗を特定したうえでの管理者やスタッフへの聞き取り調査結果、投稿への対処結果、該当者の処分結果などを時系列で記載しています。これらを経営陣・リスク担当部署・各エリア長にも共有し、同じようなことが起こらないよう研修の材料としているそうです。

②実際の例~ クライシスレポートで重大リスクをリアルタイム報告

B社では、従業員しか知り得ない情報がTwitter上で拡散し大きな炎上に遭遇、これに伴い社内共有用のクライシスレポートを作成しました。炎上がもっとも激しいタイミングでは1時間おきに、収まってきてからは4~6時間おきに、その後2週間は毎日一定時刻に、定点観測を実施しました。

件数推移やメディアへの拡散状況を調べることも重視していましたが、その火種となった投稿がRTされるスピードを特に気にしていて、投稿のキャプチャを定期的に保存しRTやいいねの件数をウォッチしました。もちろんこれらのレポートは経営陣にも共有され、メディアなどからの問い合わせに適切に回答できるよう想定問答集も迅速に作成していました。

「社内報告」を行う上で各組織で課題になっていることは?

社内報告レポートに関する課題を見てみましょう。

レポートに関する課題をシーン別に整理すると、以下の3分野に分けられます。

①レポート「作成」における課題

最大の課題は「作成するための時間・工数」ではないでしょうか。完全に自動の場合は作成のための時間は掛かりませんが、緊急連絡メールなど目視チェックが入る場合は、目視する時間、投稿を読んでリスク有無を判断する時間、緊急連絡メールを作成する時間も掛かります。

また、レポートを作成するためにツールを使う場合、ツールでキーワードを設定した人が退職したり異動したりすると、どういう設定だったか分からないまま放置されてしまうということはよく聞かれることです。人事異動で担当者間の引き継ぎがうまくなされないまま宙ぶらりんとなることも多いようです。

②レポート「確認」における課題

自動通知メールは、徐々に見る頻度が減ってくることはありませんか? 毎日決まった時間にツールからの自動メールが送られることで、どこか他人事のように感じられ、自分事として捉えなくなる可能性があるものです。

特に、閾値アラートメールが頻繁に送られるケースが該当します。閾値アラートメールは、設定した件数を超えたらその内容に関わらず自動通知メールが送付されます。しかし内容を見てみると、特にリスクのあるものはなく、それどころかキーワードによっては自社と関係ない内容で閾値アラートメールが送られることもあるのではないでしょうか。これが繰り返されると、「今回も炎上のはずがない」と判断し確認が遅れてしまうこともあるでしょう。

③レポート「活用」における課題

レポートをいかに活用するかも大きな課題かもしれません。多くのパターンは、レポート「確認」まではしても、「活用」まで行かないことが多いのではないでしょうか。そうすると、せっかくのレポートが形骸化して形式的なものになってしまう懸念もあります。

たった1件の投稿でも、自社にとって改善すべきポイントが有るなら活用しない手は有りません。従業員に対する研修材料にも利用できます。せっかくのレポートを、是非活用してみてください。

アディッシュによる有人監視サービスの特色

アディッシュでは、人の目によってSNS上の投稿を読み、内容を吟味し判断しながら内容に応じて分類ラベルを付けています。これを翌日に日報として送付することで、全体の投稿内容のうち、どのような内容が何件あったかなどを把握することはもちろん、気になる投稿を一覧で見ることも可能です。気づいたときには削除されている高リスク投稿でも、日報を見れば、その投稿内容が把握できます。

また、目視しているからこそ、リスクを含む投稿を1件でも発見した場合に送付される緊急連絡メールを通じてお客様にいち早くリスクをお知らせすることが可能です。24時間365日稼働している自社センターで、専門スタッフがSNSを目視しているので、土日、祝日、夜間含めて発見し次第即メールを送付することができます。

閾値アラートメールについては、一旦アディッシュで通知メールを受け取ったうえで内容を目視にて確認し、リスクがないと判断できた場合にはお客様にメールを送付せず、日報でのご報告のみとしています。リスク・ネガティブな内容で炎上状態に入った場合のみメールを受け取れるので、通知頻度も負担になりません。

さらに、オプションではありますが、週報や月報、またクライシスレポートの作成も支援しています。

アディッシュでは、お客様のツールを用いた運用も対応しています。目視チェックはもちろん、レポート部分への関心もお持ちでしたら、有人監視サービスについてもご検討してはいかがでしょうか。