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ソーシャルリスク

SNSリスクとも言う。Twitterをはじめとするソーシャルメディア(SNS)上で発生するリスクを指す。

1つの投稿が拡散されてネガティブな意見が溢れるいわゆる「炎上状態」はソーシャルリスクの最たる例であるが、信憑性や具体性が高い投稿が1件でも出た場合はソーシャルリスクになり得る。

これまでの事例では、リスクの高い1つの投稿が数週間から数ヶ月経過して炎上に至った例があるなど、過去の事例を発見され拡散されることもある。

ソーシャルリスクの種類

企業にとってのソーシャルリスクを考えたとき、以下のようなリスクが潜んでいる。

  • 従業員などによる内部関係者からの情報漏洩・暴露情報
  • 商品・サービスの利用者による非難
  • 広告・CMに対する批判
  • 従業員及び顧客による商品・サービスのブランドを傷つける行為
  • 公式アカウントによる不適切な言動

一度SNS上で拡散されると、たとえ大元の投稿が削除されたとしてもキャプチャやコピーが出回り、それらが急速に広がり、場合によってはマスコミでの報道もなされてしまうため、騒動が収まるまで時間が掛かることが多い。これらは一般的なリスクであるが、企業によってリスクと考える温度感が異なるため、ソーシャルリスクの範囲は一概には言えない。ただし、一般的にリスクと捉えられやすいのは画像や映像がついた投稿であり、過去の炎上事例を見ても多くが画像または映像が出回っているものである。

ソーシャルリスクの変遷

総務省「情報通信白書 平成27年版」によると、新聞記事データベースでSNSの炎上に関連する記事を検索すると2010年頃から顕著に件数が増加している傾向が出ているという。中でも2013年には急増していることが分かる。

2013年はいわゆる「バイトテロ」や、客による迷惑行為を撮影した投稿が目立った1年であった。若いアルバイト店員が面白半分に店内にある商品や機材にいたずらをしたり、消費者が店頭で迷惑行為をしたりする画像・映像がSNS上で多数拡散し、企業のブランドイメージを傷つけるなど社会的な大問題となった。

その後2014年後半から2015年前半にかけては「異物混入」で炎上するケースが急増した。これにより全工場の製造中止及び販売休止を発表した食品メーカーもあったほか、飲食店においても異物混入に関する消費者の発言が相次ぎ、SNS上でも異物混入に関する話題は途切れることがなかった。

2017年には企業及び自治体の広告・CMに関する炎上が多発している。差別的表現やセクシャリティに関する内容が主な批判対象となっているが、単なる批判だけでなく、批判に対して「過剰な反応ではないか」といったネガティブな意見も多く出ている点が特徴として挙げられる。

求められるソーシャルリスクマネジメントの在り方

「バイトテロ」や「異物混入」などのように想定外のソーシャルリスクが増えている中、会社として適切な対応を速やかに行えるよう自社での対応力を強化していく必要がある(自律型ソーシャルリスクマネジメント体制の構築・運用)。具体的にどのような取り組みをする必要があるのか。

自律型ソーシャルリスクマネジメントが良い理由と必要な取り組み

外部の専門事業者に相談をして知見を得ることも大切だが、その場合でも社内で判断してソーシャルリスクに対応できるようにしておく必要がある。主な理由としては以下の3点が挙げられる。

①クライシス対応はスピードが命

ソーシャルリスクなどによりクライシス(危機)が起きた際、会社として判断が遅れれば遅れるほど手遅れになる可能性がある。事前にソーシャルリスクに対応するための社内体制ができていれば冷静かつ迅速に対応できる可能性が高くなる。そのために、社内教育などを通した社員のリテラシー向上、ソーシャルリスクの定義づけ、それを踏まえて注意すべきソーシャルリスクを特定し監視する体制づくり、クライシスが発生した場合の社内外コミュニケーション方針の作成などが必要になってくる。

②ソーシャルに限らずすべてのリスクに応用が可能

自社でソーシャルリスクに対して判断・対応することで得られる知見は、SNSに限らず想定外のリスク全般への対応力強化につながっていく。会社の体質を強化していくためにも不可欠な取り組みと言っても過言ではないのではないだろうか。

③外部に都度相談をすることによるデメリット

外部専門家のアドバイスやコンサルティングを受けることは大切だが、クライシスが発生する度に都度相談をしていては対応のスピードが落ちてしまう。また、外部依存の状態になってしまうため社内で知見が蓄積できず、リスク全般に対する対応力がいつまでも向上しないという事態を招きかねない。外部専門家の重要性は認識しつつも、活用の仕方を考える必要があるのではないか。

クライシスが発生した場合、前線に立って判断・対応するのは会社の経営陣という場合もあれば、現場の担当者という場合もある。あくまでもクライシス対応のオーナーは自分たちであることを踏まえ、発生した場合のインパクトも視野に入れて自社の対応力をあげておくことをお勧めしたい。

自律型ソーシャルリスクマネジメント体制の構築・運用をどう始めたら良いかわからない方へ

最初からすべてを実現しようとするのは困難だと思われる。自社にとってボトルネックになっているのはどこなのか?何からであれば社内でも取り組みやすく「小さな成功体験」を積み重ねながら浸透・定着させていくことができるのか?など、自社であれば何から始めれば良さそうかをまずは考えてみていただきたい。

アディッシュではそのような検討の参考にしていただけるよう、様々な参考資料を公開している。これらもぜひご参照いただきたい。

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その中でもし不明な点などがあれば、ソーシャルリスク監視やマネジメント体制構築支援の実績が豊富なアディッシュにまずはお問い合わせください。何から着手するのが良いかご一緒に考えてご提案させていただきます。

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