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自社のWeb動画が非難されている!その時やるべき対応ポイント

作成者: MKG|2017.09.11

インターネットとスマートフォンの普及が加速する中で、自社のネガティブ情報がネット上に急速拡散し、対応状況まで注目されてしまう、「炎上状態」に巻き込まれるリスクが高まっています。炎上騒動にも毎年トレンドがあり、2017年は企業のWeb動画に対する騒動、いわゆる「炎上動画」が続いています。

炎上動画(もしくはWeb動画)とは

企業や自治体がweb・CMで配信する動画コンテンツで、その内容に対して、社会的なネガティブな反応が集中し、SNS、ネットメディア、さらにはマスメディアにまで拡散するもの。昨今は「炎上商法」という言葉も聞かれ、賛否両論あるコンテンツを故意に作成・配信することで話題性を獲得しようと試みるケースも見らる。ポリティカルコレクトネス(政治的正しさ)に反するものに対して反応を受けやすい傾向がある。

参考ブログ:「話題の言葉「ポリティカル・コレクトネス」を無視できない?

Web動画騒動が止まらない

なぜWeb動画が非難されるのでしょうか。その理由はシンプルです。Web動画に対して視聴者が何らかの不快感を持ち、その問題点を指摘した場合に発生します。ネガティブな感想がSNSで拡散し、ネット上での騒動が認知されます。ネットの動向を取材するニュースメディアによって、記事が公開されると、一般層まで知れ渡ってしまうのです。

今回の記事では、あなたが炎上動画の兆候をつかんだ際に、どのような対応を取るべきなのかを解説します。
発生」と「予防」の2つの観点から説明していきます。

炎上動画の傾向

話題先行型の動画

ネットでの話題をとにかく集めたいために、モチーフやメタファー、ビジュアルの使い方が過激になってしまう場合に反感が生まれます。ウケを狙った表現に違和感や不快感を持ったユーザーがネガティブな投稿をして、同時多発する場合があります。

企業がストーリーにこだわった動画

本来は深い意図や特定のターゲット層に伝えたいメッセージが含まれているにもかかわらず、構成やストーリー、表現の問題でうまく伝わらなかったり、こだわりの演出が逆効果となって非難されたりするケースです。

近年では、これら2つのWeb動画が炎上騒動に巻き込まれています。

【炎上動画になったら その1】内外の情報収集と現状把握

Web動画が非難されているとわかった場合、まず何をやればいいのでしょうか。ここでは部門別にチェックリスト形式でご紹介します。

あなたがWeb動画の担当部門にいる場合:

  • 非難投稿が拡散している旨を広報部門、お客様相談室に即座に報告
  • 制作意図を広報部門に説明し、対応を協議
  • 制作を発注した企業担当者にも報告

あなたが広報部門にいる場合:

  • Web動画の制作意図、外注先、費用、公開期間、次回作などを確認
  • Q&A作成、シミュレーション
  • ネットニュースメディアからの電話取材への備え
  • ソーシャルメディアやネットメディアでの露出チェック

あなたがお客様相談室のスタッフである場合:

  • 一般ユーザーからの入電、メール問い合わせ、SNSでの問い合わせへの備え
  • 広報部門とともに制作意図、謝罪スタイル、中止の有無を確認

当該部門と広報部門、お客様相談室が連携し、共通見解を持って迅速に行動することが必要です。外部からの問い合わせに対して「現状では回答を控える」というコミュニケーションの拒絶や、矛盾を含んだコメントはさらなる批判につながりますので避けましょう。

【炎上動画になったら その2】意思決定の実行(継続か中止か)

状況を把握し、企業のコミュニケーションやレピュテーション(※)上のリスクを踏まえて、動画の中止か継続かの判断をしなければなりません。
Web動画の持つ本来の意図や構成に含まれるメッセージの真意に関わらず、内容が理解されないまま一定数の視聴者が不快感を示し、ネガティブ意見が急速に拡散している状態が続くと、この騒動がまとめサイトに集約されます。

※レピュテーションとは
レピュテーションとは「どう思われているか」という評価です。そのため必ずしもポジティブな評価ばかりではありません。さらに、この「どう思われているか」は、別の人が企業や製品、サービスを評価する上で影響力を持つということも忘れてはならないポイントです。

レピュテーションとブランドの違い」より

 

続いてネットの現象を取材するネットニュースメディアから、電話やメールでの取材依頼が入ります。必ず原稿チェックの可否や記事公開日を確認しましょう。やりとりは記事中に盛り込まれますので注意してください。

ニュース記事の共有がネット上で始まり、企業の対応に注目が集まります。内外から集めた情報を元に、このまま継続するのか、動画公開を中止するのかの意思決定を行います。企業が過去に中止したWeb動画の例は次の通りです。こちらに当てはまる場合は、公開中止が妥当です。

公開中止推奨動画

□登場人物の発言や対応が各種ハラスメントにあたると指摘された動画
□過度な性的表現を含むストーリーが不快であると非難された動画
□動画に取り上げられた当事者、関係者からクレームが寄せられた動画
□騒動の渦中にある人物(芸能人、著名人など)が出演している動画
□企業が動画公開をレピュテーション上のリスクと判断した動画

動画公開を中止する決定をした場合は、制作から公開そして騒動に至るまでの経緯と中止決定を示した謝罪文を、自社の公式ホームページのわかりやすい場所に掲載します。

謝罪文の公開とWeb動画の中止で一旦は収束しますが、問題点を掘り下げるオピニオン記事が各種メディアで継続し、類似騒動の発生時に取り上げられることは避けられません。

【炎上動画になったら その3】中止しない場合のデメリット

非難されたとしても、Web動画の公開を継続する企業もあります。自社で問い合わせに対する明確な説明ができると判断している場合や、強い意思を持ってメッセージを発信していきたいという姿勢を持っている場合などです。

予算をかけているから中止は避けたい、騒動になることで逆に話題になって良いではないか、いう判断もあるかもしれません。その場合は、オピニオン記事(ネット上のニュースサイトやオピニオンサイトが動画騒動について考察や意見を出す)が出るリスクや、ネガティブ投稿が残存するリスクを想定してください。

動画がまだ公開されている状況に対して、反対意見や動画停止の要求などが続きます。このように社会問題として発展すると、新聞記者が動き出します。新聞社にはインターネットをウォッチする専門部署があり、騒動の初期から状況を観察しています。新聞記者は制作意図の矛盾や主張の偏り、企業姿勢の問題点などを発見し、容赦なく追及してきます。

Web動画騒動を防ぐために

担当者と制作会社の思いとアイデア、そして予算とクリエイティブを詰め込んだWeb動画キャンペーンを中止する事態は、企業のコミュニケーション活動において大きなダメージとなります。そのような負担を避けるために、Web動画の企画段階から実施可能な取り組みを行ってください。

  • 動画の社内審査委員会の設置
     各部門から選出したメンバーによって、企画段階から動画に関する社内審査を行う。
  • 広報部門によるリスクチェック
     広報部門によって危機管理上の問題があるかないかのチェックを行う。
  • 広告と広報、お客様相談室の連携強化
     動画を公開した場合の影響と対応について、シミュレーションしておく。
  • 既存のWeb動画のリスク分析と対処
     他社事案に類似する動画がないかチェックし、ある場合はリスクを分析する。

ネットニュースメディアの質問に応える

最後に、ネットニュースメディアがWeb動画騒動時に問いかける質問例をご紹介します。
対応に役立ててください。

ネットニュースメディア質問例:

□動画が非難されているのを把握しているか?
□動画の制作意図は何か?
□動画は誰を対象とし、何が言いたかったのか?
□いつまで動画の公開を続けるのか?
□動画の内容が非難されている要因は何だと思うか?
□動画には次回作があるのか?

ネットニュースメディアに「回答を控える」という返信をした場合:

そのメディアは記事中で「●●社■■部は回答を控えるとしている」と書きます。これは「ノーコメント」に近い印象です。見解が公開されるまで、別のネットニュースメディアやオピニオンメディアが同じ質問を繰り返します。ネット騒動は揃うものが揃わないと終わりません。一度公開された回答はインターネット上で引用されます。最初の謝罪文や見解文は慎重に行ってください。

まとめ

  • Web動画騒動では、制作意図への回答や中止・継続の判断が注目されると知るべし
  • 騒動後に継続する場合には強い意志とリスク保有の覚悟を持つべし
  • 騒動を避けるためには、動画の事前チェック制度を導入するべし
  • 広告・広報・お客様相談室のより一層の連携強化をはかるべし
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