SNSや口コミサイトの普及により、企業の評判はかつてないほど可視化され、そして“リアルタイム”で変動するようになりました。
一人の投稿が1時間で数万件に拡散し、翌日にはニュース化──そんな事例は珍しくありません。しかも、投稿の多くは「誤解」や「感情的反応」によって生まれます。
たとえば、接客対応を巡る誤情報が拡散し、予約キャンセルが殺到したホテル。広告表現が「不適切」と指摘され、炎上後に販売を停止したブランド。これらはすべて、初動の遅れと情報監視体制の不足が招いた損失です。
本記事では、風評被害の構造と初動・拡散防止・再発防止の3段階対応を徹底解説します。
風評被害とは、「事実と異なる情報や誤解」が企業・ブランド・個人の評判を損なうことです。
ただし、SNS上では“正当な批判”と“虚偽情報”が入り混じり、判断を誤ると二次炎上を招きます。
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区分 |
特徴 |
適切な対対応 |
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批判 |
実際の体験や感想に基づく不満 |
傾聴・改善・誠実な対応 |
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誤情報 |
事実と異なる・誤解を誘発する投稿 |
迅速な訂正と周知 |
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炎上 |
批判や誤情報が拡散・感情的連鎖 |
組織的な危機対応が必須 |
“批判”に対して過剰反応すると信頼を損ね、“誤情報”を放置すれば拡散が加速する。この判断軸を明確に持つことが、初動対応の出発点です。
風評はSNSだけでなく、複数のチャネルから発生します。
それぞれの特性を踏まえ、監視・検知体制を組み合わせることが重要です。
炎上対応において、最も危険なのは「感情的な即反応」です。
まずは、投稿の真偽・拡散度・影響範囲を冷静に把握します。
この「確認・整理・報告」の流れをあらかじめ仕組み化・自動化しておくことで、初動判断の精度とスピードを大幅に高めることができます。
初動の遅れは、多くの場合「誰が動くか」が決まっていないことに起因することが多いです。
危機時には、以下の3部署が同時稼働する体制を整えます。
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部署 |
主な役割の例 |
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広報 |
一次声明作成・メディア対応 |
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法務 |
投稿内容の違法性・削除依頼判断 |
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カスタマーサクセス/CS |
問い合わせ窓口対応・顧客説明 |
部署間連絡の遅延を防ぐには、日常的なシミュレーションが不可欠です。
SNSモニタリング体制を整えることで、小さな投稿の段階でリスクを察知し、「炎上の芽を摘む」ことが可能になります。
また、顧客の声をリアルタイムに把握することでサービス改善やブランド信頼の強化にもつながります。
炎上時に最も混乱を招く原因の1つは”発言権の分散”です。
広報・法務・CS・代理店の間で“指揮系統”を定めることが、二次炎上防止につながります。
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フェーズ |
担当 |
主なタスク |
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初期検知 |
CS・監視担当 |
投稿内容の収集と報告 |
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対応判断 |
法務・広報 |
削除要否・声明方針決定 |
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外部対応 |
広報 |
公式発信・報道対応 |
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顧客対応 |
CS |
説明・フォロー・個別返信 |
特にSNSでは、個人担当者が不用意に返信してしまうリスクがあります。「誰が・いつ・何を」発言するかを事前に明文化することが重要です。
誹謗中傷や虚偽情報の削除を求める際は、証拠保存と法的根拠の整理が欠かせません。
削除依頼が難しい場合は、プラットフォームへの通報も選択肢です。動画配信やライブ配信ではコメント欄が荒れるケースも多く、人の目によるリアルタイム監視が有効です。
沈静化の成否を分けるのは「トーン」です。
事実確認中であっても、誠実な一次声明を出すことで、不要な憶測を防げます。誤情報が拡散した場合、最も大切なのは「正しい情報を、冷静に、信頼感をもって伝える」ことです。
広報文では次の3点を押さえましょう
例:現在、SNS上で当社に関する投稿がございますが、事実関係を確認中です。お客様にご心配をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。確認でき次第、公式サイトにてご報告いたします。
“正確さ”と“スピード”の両立こそが信頼回復の第一歩です。
「炎上の経験」を「次の防波堤」に変えることが再発防止の基本です。
想定シナリオに基づく研修を通じて、誰が発言し、どの順序で動くかを確認しましょう。目的は企業が炎上や不祥事などの危機に直面した際、迅速で的確な情報発信ができるようにするためです。
過去の自社の事例や、同業他社事例を元にすると臨場感が出てきます。その中で、社内での情報共有やメディア対応・謝罪・説明の方法を実践的に学びます。
こうした研修を通じて、初動対応の質を高め、組織として一貫したメッセージ発信ができる体制を築くことができます。
[シナリオ①] SNS上で誤情報・デマが拡散した場合
想定状況
事実と異なる情報(誤報・加工画像など)がSNSで拡散。企業や個人の信用を損ねるリスク。
対策例:
[シナリオ②] 自社や従業員の不適切発言・行動で炎上した場合
想定状況
従業員のSNS投稿や内部動画が批判を受け、ブランドイメージが毀損
対策例:
[シナリオ③] 口コミサイト・レビューでの悪評が拡散した場合
想定状況
Googleマップや食べログ、Xなどで悪意ある書き込み・誤解を招くレビューが拡散
対策例:
[シナリオ④] 過去の炎上・不祥事が再燃した場合
想定状況
過去の出来事が再度SNSで話題になり、再炎上の兆し
対策例:
[シナリオ⑤] 競合・第三者からのネガティブキャンペーン
想定状況
競合や匿名アカウントが意図的に自社を貶める投稿を拡散
対策例:
全方位のリスク監視を自社で完結させるのは困難です。
外部の監視・分析を組み合わせることで、社内の見落としを補うことができます。
特に有効なのは以下の3カテゴリです。
外部サービスを活用することで、社内は「判断と対応」に専念できます。
SNS時代の風評被害は、「もし起きたら」ではなく「いつ起きてもおかしくない」時代のリスクです。
ブランドを守るには、常時監視・迅速対応・社内訓練の3つを継続的に回すことが欠かせません。
これらを習慣化することで、企業は“想定外の炎上”を未然に防ぎ、レピュテーションを長期的に守ることができます。
たった一つの投稿で揺らぐ時代にこそ、「備えの仕組み化」こそ最大のブランド戦略です。
アディッシュでは、企業の風評被害・炎上リスク対策を支援するモニタリングソリューション「MONI」を提供しています。
24時間365日の監視体制や広告審査支援など、豊富な実績をもとに多角的なサポートを行っています。
SNSリスクやレピュテーション管理に課題を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。