アディッシュでは、マーケティング活用やネット炎上リスク対策を目的に、Twitterをはじめとするソーシャルメディア(SNS)上の消費者の「素の声」を収集、分析するソーシャルリスニングサービスを提供しています。
そのソーシャルリスニングサービスの技術を利用し、世の中で話題になっているトピックスがTwitter上でどのように話題に取り上げられているのか、その傾向を見ていきます。
今回は、新型コロナウイルスの影響で様々な企業で取り入れられた「リモートワーク」についてです。
新型コロナウイルスの感染拡大は全国的な不要不急の外出、飲食店の営業制限など様々な形で経済活動や人々の生活に変化をもたらしました。
ビジネス面に注目すると「リモートワーク」は多くの企業で急激に推進された、大きな変化の一つではないでしょうか。リモートワークに関連する話題は急増したのか、その話題を取り上げる人の心情はどのようなものだったのか、緊急事態宣言以降のリモートワークに対してはどのような考えがあるのでしょうか。調べてみました。
アディッシュでは「リモートワーク」というワードで社内浸透していましたが、SNSやテレビのニュースなどを見ると、「在宅勤務」や「テレワーク」といった様々な表現が使われています。
関連するワードを含む投稿数は、新型コロナウイルスが発見されて以降どのように推移したのでしょうか。
【調査方法】 調査期間:2019年11月22日~2020年6月30日 調査条件: ・「リモートワーク」「在宅勤務」「自宅勤務」「テレワーク」のいずれかのワードを含むTwitter投稿(リツイートを含む)。 ・抽出条件に該当する日本語の全ツイートの1/10サンプルデータを利用。 ・投稿数グラフは抽出数を10倍にした参考数。 利用ツール:BuzzSpreader Powered by クチコミ@係長(株式会社ホットリンク) |
結果
リモートワークに関連するワードを含んだTwitter投稿数は、国内で感染者確認をうけ、各社でリモートワーク導入が発表された日を皮切りに、投稿数が大きく増加しました。政府の感染予防対策や国内の感染者数の増加に伴い、一日当たりの投稿数は大きく変動しています。
リモートワーク関連ワードを含んだ投稿はどういった心情だったのでしょうか。
緊急事態宣言の期間中(2020年4月26日)、延長の意思表明の首相会見日(2020年5月4日)、5都道県を除き解除になった日(2020年5月21日)の3日間より無作為に100件の投稿を抽出し、ネガポジ分類することで傾向を見ていきます。
【調査方法】 調査対象日:2020年4月26日、2020年5月4日、2020年5月21日 調査条件:「リモートワーク」「在宅勤務」「自宅勤務」「テレワーク」のいずれかのワードを含むTwitter投稿を無作為に100件ずつ抽出(リツイートを除外)。 ネガティブ・ポジティブ・企業によるプロモーション・その他に目視分類。 利用ツール:Social Studio(株式会社セールスフォース・ドットコム) |
時間の経過に伴って、ポジティブな投稿とプロモーション関連の投稿は増えています。ネガティブな投稿は若干の増減はありますが、大きな変化が見られませんでした。
リモートワーク初期には、急な仕事環境の変化に対しての戸惑いが大きかったものの、慣れてくるにつれて良い面と悪い面の両面を許容して、順応していったことが読み取れます。
実際の投稿内容を見ていくと、2020年4月26日時点では、以下の投稿例のように良い面か悪い面のいずれかを取り上げる投稿がみられました。
ポジティブ「テレワークは、着替える必要もないし、電車に乗る必要もないし、朝が有意義に過ごせる。」
ネガティブ「コロナ対策在宅勤務で負荷がかかる。週の半分在宅勤務になったが、出勤しないとできない仕事の量が増えて疲労困憊。」
一方で2020年5月21日ではポジティブな投稿には、当初はネガティブな要素もあったことを含めて変化を受け入れる投稿が見られるようになりました。
ポジティブ「6-7月も在宅勤務推奨となった。4月からのこの生活、GWくらいまでは怠けることが多かったけど、徐々に自己学習の行動がとれるようになった!在宅勤務延長をポジティブにとらえて自己学習頑張ろう。」
ただし同日のネガティブな投稿では、急なリモートワーク推奨の舵取りの影響が悪い形で出ているという内容も見られました。多くの企業は制度の整備だけでなく、従業員の心身にとっての働きやすさについても検討を進める必要がありそうです。
ネガティブ「テレワークをしている人が病みはじめた。はじめはラッキーって思っていたが、徐々にモチベは下がり、気持ちだけ焦ってプレッシャーに押しつぶされ、でもやる気も出ず仕事は溜まってしまい落ち込んでしまうらしい。アフターコロナも恒久的にテレワークらしいから大変だ。」
また、プロモーション関連は、生活の変化に合わせたキャンペーンを打ち出す企業が多く、リモートワークに絡めた施策が増加傾向にありました。
<プロモーション投稿例>
【#バーチャル背景画像】「レイトン」シリーズより、テレワークやビデオ会議で使用できる背景画像をプレゼント!ぜひ、ご活用ください! #レイトン #壁紙配布 #在宅勤務 #テレワーク #StayHome pic.twitter.com/h7HXyXf5fT
— レイトンシリーズ公式 (@L5_layton) April 16, 2020
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緊急事態宣言解除が発表された以降、新型コロナウイルスの完全な終息は未だ見えていませんが(2020年7月16日現在)、コロナを前提とした新しい生活様式と言われるように経済活動は徐々に通常に近い形に戻る動きが見られます。
企業や個人として、今後のリモートワークについてどのように考えているのか、Twitterの投稿内容から見ていきます。
【調査方法】 調査対象日:2020年5月29日 調査条件: (調査3-1)2020年5月29日のリモートワーク関連ワードの投稿のうち、「アフターコロナ」「withコロナ」「ウィズコロナ」のいずれかのワードも併せて記載されている投稿を無作為に100件抽出(リツイートを除外)。緊急事態宣言解除以降のリモートワークに関する言及かどうかを目視判断。 (調査3-2)調査3-1の「関連する投稿」に該当する中で、その投稿が会社としての方針か、個人の意見を述べる投稿なのかを目視判断。 (調査3-3)調査3-1の「関連する投稿」に該当する中で、リモートワークを推進する投稿であるか否かを目視判断。 利用ツール:Social Studio(株式会社セールスフォース・ドットコム) |
調査3-1:緊急事態宣言解除後のリモートワークに関する投稿の割合
調査3-2:調査3-1の「関連する投稿」のうち、会社の方針か、個人の意見を述べる投稿の割合
調査3-3:調査3-1の「関連する投稿」のうち、リモートワークを推進する投稿か否か
Twitterというメディアの特性上、個人の方の言及が多いですが、企業としての今後の傾向の発信としても利用されていることがわかります。
<会社としての投稿例>
アフターコロナを見据えて、事務所にシンクライアントでテレワークできるように挑戦する。できれば、IT導入補助金2020を利用して。事務所にいるのと同じ状態でコントロールでき、生産性向上を狙う。端末にデータ残さず資料の事務所持出がなければ、セキュリティ上行けそう。申告業務は事務所限定。 pic.twitter.com/lb3SMCHqf6
— 井上新(税理士・中小企業診断士・ITC) (@inouearara) May 29, 2020
6/1より、東京都が休業要請緩和のロードマップであるステップ2に移行することを決定したそうです。これにより多くの施設が営業できるようになるようです。弊社でもアフターコロナの新しい働き方について、検討を進めております。https://t.co/6VrC9KebHu#リモートワーク #在宅勤務 #アフターコロナ
— 株式会社グランドリーム (@grandream_jp) May 29, 2020
2020年5月29日時点では、今後のコロナウイルスの動向が読めないため、明確な方針は決まっていませんが、状況に応じた新しい働き方の検討を進めると投稿している企業アカウントは見受けられました。中にはセキュアな情報を扱う事業の場合もテレワークで対応可能な業務を増やしていくことに挑戦する投稿をしています。
個人としての投稿例
「6月以降も業務上必須でない限りオフィスに出社せずにテレワーク。オフィスに出社する場合は業務中もマスク必須で社会的距離を保つこと(隣の席に座らない)。働き方改革で、成果物ありきの成果主義が進みそう。」
「在宅勤務って古い考えの人のせいで浸透してこなかったと思う。目に見える所で頑張っている風の人ばかりが評価されてきたから、出社しないといけなかった。アフターコロナでそういう人たちよりも真の実力者が評価されるようになると良いな。」
個人としての言及の場合は、働き方に限らず、評価方法に関しても変化を予想したり望む声が併せて記載されているケースが見受けられました。
働き方の変化は、その人の仕事ぶりをはかる方法にも変化をもたらしそうです。
いかがでしたでしょうか。
今回の調査でわかったことをまとめると以下のようにいえるのではないでしょうか。
・コロナを機に爆発的に取り入れられ、人々の関心も多くよせられた ・企業のプロモーションは生活様式の変化に合わせ増加傾向(減少傾向が見られる災害時とは異なる傾向) ・日常の慣習に対する大きな変化はネガティブな感情もポジティブな感情も生まれるが、人はネガティブな面も理解し順応することで変化に対応して社会活動を継続する ・「リモートワークを取り入れる」ことはできたが、評価制度や社内コミュニケーションなど、関連する組織制度にも変革がもたらされる可能性がある |
最後の評価制度や社内コミュニケーションなどの組織制度の変化が必要となるのは弊社も同様です。今後もどういった変化が起きていくのか注目していきたいと思います。
複数ワードを掛け合わせてシステム的に検出するだけでなく、目視による分類をすることで、心情の変化や、発信者のスタンスが個人なのか企業としてなのか等、一段細かい情報になり、その後の考察や対策といったデータ活用につながることを感じていただければ幸いです。
アディッシュではご要望に応じた初期設計から、実際の投稿情報の収集・目視分類の対応まで一貫して対応いたします。
ご興味がありましたらアディッシュのソーシャルリスニングサービスより詳細をご確認ください。