すっかり人びとの生活に根付いたSNS。最近では生の映像を投稿する「ライブ動画配信」も一般的になり、企業の広報・マーケティング活動でも用いられるようになっています。しかし、手軽に使える反面、SNSという環境によるリスクも存在します。今日はライブ動画配信のメリットを踏まえ、実施時に気をつけなくてはいけないポイントについて考えて行きます。
各種SNSがその普及に伴い進化を遂げる中で注目されるライブ動画配信。代表的なSNSを見てもYouTube(YouTube Live)、Facebook(Facebookライブ)、Twitter(Periscope)、LINE(LINE LIVE)、Instagram(Instagram Live)とどれもがライブ動画配信に対応しており積極的にサービスを拡充しています。おそらくSNSを使用している人であれば、どこかしらでライブ動画や配信案内を目にしたことがあるでしょう。
ライブ動画配信は、SNSの拡散力を生かして新規ユーザーを含めた幅広い層にリーチしたい場合はもちろん、既存ユーザーなど特定の対象との関係性を深めるのにも有効です。個人の表現の場という印象がありますが、最近では企業が情報発信する際の手段としても使われはじめています。
ではここであらためて、SNSでのライブ動画配信の魅力とは何でしょうか。筆者が思うに、大きなポイントは以下の3点です。
サービスによっては360度ライブストリーミング動画や高解像度の動画などを使えるので、視聴者側にもストレスなく、十分にその場の雰囲気を伝えられます。スマートフォン一つで簡単に投稿できる手軽さから、コンテンツの幅も広がり、イベントの裏側レポートなどユーザーの興味を引く内容も考えられるようになりました。
プラットフォームごとにお作法は違いますが、リアルタイムで双方向のコミュニケーションが取れることも、視聴者を惹きつけるポイントです。見る側の満足度への貢献はもちろんのこと、その場で明確な手応えを掴めると言う点でも配信する側にとっては大きなメリットと言えるでしょう。
これも意外と重要なポイントです。いまや広告や各種メディアの情報に懐疑的なスタンスの視聴者は少なくありません。そうした人びとは、作り込まれていない情報や配信者の素直な姿勢を重視する傾向にあります。
さて、企業の広報・マーケティング活動に「動画配信」が登場したのは、そう最近の話ではありません。保存した動画コンテンツをオンデマンドで配信する方法は、セミナーやイベントレポートなどで頻繁に利用されていました。ライブでの動画配信を行う企業が全くなかったわけでもありません。
しかし、専用機材や詳しいスタッフが必要で、大掛かりな企画でした。近年のスマートフォンとSNSの普及がその敷居を低くし、企業による活用を加速させています。主な利用場面を例にあげましょう。
例:NTTドコモ 新サービス・新商品発表会(YouTube Live)
https://www.youtube.com/watch?v=chUFFo4lu5M
例:ソフトバンク 新サービスに関する記者発表会(LINE LIVE/YouTube Live)
https://www.softbank.jp/corp/news/webcast/?wcid=i30v7cym
例:インフォテリア 決算説明会(YouTube Live)
https://www.infoteria.com/jp/ir/schedule/
例:STARBUCKS
新フラペチーノ®の登場を記念した初のフェスイベント「STARBUCKS SUMMER FESTIVAL 2017“DOME SURPRISE”」(Facebook LIVE配信)
https://candee.co.jp/works/starbucks/
例:『SING/シング』公開直前ジャパンプレミア生中継!
https://candee.co.jp/works/sing/
すでに終了しており視聴出来ないものが多いですが、内容により必要なものはアーカイブ動画を閲覧できるように配信されています。慣れている企業は、視聴中の質疑応答の方法や、問い合わせ先を予め丁寧に案内するなど運用にも工夫が見られます。
幅広い視聴者を取り込むことができ、かつ一方通行の情報発信に終わらない仕組み。ライブ動画配信は企業の情報発信に携わる広報・マーケティング担当者にとって、ユーザーと繋がる新しいチャンネルであり、魅力的な施策と言えます。
このように魅力的なライブ動画配信ですが、成功させるためのポイントとは何でしょうか。企業が正式に発信するからには、企業や製品のブランドを意識することは言うまでもありませんが、他にも以下のような点に注意が必要です。
「誰でも簡単に配信できる」とは言え、動画の構成や構図、適切な音量調整や編集のコツなど、なかなか思い描いたレベルの作品は作れないもの。動画制作のスキルに関しては、やはりある程度の練習を兼ねてスモールスタートで進めると良いでしょう。動画制作の専門会社に依頼すると言うのも一つの選択です。また集客プランについては一概には言えませんが、その目的や対象者に合わせて適切なプラットフォームやキャンペーンの有無、配信するタイミングなどを検討する必要があります。 ここでもっとも重要な注意点が、SNSという場の性質を踏まえたソーシャルリスク対策です。まず、匿名ユーザーからの心無い誹謗中傷で場が荒らされることが考えられます。さらに出演者の発言や映像についてもその場で修正できないため、否定的な投稿が拡散することで悪い印象が一人歩きする可能性もあります。情報発信するからにはまっすぐにその意図を伝えたいと願うのは当然であり、また一部の悪意ある視聴者によって他の視聴者が不快に感じるような事態も防ぎたいところです。
そのための一つの対策は、ライブ動画配信中、質疑応答を含めた視聴者とのコミュニケーションの手段を何にするか、どう運用するかをしっかりと考えることです。これはスムーズな運用の実現のみならず、リアルタイムに視聴者とやりとりすることで「丁寧に伝える」ことにもつながります。(上の事例では、インフォテリア株式会社の決算説明会の詳細ページが参考になります)
そしてもう一つは、数あるSNS上の投稿の中に、不適切なコメントや非難の芽となり得る否定的なものがないかモニタリングすることです。視聴者が限定的で、直接コミュニケーションを取れる場合は別ですが、不特定多数の視聴を前提とすることもあるでしょう。SNSの拡散力が裏目に出て、企業や製品のイメージに悪影響を与えてしまってはせっかくの企画も台無しです。動画配信中にできることは限られますが、終了後、ここで得られた情報をもとに迅速に対応することで、炎上やイメージダウンの被害を最小限にとどめることができるのです。安心してライブ動画配信に注力するためには、この「守り」の対策が不可欠です。
とは言え、ソーシャルリスク対策はノウハウがないと難しいとお考えの方も多いのではないでしょうか。実際どのような投稿を気にすべきか、どのような対応が必要とされるのか。日頃から対策を実施していなければ何から手をつけて良いかわからないでしょう。また、動画配信と同時並行でモニタリングや分析を行うのであれば、そのためのリソースが必要になります。
アディッシュは、動画も含めたSNS投稿のモニタリングサービスを提供しており、運用ポリシー策定からリアルタイムの投稿監視まで対応可能です。先般、動画マーケティング事業を展開するCandee社と共同で、ライブ配信中のコメントモニタリングサービスを提供開始するなど(参考:https://www.adish.co.jp/news/20180316_moni)お客様が安心してライブ動画配信に取り組めるよう支援体制は万全です。
もし、ライブ動画配信中のソーシャルリスク対策に不安を感じている方がいらっしゃれば、お気軽にご相談ください。
今回いくつか事例もご紹介しましたが、SNSのライブ動画配信は新規ユーザー獲得にも既存ユーザーとの関係構築にも有効な、面白い取り組みです。
あなたが記者発表会を行う広報担当者であれば、過去に接点のないメディアに訴求する施策になりますし、ユーザー会を運営するマーケティング担当者であれば、満足度向上を狙ったユーザー限定企画を実施する場にできるかもしれません。また、今はBtoC事業での利用が目立ちますが、相手の心を動かすという目的はBtoCもBtoBも同じです。今後はBtoBの企業による画期的な事例も増えてくるでしょう。
広報・マーケティングに携わる方であれば日頃からさまざまな形で情報発信を行っていると思います。これを機に、新しいチャレンジとしてライブ動画配信を検討してみてはいかがでしょうか。
*関連セミナー:【Candee×アディッシュ共催】「企業のライブ動画配信のマーケティング活用方法とリスク対策のポイント」セミナー