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海外に学ぶバイシクルシェアサービスのマナー問題と対策

2018年、国内でも拡大が予想されるバイシクルシェア。既に普及している海外のバイシクルシェアの現状と国内企業5社のバイシクルシェアサービスを紹介。深刻化するマナー問題を日本は克服できるのか?その対策に迫ります。

前編はこちら「海外で急成長のバイシクルシェア。国内普及で抱える問題と対策とは?

中国発のバイシクルシェア企業、Mobikeとofoがついに日本進出を果たしました。
日本では既にNTTドコモがバイシクルシェア事業の実証実験を開始していますが、メルカリやDMMなどの大手企業も2018年にかけて参入することが決定し、今後本格的に国内でバイシクルシェアが普及していくものと予想されます。
一方、既にバイシクルシェアサービスを実施している海外では、深刻なマナー問題に直面しています。
自転車保有率が世界で上位に位置する日本でも、迷惑駐輪や不法投棄などのマナー問題が心配されます。
日本でバイシクルシェアサービスをはじめる場合、マナー問題へどのようにアプローチしていけば良いか、海外の例や国内の状況を見ながら考えてみましょう。

前編はこちら:海外で急成長のバイシクルシェア。国内普及で抱える問題と対策とは?

1.海外のバイシクルシェアサービスの現状

中国

バイシクルシェアブームに乗って企業が次々と事業に参入した結果、競争の激化や市場の飽和状態に陥っています。
中国政府の発表によると、2017年9月までに自転車シェア事業として登録されていた企業の内、60社余りが倒産、あるいは行方不明などで事実上の倒産状態にあるそうです。
また、倒産した企業から利用者にデポジットが返還されないというトラブルや、街中のいたるところに放置自転車があふれるなど、深刻な問題になっています。
そんな中、大きく躍進を遂げたのはMobikeとofoです。
両社ともにドックレス(乗り捨て)の実現や自社製品の自転車を提供する等のサービスやコスト面も成功の一因となっていますが、両社保有のモバイル決済サービスを更に拡大させたことが成功の大きな理由といえます。

オランダ

首都アムステルダムでは、2017年秋より、公道に停められているシェア自転車を撤去すると発表しました。
自転車大国と呼ばれるオランダでは、かねてから駐輪スペースの拡大に尽力してきましたが、シェア自転車が公道を占拠する事態となり、駐輪スペースもついにパンク状態となってしまいました。
駐輪スペースを確保するためには、自治体の協力が必要不可欠であり、そうでなければ、近隣住民からのクレームに繋がる恐れがあります。
バイシクルシェアの本来の目的は、1台の自転車を複数人でシェアすることで街中の混雑を減らすこと。それを期待したにも関わらず、自転車が増加する結果となったため、シェア自転車の撤去に踏み切ったというわけです。
オランダに限らず、法律では公道を商業目的で利用してはいけないとされています。
同市はこれを主張して、事業者にも応分の負担を求める可能性があります。

台湾

台湾ではUbike(YouBike)という自転車レンタルが主流でしたが、2017年5月、シンガポール発の「oBike」が参入しました。
借りた場所で返すというUbikeとは違い、駐輪場ならどこでも借りて返すことができるいわゆるドックレスができるoBikeは導入時から注目を集めました。
しかし導入後、迷惑駐輪やオートバイ専用スペースを圧迫するなどのマナー問題に悩まされています。新北市交通局は、公共駐輪場におけるoBikeの駐輪禁止の措置をとりました。そもそも公共の駐輪場は市民のためにあり、oBikeが利用することは、次の客を待つための駐輪=営業行為とみなすことができるとされたためです。

このように、どの国においてもバイシクルシェアサービスを行うにあたっては、駐輪に関するマナー問題は避けて通れない課題のようです。利便性とルールのバランスを保つことが非常に難しいサービスではあるものの、逆にこの点をクリアする施策が出せる企業ならば、バイシクルシェア事業を成功させることができるともいえます。

2.実施されている国内バイシクルシェアサービス

NTTドコモ

2014年10月から千代田区などの各自治体と共同で実証実験を開始し、現在は都内7区のほか横浜、仙台、広島など10強の地域でサービスを展開しています。
ポート数は350個所以上あり、配備されている自転車の台数は約4,500台と、都内のバイシクルシェアサービスでは最大規模となります。
また、2020年には60歳以上の高齢者が人口の3割を占めることを視野に、電動車椅子や足踏み自転車の導入も決定していて、バイシクルシェア事業の拡大を進めています。

利用料金は100~150円/30分。
中国のサービスは0.5元~1元(約8円~16円)/30分であり、それと比べれば割高に感じますが、山手線の料金は一区間140円、都内のタクシーの初乗り料金が410円であることを考えると、十分納得のいく価格帯と言えるでしょう。

スマホかPCから利用登録後、地図検索で最寄りのポートに行き、自転車の操作パネルにfelicaカード(suicaやPASMO等)かおサイフケータイ対応のスマホ画面をかざします。
スマホがおサイフケータイに未対応の場合は、パスコードを手入力することで開錠し、サービスが開始されます。
至るところにポートが設置されているため、目的地のすぐそばまで行くことができ、返却にも便利です。一部の区を除き、区をまたいでの返却も可能です。
また、自治体との共同事業ということもあり、災害時にも役立つ工夫がされています。
例えば、ポートは電源工事が不要なため、迅速かつ一時的にポートの設置が可能であることや、
専用の機械ラックが不要なことで導入コストも30%削減されています。

Mobike

2016年4月に中国でサービスを開始し、現在は世界160都市以上で導入されているバイシクルシェア業界において代表的な企業のひとつです。
日本でも2017年8月に北海道札幌市からサービスを開始しています。
利用料金はキャンペーン価格として現在50円/30分。NTTドコモの約半額で利用することができますが、キャンペーン終了後の料金は発表されていません。またデポジット(保証金)で3,000円がかかります。
専用ポートがなく、乗り捨てできる点は中国のMobikeと同様です。
日本では、コンビニエンスストアや地元企業と連携して駐輪スペースを確保しています。
自転車はパンクレスタイヤや世界初IOTロックなど、頑丈な作りにこだわった自社製品を提供。4年間のメンテナンスフリーを実現させる等、コスト削減にも力をいれています。
気になるのは、2017年内に10都市展開と発表されていたものの、2017年12月9日現在も新たな参入都市は確認されていません。

3.実施予定の国内バイシクルシェアサービス

ofo

Mobikeと同様、中国で2015年7月にサービスを開始して以降、急速に発展を遂げたofo。
2017年9月に通信大手のソフトバンクグループ傘下の子会社と提携し、東京と大阪でサービスを開始しているとされています。しかし、自転車そのものは日本に上陸しているものの、利用者に向けたサービスは現在(2017年12月現在)も開始されていないようです。
Mobikeの10都市展開が止まっている状況を見ても、実施地が都市部ということもあり、駐輪スペースの確保に時間を要しているものと推測されます。

メルチャリ

フリマアプリを展開するメルカリが運営するバイシクルシェアサービスです。
2018年に都心部からのサービス開始を発表しました。
Mobikeやofoと同様、ドックレスができるイメージで気軽に利用できることを売りとしており、駐輪スペースの確保に向けて自治体や企業との連携を強化していく模様です。

DMM sharebike

DMMも2017年末から2018年初頭にかけてサービスを開始すると発表しています。
注目すべき点は、回収システムを導入し、迷惑駐輪車の回収や整備、専用駐輪場に自転車がなくなった場合の補完等、ドックレス型で生じるであろう問題に先手を打つ取り組みを掲げているところです。
しかし回収や整備に人力を要する場合はコストがかさむため為、料金面で他社と競争できるかが注目されます。

その他、不動産賃貸仲介業のアパマンショップも2018年に「ecobike」を開始予定です。
2018年は各社が続々とバイシクルシェアサービスをスタートさせるため、駐輪スペースの確保やポートの設置合戦が始まるかもしれません。

4.海外のマナー問題から学ぶ日本の対策

海外のバイシクルシェアサービスは、ドックレス型にすることで利用者を大きく拡大できました。
日本でもやはりドックレス型のサービスに人気が集まると予想されます。
ドックレスは、利用者にとっては大変便利ですが、結果として迷惑駐輪や放置自転車が社会問題になるなど、利便性を追求するとルールに反することになってしまいます。
このトレードオフを克服できるかがバイシクルシェアを行う上の大きな課題となるようです。
この問題を解決するべく、中国では政府主導の評価システムを導入し、マナーの悪い利用者はクレジットカードや住宅ローンまで制限をかけたり、少々行き過ぎとも取れる措置をとっています。
また、2008年にドイツで設立されたカーシェアリングサービス「Car2go 」は、指定エリア外に駐車した場合には罰金が発生します。
対面でのサービスではないことから、マナーを守らない利用者に対してはシビアに罰則規定を設けることも必要な措置と捉えているようです。
日本での対策案として、マナーの悪い利用者に対しては、利用停止期間または罰金など、ある程度の罰則規定を設ける一方で、マナーを守る利用者に対しては、一定期間の利用でポイント付与、放置自転車や故障自転車を見つけて報告してくれたらボーナスポイント付与など、利用者にも協力してもらいながらマナー問題に取り組んでいけると良いかもしれません。また、契約時やサービス利用時の本人確認を徹底することで、トラブルの未然防止やマナー違反の抑止力ともなります。さらには、罰則規定を設けるにあたり、利用者がSNS等で運営に対するネガティブな投稿をする可能性も否めません。不測の事態に備えてコミュニティ監視も必要といえるでしょう。

5.まとめ

2018年から国内でもバイシクルシェアサービスが拡大していくと予想されますが、同時にマナー問題も持ち上がってくることでしょう。バックオペレーションとして、定期的な巡回、整備、放置自転車の回収などを行うとともに、利用者の協力も得ながら、法律に依存せずともマナーを守らせる工夫をすることが大切です。
また、本人確認を徹底すること、投稿のモニタリングもスムーズな運営には不可欠といえます。

アディッシュでは本人確認の代行、コミュニティサイトの健全化SNS上の監視の代行をしています。
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