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【後編】不適切投稿による炎上を避けるための、企業SNS運用時の注意点

作成者: 田中 裕一朗|2024.10.14

企業のSNS活用においてネット炎上対策は欠かせません。最近ではネット炎上のきっかけも多様化し、「不適切」という理由で非難を集めた事例もあります。公式アカウントや従業員のSNS利用においてno

注意点をまとめています。

■SNSに書き込む前に見返したい注意点

前編では下記注意点の1〜4について解説しました。
  1. 生き方や信条に関わるテーマに不用意に触れていないか?
    ※サービスや企業の思想に紐づく場合はこの限りではない
  2. 個人的な意見を会社の顔として発信していないか?
  3. 人を不快にさせる不適切な表現を用いていないか?
  4. 不適切な投稿タイミングになっていないか?
  5. 投稿内容は公開して問題のない情報のみか?
  6. 自社のイメージダウンにつながる発信となっていないか?
  7. 違法行為や迷惑行為を疑われる投稿になっていないか?
  8. 誤投稿をしていないか再度チェック
【前編】不適切投稿による炎上を避けるための、企業SNS運用時の注意点はこちら

前編では主に発信する情報や表現、そしてタイミングの失敗によって炎上となるケースについて解説してきました。後編では自社のイメージダウンにつながりかねない無意識の書き込みについて深掘りをします。

■投稿内容は公開して問題のない情報のみか?

SNSは消費者と自社の製品やサービスを通じてつながっています。「フォロワーの大半は自社製品や自社サービスのファンであり、良い反応を期待してたくさんの情報を届けたい」と考えるものです。

しかし、もちろん非公開/未公開の情報は、注意が必要です。例えば未発表の新製品について社内で聞いた情報をSNSに書き込むことは当然ながらNGです。「重大発表があるかも…」とにおわせることも許されないケースもあります。中にはファンが喜ぶ情報を届けたいという使命感から判断を誤ってしまうこともあるかもしれません。

公式アカウント運用においてはSNSで発信したい情報を社内各所にヒアリングすることもあります。投稿ネタを常に求めている公式アカウントの担当者としては、情報の提供はとてもありがたいことです。そこで必ず確認したいのは情報の解禁日です。重要情報を誤って解禁日前に公開してしまうことのないように注意が必要です。

また社名を公表している従業員のSNS利用においても望ましくない情報公開のリスクへの対処が求められます。内部情報のSNS書き込み禁止を徹底できているでしょうか。明確に公開を禁止されている情報は当然として、公開が望ましくないかどうか判断に迷う情報の扱いについて従業員の理解を深めていく必要があります。

SNSはその気軽さから社内のおしゃべりの延長で書き込んでしまうこともあります。しかし明確に社内と社外に分かれており、情報の取り扱いについて意識を高めておくべきです。

■自社のイメージダウンにつながる発信となっていないか?

社内の常識は世間の常識と必ずしも一致しないことがあります。

例えば「今日も残業だけど楽しい仕事だから頑張れる!」という書き込みは仕事の充実をアピールする意図があるかもしれません。しかし「残業が多いブラック企業」というネガティブなイメージで受け止められる可能性もあります。

またアットホームな職場であることをアピールするために「飲み会もたくさんで上司とも気軽に話せる!」という投稿をしたとします。一部の人々によって「飲み会を強制される」というコメントが書き込まれ、やはりネガティブなイメージが拡散するリスクがあります。

いずれも自社のイメージを悪くしようとする意図はなく、むしろ良い面をアピールしようとしています。しかしSNSでは書き込みの意図を詳細に説明することは困難であり、結果としてイメージダウンに繋がってしまっています。まさか自分の書き込みが否定的に受け取られるとは思っていないからこそ、発生し得るリスクではないでしょうか。

また、仕事に対する強い思いは時としてネット炎上の火種となりかねません。過去には人事担当者が採用したい人物像について「こういう人は正直お断り」という否定的な要素とともに語ったことで厳しい意見が殺到したケースもありました。
そもそも、このようなネガティブな反響が来ることを想定した上で情報発信するのであれば問題ありません。意図しない形で炎上しないためには社内の常識と世間の常識の差を意識してSNS運用を行うことが望ましいです。

■違法行為や迷惑行為を疑われる投稿になっていないか?

不用意に違法行為や迷惑行為を疑われるような投稿をしてしまうことも避けたいです。
企業の公式アカウントや従業員のアカウントから発信される情報である以上は些細なことでも違法行為や迷惑行為は許されません。「うっかりでした」ということでは済まないと考えるべきです。

例えば、何気なく撮影した写真が問題になるケースを考えてみましょう。
乗員がシートベルトをしていない状態が疑われる運転中の写真、駐車してはいけない場所に停めてあると疑われる車の写真、ヘルメットを着用していないサイクリング写真などは炎上の火種となりかねません。
流石に明らかな違法行為を投稿することはないかと思われます。気をつけたいのは、違法行為をしていなくとも断片的な情報から違法行為を行っていると疑われてしまうことです。

また、いわゆる炎上状態になってアカウントへの注目が集まると過去の投稿まで徹底的に調べられると考えるべきです。昔の投稿の中に違法行為や迷惑行為を疑われる内容があった場合には、さらなる炎上につながる可能性があります。騒動が起きてから慌てて消すとさらにイメージが悪化するおそれがあります。日頃から会社の顔として情報発信を行うという意識を持つことが求められます。

■誤投稿をしていないか再度チェック

これまで解説してきた内容をクリアした上で、最後にもう一度投稿の設定に誤りがないかを確認しましょう。ここでミスしてしまうと全てが水の泡となってしまいます。

投稿するアカウントは正しいアカウントでしょうか?
社内で複数のアカウントを管理している場合に、誤ったアカウントに投稿する設定になっていないかを注意しましょう。
もっとも気をつけて防止したいのは、プライベートなアカウントに投稿しようとして企業の公式アカウントに投稿してしまうことです。不適切な内容が公式アカウントに投稿されてしまうことは絶対に避けなければなりません。

また投稿だけでなく公式アカウントの動きは全て見られていると考えるべきです。
うっかり他のアカウントをフォローしたり、投稿に「いいね」をしてしまうと不必要なトラブルにつながる可能性もあります。

誤投稿、誤操作がないようにするために検討したいのはアカウント管理の徹底。さらにはツールなどを用いてリスクを下げることです。

■まとめ

後編では自社のイメージダウンにつながる投稿を無意識にすることを防ぐための注意点について解説しました。
ポイントは、問題ないと考える投稿内容に問題が潜んでいないかを視点を変えて見直してみることではないでしょうか。社内の様々な立場の人に意見を聞いて違った視点を取り入れるのも効果的です。

注意点は絶対的なルールというよりも、炎上のリスクを把握するためのものとして活用し、企業のSNS活用をさらに盛り上げていただければ幸いです。