KYCとは「Know Your Customer(顧客確認)」の略で、銀行等の金融機関に口座を新規に開設する際に金融機関側から要求される本人の身元確認書類・手続きの総称。
KYC(本人確認)業務は、元々は行政機関、公的機関等に対する手続きを行う場合や、犯罪収益移転防止法に定められた特定事業者(※)と取引をする際に、当該行政機関庁、公的機関及び特定事業者に課されていたもの。
※特定事業者に含まれているもの
金融機関等、ファイナンスリース事業者、クレジットカード事業者、宅地建物取引業者、宝石・貴金属等取扱事業者(古物商も含む)、郵便物受取サービス業者、電話受付代行業者
電話転送サービス事業者、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士
弁護士参考: 犯罪収益移転防止法の概要 / 警察庁刑事局組織犯罪対策部組織犯罪対策企画課犯罪収益移転防止対策室
「本人確認サービス」ページより
しかし近年、仮想通貨の取引が拡大し、それに伴って仮想通貨を利用したマネーロンダリングなどの犯罪が増加している。
また、特定事業者に含まれないサービスでも、他人の写真やプロフィールを使った成りすましなどの不正利用が社会問題となってきた。
そこで、利用者に対するサービスの安全性を高めるために、特定事業者に含まれないサービスでも本人確認業務を強化する必要が高まっている。
金融機関はもともと特定事業者であるが、「犯罪収益移転防止法」が2013年4月1日に改正され、マネーロンダリングや成りすまし取引などを防止するための確認事項が追加されたことを受け、本人確認業務を強化している。
楽天ペイ、LINEペイ、メルペイなどのスマホ決済サービスでも、送金や銀行口座への出金には本人確認が必要な場合が出てきた。
また仮想通貨の取引では、2017年4月1日に施行された資産決済法・犯罪収益移転防止法により、仮想通貨取引所の口座を開設する際には本人確認が義務化された。
特定事業者に含まれないサービスでも本人確認業務を強化する動きが高まっている。
恋愛や結婚などの出会いを探すためのデーティングサービスでは、利用者数の増加に伴い、成りすましなどのトラブルや犯罪の発生が近年増加してきており、業界団体のMSPJ インターネット婚活サービス分科会が、2018年2月に自主規制ガイドライン 「MSPJ 7つの約束」を策定し、本人確認業務への取り組みを強化している。
デーティングサービスと類似するビジネスマッチングサービスでは、職歴・スキルなどさらに重要な個人情報をやり取りするため、参加するには本人確認と併せて審査が必要となっている。
近年拡大しているライドシェアや民泊などのシェアリングエコノミーサービスは、個人間での取り引きであることから、利用者の不安の解消や信頼性を高めることが重要となっている。そのためサービスを運営する会社が自主的に本人確認を行っている場合が多くなってきている。
メルカリ、ラクマ、ヤフーオークションなどのフリマやオークションサービスは近年ますます利用者が増加しているが、それに伴って盗品やコピー商品を転売したり、高額な売上金を騙し取ったりというような犯罪も増えてきている。
その対策として、消費者庁は2015年7月に「インターネット消費者取引連絡会」を立ち上げ、業界としても本人確認が必要な場合を増やすなど規制を強めつつある。
東京オリンピック・パラリンピックでも、大会関係者の会場入場時の本人確認にNECの顔認証システムを採用すると発表され、いまや社会全体で本人確認の必要性とその精度・効率を向上させるための取り組みは必須と言える。
アディッシュでは法律に定められた特定事業者はもちろん、特定事業者に含まれないサービスを提供する企業にも本人確認業務を代行する豊富な実績とノウハウを蓄積しており、KYCに代表される本人確認やプロフィール確認などさまざまな支援が可能です。
サービス運営でお困りの方や詳しく知りたい方は、ぜひ一度、お気軽にお問い合わせください。