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特別定額給付金10万円の使途から見る、コロナ禍の消費志向は?!<Twitter調査ブログ>

アディッシュでは、マーケティング活用やネット炎上リスク対策を目的に、Twitterをはじめとするソーシャルメディア(SNS)上の消費者の「素の声」を収集、分析するソーシャルリスニングサービスを提供しています。 そのソーシャルリスニングサービスの技術を利用し、世の中で話題になっているトピックスがTwitter上でどのように話題に取り上げられているのか、その傾向を見ていきます。 今回は、「特別定額給付金の使途」についてです。

調査概要

新型コロナウイルス感染拡大の状況下で、人々の生活・消費の志向はどのようなものに向いているのでしょうか。特別定額給付金10万円の使用用途から、その傾向を見ていきます。

  • 調査1:特別定額給付金の使用に関するTwitter投稿の傾向
  • 調査2:特別定額給付金を具体的な使途について
  • 調査3:2020/8/31にTwitterトレンド入りした「#給付金10万円使い道」調査

調査結果

調査1:特別定額給付金の使用に関するTwitter投稿の傾向

特別定額給付金の給付率が高まっていく中で、Twitter上での使用に関する投稿件数がどのように推移していくかを調査し、その傾向を検証していきます。

【調査方法】
調査期間:2020年5月1日~2020年7月31日
調査条件:
 以下検索条件に当てはまるTwitter投稿(リツイートを除く)
 ・給付金 / 定額給付金 / 10万円給付 また/ コロナ かつ 10万を含む
  かつ
  使う /使った / 買う / 買った / 購入 / 使おう/ 使いたい / 買おう / 買いたい を含む

利用ツール:Social Studio(株式会社セールスフォース・ドットコム)

結果

特別定額給付金の使用に関連するワードを含んだTwitter投稿数は、総務省の特別定額給付金のホームページが開設された5月1日が多いことがわかります。
5月21日は突出して投稿件数が多く、「世帯主が全額を使用する」というニュース記事の引用がその多数を占めています。
6月中旬以降は徐々に減少していき、給付の進行とは逆の動きが見られます。給付金が振り込まれたらどのような使途で利用するか、給付前の段階で言及・消費行動する人が多いことが考えられます。実際の投稿内容からもそのことがうかがえます。

「品川区も特別定額給付金のオンライン申請始まり先程完了。既に「酸素吸入器」と「ゲーミングノートPC」で半分消費済」(5/2)
「コロナで脱毛行けないし 思い切って脱毛器買った 届くのが楽しみ〜 10万円入ると思うと 色々買っちゃう笑 全て自己投資に使おう」(5/11)

また、「申し込み→消費→給付→再消費」と、申し込み後と給付後、二度にわたって消費行動を取るという投稿も見られ、特別定額給付金の施策は、給付した金額以上の消費行動を促進する働きがあったようです。

「既に10万以上使ってるけど給付金の支払いはまだだし追加されたらさらにお金使う自信ある」(6/5)
「給付金が支給されるのでお金使ってるが、実際に振り込まれたらまた使うだろうから、実質20万くらい使いそう。」(6/17)

調査2:特別定額給付金の具体的な使途について

特別定額給付金を具体的に何に使用したのか、給付率が高まるにつれてその消費行動の傾向に変化があるのか、給付金申込開始期、給付率が50%に到達、7月の連休前後という、3つの期間で消費行動について明記されている投稿100件を抽出し、傾向を見ていきます。

【調査方法】
調査期間:①2020年5月1日~5月14日、②6月10日~6月23日、③7月13日~7月26日
調査条件:
 調査1に該当する投稿から消費行動の明記されている100件の投稿を抽出し、目視にて分類
分類項目:

 ・アウトドア・スポーツ ———- キャンプ、スポーツ、車
 ・インドア(娯楽用品等) ———- 漫画、映画、本、ゲーム、音楽、アニメ、グッズ等
 ・旅行・イベント ———- 国内旅行、海外旅行、イベント等
 ・生活費 ———- 食費、日用品、交通費、通信費、税金支払い等
 ・衣服・美容等 ———- 衣服、靴、鞄、装飾品、美容等
 ・家具・家電・家関連 ———- 家具、生活雑貨、電化製品、リフォーム等
 ・不明・その他 ———- 明記のないもの・その他
利用ツール:Social Studio(株式会社セールスフォース・ドットコム)

結果

特別定額給付金の具体的な使途は「家具・家電・家関連」がほぼ半数を占め、全期間にわたって最も多かったです。また、「インドア(娯楽用品等)」の消費も全期間にわたって20件前後と、2番目に多いことがわかります。
実際に、家電量販店の「売上高前年同月比」(家電流通データバンク)でも、4月の売上落ち込み以降、5月から7月にかけて売上高が大きく成長していることがわかります。新型コロナウイルス感染拡大の影響で家での時間が増えたため大きく伸びていますが、特別定額給付金の影響も大きかったのではないかと推察されます。

引用:家電流通データバンク:量販店月次IR情報2020年07月度データ(http://www.910db.com/news.htm

家具・家電・家関連の投稿例
「給付金10万円を貯金せずにきっちり使うことが日本経済を活性化することに繋がるはずなので、何に使おうか考える。仕事のモチベーションにつなげるために、デスクチェアか、作業用テーブルに使おうかな〜。」(6/13)

インドア(娯楽用品等)の投稿例
「オタクに10万与えると20万使う」って悔しいけど合ってんだよなww 給付金入ってからコロナ自粛やら金欠やらで買い控えてたマンガ買い出してるし、次の給料でガンプラ買う気になってるし。 」(6/18)

在宅勤務や外出自粛に伴い、屋内空間を充実させるための設備投資や、娯楽用品の購入といった投稿がみられます。

①5月1日~5月14日、②6月10日~6月23日、③7月13日~7月26日の3つの期間において顕著な変化が見られるのは「生活費」と「旅行・イベント」、「衣服・美容等」です。
「生活費」に関する投稿数は①の期間において多く、②で減少、③で再び増加しています。緊急事態宣言解除後、一時的に今後の収入面の不安が軽減されたものの、新型コロナウイルス新規感染者数の増加に伴い、再び生活に対する不安が高まった影響だと考えられます。

生活費の投稿例
「10万円給付であれ買おうとか言ってる人結構いるのよね。タイムラインでも。恵まれてるよね。 10万円丸々手に入ったら生活費の足しだな。」(5/1)

生活費と逆の傾向が見られたのが「旅行・イベント」、「衣服・美容等」に関する投稿数で、①の期間から②の期間で増加し、③の期間では再び減少に転じています。
「旅行・イベント」については、新規感染者数の増減が大きく影響していることが考えられます。また、言及している場合も、新型コロナウイルス終息後の旅行を検討しているものが多く、実際の消費行動はまだ行われていないケースが多いことが考えられます。

「衣服・美容等」に関しては、期間での増減が見られますが、はっきりとした要因を考察することはできませんが、「生活費」と逆相関の関係が推察されます。

旅行・イベント
「例の10万円が振り込まれていた。一部はコロナ対策に寄付したが、残りは感染拡大が落ち着いた時期に旅行でもして使おう。」(6/21)

衣服・美容等
「定額給付金で買った物 ・通勤用のウォーキングシューズ ・腹筋ローラー 以上」(7/21)

調査3:2020/8/31にTwitterトレンド入りした「#給付金10万円使い道」調査

本ブログ執筆中に、Twitter内で「#給付金10万円使い道」というハッシュタグがトレンド入りしました。調査1・2では「使おう」といった今後の利用予定や希望も調査対象としていましたが、実際にはどうだったのか、調査しました。

【調査方法】
調査期間:2020年8月31日※トレンド入りした日付
調査条件:
・以下検索条件に当てはまるTwitter投稿を無作為に300件抽出(リツイートを除く)
 #給付金10万円使い道 を含む

・抽出した投稿を調査2と同じカテゴリーにて目視分類
・調査2で調査した、3つの調査期間の投稿分類の平均比率と比較
利用ツール:Social Studio(株式会社セールスフォース・ドットコム)

結果

調査2との大きな違いは、「生活費」です。調査2では全調査期間を通して8.6%程度の割合でしたが、調査3では37%を占めています。これは、調査2は自然発生的に発言された投稿のため、「生活費」に関する内容は投稿されづらかった可能性が考えられます。一方で調査3はハッシュタグのテーマに沿って”自身の給付金の使い方”を投稿する流れから、生活費が占める割合が調査2と比較して多くなったことが想定されます。
調査3ではより現実的な使いみちが、調査2ではその当時のニーズが出ているのではと考えられます。
このことは3期間平均と比較して多くの比率を占めている「アウトドア・スポーツ」でもいえるようで、実際にコロナ禍での生活を送るうえで必要となった密を避けた移動手段の確保のため、車やバイク・電動アシスト付き自転車の購入の投稿が多く見られました。

まとめ

いかがでしたか。
今回の調査でわかったことをまとめると以下のようにいえるのではないでしょうか。

・特別定額給付金の使用に関する投稿件数は、申し込み開始時期において最も多いことがわかる。

・具体的な使途は屋内に関することが多く、新型コロナウイルスの感染拡大によって人々の働き方や生活スタイルが変化したことが消費行動にも影響していることがうかがえる。

・具体的な消費行動の多くは、新型コロナウイルス新規感染者数の影響を受けやすい。

・特定のテーマを問う共通のハッシュタグなどで調査することが可能であれば、より具体的かつ幅広い投稿の収集が可能。一方で、そういったハッシュタグがない場合も、複数検出キーワードを設計することでもニーズ調査や特定テーマに関する意見などの調査は十分に可能である。

複数ワードを掛け合わせてシステム的に検出するだけでなく、目視による分類をすることで、心情の変化や、発信者のスタンスが個人なのか企業としてなのか等、一段細かい情報になり、その後の考察や対策といったデータ活用につながることを感じていただければ幸いです。
アディッシュではご要望に応じた初期設計から、実際の投稿情報の収集・目視分類の対応まで一貫して対応いたします。
ご興味がありましたらアディッシュのソーシャルリスニングサービスより詳細をご確認ください。