現代社会においてSNSは企業にとって宣伝や集客のために必須とも言えるツールのひとつです。しかし、気軽に使える分、投稿内容に気を付けなければ炎上し、宣伝や集客どころか企業イメージをマイナスのものにする可能性があります。
普段から炎上しないよう意識しておく必要がありますが、炎上の火種はいたるところにあるもので、100%防げるものではありません。そのため運用担当者は、普段から炎上対策を心がけつつ、炎上した際の対応策について把握しておくことが重要です。
ここではSNSの炎上パターン、炎上した際に運用担当者がとるべき対応、日頃から行っておきたい炎上対策などについてご紹介します。
SNSが炎上するパターンには以下のようなものがあります。
重要な情報のやり取りをしてしまったり、事実かどうか定かではない内容の投稿をしてしまったりすることで炎上してしまうケースがあります。また、以下のようなものも炎上の火種になります。
・ポリコレに反した投稿 | ポリティカル・コレクトネスの略で、政治的、思想的に偏った内容の投稿をするケース。 |
・レギュレーションに反した投稿 | SNSの利用規約、または公序良俗に反する内容の投稿をするケース。 |
・災害時に投稿する | 災害が起こった際などに、ジョークのような投稿をするなど、TPOに合っていない投稿をするケース(災害時にはアカウントを休止するなどの対応が考えられる)。 |
企業アカウントではなく、従業員が個人のアカウントで投稿したものが炎上の火種になることもあります。
・法律、道徳に反した投稿 | ホテル従業員が芸能人などの宿泊情報を投稿してしまうなどのケース。 |
・情報漏洩 | SNSの利用規約、または公序良俗に反する内容の投稿をするケース。 |
炎上の流れは大きく3つにわかれます。
①発端フェーズ
・きっかけとなるような投稿がされる
・その投稿を見た人がシェアしたり言及する
②深堀り拡散フェーズ
・投稿が次々と拡散されていく
・まとめサイトやニュースサイトに掲載される
③炎上フェーズ
・テレビなどのマスメディアに取り上げられる
といった流れをしていきます。
①のフェーズで早期発見し対応していく事が重要で、②,③のフェーズにいってしまうと止められなくなる可能性が高まります。
以前は、情報への接触がマスメディアからの情報やリアルな人間関係での情報に限られていました。そのため多様性のある情報への接触が乏しくありました。
昨今はインターネット及びSNSが一般化したことで、様々な意見を発信したり受け取ったりすることが非常に増えました。つまり情報接触の多様性が高まったのです。つまりそれは自分とは違う考え方との接触機会が増えるということです。ここで自分の意見とは違うと炎上させようという動きが出てしまうのです。
そういった炎上を起こす方々は、正義感から炎上に参加しているというデータが山口氏の分析から出ています。図のように「年収が高く」「主任・係長クラス以上」の方が正義感で参加しているというのです。
参照:山口真一 (2015) 実証分析による炎上の実態と炎上加担者属性の検証
また炎上はネタになります。Webメディアはビジネスモデル上、PV数(ページビュー数)を増やす必要があり、炎上は格好のネタとなってしまいます。昨今ではそれほど炎上しているわけではないのに、炎上している、として取り上げられてしまうケースもあります。
このように炎上が巻き起こる環境ができあがってしまっており、企業はもちろん、個人も含めて非常に注意しなければならなくなってしまいました。
SNSが炎上してしまった際に慌ててしまうと事態がより悪化してしまう恐れがあるので、運用担当者はいったん落ち着いて対処をしていかなくてはいけません。炎上の事実を発見した際には、まず速やかにその事実を上長、社内の法務などに報告し、企業全体に周知させましょう。
それから炎上の原因を突き止め、企業の方針を決定、対応策を講じます。企業アカウントが不適切な内容の投稿をしたことで炎上しているのであれば、その投稿を削除し、謝罪文を掲載するなどで対応するというのが一連の流れです。しかし火種になった投稿の内容によってはすぐに削除することで「隠ぺい、ごまかし」をしたとして、ますます炎上する可能性があります。また、謝罪文も一貫性がある誠実なものである必要があります。謝罪内容がのちに二転三転してしまわないよう、「とりあえず謝罪する」という対応は控えなくてはいけません。SNSの炎上は企業経営の根幹を揺るがすトラブルに発展しかねないものです。炎上を見つけても運用担当者の独断では判断せず、必ず企業全体にその事実を周知させ、どのように対応するか企業でしっかり方針を定めてからにしましょう。
ネットユーザーの書き込みが原因で炎上している場合には、事実無根のクレームである可能性も考えられます。謝罪をすることで「事実として認める」ことにもなりかねませんので、しっかり事実関係を確認し、その期間はいったんSNSへの投稿を停止するなどが好ましい対応であると言えます。
SNSを運用する以上は、日頃から炎上しないよう対策をとっておくことが大切です。
SNSの利用に関するガイドラインを作成する
SNSの利用の方針を定めるソーシャルメディアポリシー(ガイドライン)を作成し、SNS利用における注意点などを従業員全員に周知させましょう。企業アカウントのみならず、私的アカウントの利用においても注意するよう促すものにすることがポイントです。
社内研修を行う
上で作成したガイドラインを用い、社内研修を行うなど、より積極的にSNS炎上に対する意識を向上させるようにしましょう。今まで述べてきたような炎上が起こる背景を理解していてもらわないと、これは投稿しても良い、悪いの判断がつかなくなります。◯◯な内容の投稿はNG、といったことだけをしているだけでは難しいのが現在です。
エゴサーチなどを行いネットユーザーの投稿を常に確認する
上で紹介した通り、SNS炎上は一般のネットユーザーの投稿を火種に発生することがあります。常日頃からエゴサーチを行い、ネットユーザーが自社についてどのような発言、投稿を行っているか確認しておくようにしましょう。普段、自社のサービスや会社に対する投稿がなかったとしても、急に何かをきっかけに投稿され拡散するということはありえます。
炎上のトレンドを知っておく
炎上のパターンは常に変化するものです。思わぬところから炎上する可能性も考えられます。炎上のトレンドを常にチェックし認知しておくことで、炎上を未然に防げるようにしておきましょう。
参照:SNS運用の心構えを考える(前編)~SNS炎上の変遷から仕組みを理解する~
企業でSNSを運用するのであれば、日頃から炎上を防ぐための対策を講じておくことが大切です。とはいえ、数多くの人々が利用し、日々そのサービス内容などが変化し続けているSNS。炎上を100%防ぐのは不可能です。炎上はどうしても起こってしまうものと考え、炎上した際にいかに落ち着いてSNSユーザーの気持ちを鎮めながら対応できるかが肝心です。
アディッシュはSNS炎上対策としてSNS監視、ソーシャルリスニングを提供しています。お気軽にご相談ください。
またモニタリング機能と炎上対策のeラーニングコンテンツをセットに提供している中小企業向け炎上対策サービス 「Pazu」もあります。