ソーシャルリスニングは、Twitterなどのソーシャルメディア(SNS)に書かれている消費者の「素の声」(投稿内容)を収集・分析し、それらの意見を自社の商品やサービスの向上に役立てることを指す。傾聴するの意より「リスニング」という単語が利用されている。
Google検索やYahoo!検索などの検索エンジンでは、必ずしも新しい情報が検索結果に反映されているわけではない。また、検索結果上位の情報ばかりに目が行くため、一般の人の書き込みは埋もれがちである。一方で、SNSには一般消費者の素の声が溢れている。ポジティブな反応もネガティブな反応も直近の投稿が確認できるため、ソーシャルリスニングを実施して商品やサービスに反映する動きも近年活発化している。
主な方法は、TwitterなどのSNSの検索窓から、会社名や商品・サービス名、ブランド名などで検索して投稿コメントを絞り込み、その収集した内容を検証するやり方である。近年ではSNS上の膨大な投稿を収集・分析するための専用ツールも提供されている。
ソーシャルリスニングを実施する目的としては、主に「リスク対策」と「マーケティング」の2つが挙げられる。
SNSが浸透し、誰もが気軽に情報発信できるようになり、ソーシャルメディア上での発言・行為に対して非難、批判、誹謗中傷といった反応が殺到する「ネット炎上」や、ユーザーによる書き込みをきっかけに企業や製品・サービスに対する批判の声が広がる事象が発生するようになった。企業が販売促進活動で発信した内容に対し、本来の意図とは異なる角度で批判が巻き起こるケースも少なくなく、こうしたトラブルを防ぐには多様な価値観に配慮する姿勢が欠かせない。
実際にネット上のトラブルが発生してしまうと、企業のブランドイメージや事業に及ぼす影響は非常に大きい。炎上が起こる「火種」の段階で迅速に気付けるよう、商品・サービスに関する瑕疵を指摘する投稿や、内部関係者による機密情報や個人情報の漏洩にあたる内容がSNS上に投稿されていないかを確認するのが「ソーシャルリスク」対策としてのソーシャルリスニングである。網羅的に1件1件を精読し、なおかつリアルタイムで把握することがソーシャルリスク対策としては望ましい。
最近ではブランディングや、ユーザーとのコミュニケーション強化といったマーケティング活動のためにSNSを積極的に活用している企業が増えているが、ソーシャルリスニングはここでも大きな役割を果たしている。
目的は大別すると二つある。一つは効果測定の一環として実施されるケースである。商品やサービスの販促キャンペーンを実行する際、ユーザーの反応やどれだけ多くの人たちに拡散されたかといった指標を把握するために実施される。もう一つは、傾聴を目的とするケースである。匿名性が高いSNSやコミュニティでの自由な議論からはユーザーの正直な声を拾うことができるため、企業やブランド、提供している商品やサービスの改善に有効である点はソーシャルリスニングを実施する大きなメリットと言えるだろう。
リスク対策用途が網羅的に1件1件精読するやり方なのに対し、マーケティング用途の場合は消費者調査のようにある特定の項目を深掘りしたり、全体的な傾向を見たりするなど、目的に応じた手法を考える必要がある。
他にも、競合との比較を行ったり、近年ではSNS上で公式アカウントから消費者に直接話し掛ける「アクティブサポート」を実施するためにソーシャルリスニングを取り入れるケースも出ている。
このようにソーシャルメディアが企業の情報発信、販売促進活動の一翼を担っている今、ソーシャルリスニングは、リスク対策、マーケティング活動の一環として欠かせない重要な取り組みと言える。
アディッシュはソーシャルリスク対策のプロ集団としてソーシャルリスニングサービスを展開しています。リスク対策での設計・運用に課題をお持ちの方はお気軽にご相談ください(お問い合わせはこちら)。