ネット炎上とは、インターネット上における不謹慎あるいは非常識な発言や行為に対して、非難、批判、誹謗中傷などのコメントや反応が殺到する現象を指す。明確な定義づけは行われていないが、SNSの普及に伴い、広く世間一般でも用いられるようになっている。企業がネット炎上の対象となった場合、ブランドイメージや売上への深刻なダメージとなり得る。
ネット炎上の一部であるコメントは、必ずしも正当な批判ばかりではなく、中には誤解や偏見に基づく反応もある。企業はネット炎上のメカニズムを理解し、適切な炎上対策を整備する必要がある。
ネット炎上のメカニズム
ネット炎上は「発端フェーズ」、「深掘り・拡散フェーズ」、「炎上フェーズ」の3段階から成る。
1. 発端フェーズ
炎上のきっかけとなる投稿・行為からまもない段階。少数の人が発見し、自分に身近なSNSで情報発信を始める(炎上の「火種」)。
2. 深掘り・拡散フェーズ
火種となった投稿を見つけた人が、Twitterや2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)などの匿名掲示板、口コミサイトといったSNS上に投稿することで話題になり、拡散されていく段階。高いリアルタイム性のネット空間で情報のアップデートや深掘りが行われ、より詳細な情報(真実ではないものも含む)が展開される。
3. 炎上フェーズ
深掘り・拡散された情報がまとめサイトやニュースサイト、Yahoo!などの大手ネットメディアに展開される段階。火種となった投稿をした人のネットワークから離れ、大勢の人の知るところとなる。さらに「ネット炎上」事案としてマスメディアで取り上げられると、普段はあまりインターネットを使わない人々の目にも触れ、企業の場合はブランドイメージの失墜・経済的な損失等の深刻なダメージを受けることになる。
炎上フェーズに至ると当事者が事態を制御するのは困難である。また、深掘り・拡散のフェーズで真贋混在の情報が交わされ多様な視点で議論が進むため、元の投稿とズレた論点で炎上しているような場合もある。そのため発端フェーズで火種の投稿を早期検知し、原因となる出来事を当事者間で解決する、または世の中に正しい内容を周知することが重要となる。
参考:あらためて考える炎上メカニズム! 火種となるソーシャルリスクを早期検知する
ネット炎上の原因分類
企業が炎上する場合に考えられる代表的な原因として、以下の3つが挙げられる。
1. 企業・従業員による投稿
企業が運営するTwitterなどのSNSの公式アカウントや著名な経営者(従業員も含む)による情報発信の内容に対し批判が集まる。特に多様性が重視される昨今、発信者の意図とは無関係に差別的、あるいは不快だと反射的に感じ取られてしまうケースも少なくない。その発言=企業の倫理観というイメージに直結してしまうため、情報発信には細心の注意が必要である。
2. 企業の不祥事・従業員の不適切行動
企業が事故や不祥事を起こした際にネット上で批判や憶測を含めたさまざまな意見が交わされる。この場合、広報の情報発信や謝罪会見といった企業としての振る舞いも、炎上の拡大・鎮火を左右する重要な要素となるため特に注意が必要である。またアルバイトを含む従業員による不適切行動の投稿をきっかけに、企業の管理責任が問われたり労務環境に対する批判が起こったりするケースもある。
3. 事業や商品に対する批判
特別な問題行動や発言ではなく、事業活動に関し批判やネガティブな議論が起こる。商品・サービスの品質に対するクレームが原因となる場合以外にも、話題となった類似サービスの影響で議論の対象となる場合などがあり、特に後者はすぐに気がつかない恐れがある。
企業におけるネット炎上対策
ネット炎上対策には、事前対策、平時対策、危機対応の3つに分かれる。
事前対策
ソーシャルリスク対策の必要性に共通認識を持ち、社内の体制を整備する。公式のガイドラインの設置や従業員向けのSNS研修を実施して、リスク発生を予防する。
平時対策
火種となりうる投稿を早期発見し、すみやかに対処するために、ネット上の書き込みを監視するソーシャルリスニングを実施する。情報の抜け漏れがないよう、要注意のリスクに応じた監視の設計をアップデートしていく。
危機対応
リスク発生時は既定の危機管理体制の下、すみやかに発見者のエスカレーションから問題を認識し、組織的対応を行う。社内・社外に向けた対応を実施する。
2019年現在、特にSNSを運用している企業は業界を問わずソーシャルリスクに対する意識が高く、そのほとんどが何らかの対策を講じている。
参考:SNSビジネス活用とソーシャルリスク・炎上対策の実態(2019年春版)
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