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2024.12.25

コミュニティサイト最前線:恋活・婚活マッチングアプリのトレンド ~2024年版~

コミュニティサイトの中でも、個人間で需要・供給をマッチングさせるためのサイトに注目が集まっています。その取り扱いテーマも幅広く、個人のスキルを販売する、モノをシェアリングするためのサービスなど、数え切れないほどのサイトが存在します。
中でも、恋愛・出会いを促進するマッチングアプリのサービスについて、当社が支援する中で得た知見を元に、最新の状況等を調べたので、整理します。
(文中に出てくる企業は、当社の顧客という訳ではなく、あくまでも外部の情報として参照しています。)

1. マッチングアプリ市場の成長

マッチングアプリの市場規模
参考:株式会社タップル発表のリリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000092.000044116.html

ここ数年で、恋活・婚活マッチングアプリ市場は飛躍的な成長を遂げています。2012年にOmiaiが国内初のマッチングアプリとして登場して以来、市場規模は右肩上がりに拡大。2023年には市場規模が788億円に達し、多くの人々にとってマッチングアプリの利用が"一般的"となりました。
それに伴い、ペアーズやタップル等、昨年の秋ごろから初めてテレビCMの放送を開始する等、ターゲット顧客へのアプローチ方法にマス向けなものも増えてきました。
さらに、その役割も多様化しています。恋愛・結婚につなげるための出会いの場のみではなく、趣味や価値観を共有できる相手と繋がる場にもなっており、現代の多様なライフスタイルに応じたサービスが求められてきています。


2.トレンド

マッチングアプリ利用のトレンドまとめ

上述の通り、従来の「恋愛や結婚を目的」とした利用にとどまらず、自分らしい生き方を実現するためのツールとして注目されてきています。
この傾向を把握することは、コミュニティ運営やカスタマーエンゲージメントの向上においても重要な鍵となります。

自分らしさを重視

推し活や趣味の共有等を重視した、コンセプト系のアプリが増加。毎月のように新たなアプリが登場しています。
例えば、映画鑑賞、ペット、ゲームなど、特定の趣味を共有する人々が繋がる場として活用されています。また、恋愛や結婚を“絶対”とせず、自分の幸せを実現することに重点を置く新たな価値観が広がっています。

その他のコンセプト系アプリの例

メタバース/ゲーム特化
 仮想空間での交流や、ゲームを通じて絆を深めるアプリが人気。具体例として「恋庭」や「Memotia」が挙げられます。年収や外見ではなく、価値観や考え方等、その他の部分から入りたい人に人気となっています。
またこのようなバーチャル体験は、ユーザーがコミュニティ内での活動をさらに楽しむきっかけになります。

DINKs対象アプリ
子供を持たず、共働きを希望する人たちをメインターゲットとした「DINKsマッチ」などがあります。
これまでは子供を持つか持たないかという価値観は、重要にも関わらず、出会いのタイミングでストレートには言いづらいところがありました。そこを、アプリのコンセプトとすることで、入口で解決しているものです。

 

AI活用の進化

AI技術を活用したサービスが増え、利用者の利便性が向上しています。これにより、顧客対応担当者やコミュニティ運営者が果たすべき役割も変化しています。

性格診断や価値観の相性診断
AIがユーザーの性格や価値観を分析し、最適な相手を提案する機能は、顧客体験を向上させる大きな要素です。このデータは、ユーザーセグメントの作成や、コミュニティ内でのパーソナライズされた体験の設計にも活用できます。

プロフィール添削やメッセージ作成の自動化
初心者ユーザーが抱える課題を解決する機能は、アプリの定着率向上につながります。また、AIによる最適化は、サポート担当者の負担を軽減するツールとしても有効です。

タイムパフォーマンスを重視するZ世代向けの機能
短期間でデートを設定できる仕組みや、簡潔なコミュニケーションを促進する設計が、若年層のユーザーの心をつかんでいます。これに対応するため、迅速なサポートやタイムリーなフィードバック体制の構築が求められます。

3.進む行政との連携

各アプリの自治体との連携例
下記を参照して作成しております。
・Pairsが運営するnote https://note.com/pairs_challenge/n/nbe4c1b757a60
・株式会社タップルによるプレスリリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000080.000044116.html ,https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000108.000044116.html , https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000126.000044116.html , https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000122.000044116.html , https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000125.000044116.html

子供の数が毎年減少している中、行政とマッチングアプリの連携が強化されています。地方自治体による情報提供や補助金交付等、様々な形での連携が実現しています。
例えば秋田県横手市では、デート費用の補助を実施しています。
さらに、東京都では、独自のAIマッチングアプリも本格的に動き出しています。登録に本人確認書類や収入を確認できる書類が必要等、信頼性に重点を置いたアプリとなっている様です。

4. マッチングアプリに潜むリスク

【MONIラボ】恋活・婚活マッチングアプリの最新事情~2024年~ (1)
参考:日経新聞 2024年3月7日記事 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE061PJ0W4A300C2000000/
参考:警察庁発表資料 https://www.npa.go.jp/bureau/criminal/souni/sns-romance/sns-romance20240311.pdf

一方で、マッチングアプリを活用したSNS型投資詐欺やロマンス詐欺の被害実態が明らかになってきています。

SNS型投資詐欺
40代〜60代の男性が主な被害者。500万円未満の被害がメインだが、中には被害額は1億円以上に達する事例も。

ロマンス詐欺
2023年の被害総額は177億円。恋愛感情を利用し、被害者に近づき詐欺する例が相次ぎます。

それぞれ、FBやインスタでの接触が最多ですが、マッチングアプリでの接触も少なくありません。

5.被害を抑えるための企業側の対応策

こうした被害を抑えるための企業側の対策にはどんなものがあるでしょうか。

本人確認の厳格化
本人確認は、ユーザーの信頼性を確保するための最初のステップです。運転免許証やマイナンバーカードなどの公的書類の確認を強化し、不正行為や偽装書類を排除する必要があります。

AIによる監視強化
専用の監視基準を設定し、顔認識技術やIDセルフィー(本人が証明書と共に自撮りをする方式)を導入する等が考えられます。これにより、提出された書類と利用者が同一人物であるかを確認できます。
例えば、書類の余白やフォントの違い、または顔写真が鮮明すぎる等の不自然さを検知する仕組みを活用します。

外部誘導や詐欺の抑止
個人情報を用いた詐欺や外部サービスへの誘導を防ぐため、アプリ内でのコミュニケーションのモニタリングが重要です。
例えば「LINE」「カカオ」「うぃん」など、外部誘導を目的とした言葉を検知するアルゴリズムを構築することで対応できます。また、外部リンクや連絡先交換を提案するユーザーには、警告やアカウント停止の措置を取るケースが多いです。

透明性のある運営方針
ユーザーに対する透明性を高めるため、不正検出プロセスやデータ取り扱いに関する情報を公開することが重要です。

定期的なレポートの発行
アプリ内でのトラブル報告数や対応状況を可視化することで、ユーザーの信頼を獲得します。

ユーザー教育の実施
安全な利用方法を説明するガイドラインや教育コンテンツを提供します。

コミュニティ機能を活用した監視
既存の信頼できるユーザーに、不適切な行動を報告する権限を持たせることで、健全な環境を維持するケースもあります。

マッチングアプリに限らず、コミュニティを運営する企業にとって、健全な環境を提供することは信頼性の確保に直結します。そのため、こうした対応策を取り入れることは重要です。ぜひ、対応策の検討・見直しをしてみてください。

Writer

この記事を書いた人

アディッシュのモニタリングソリューション「MONI」

ライター

アディッシュのモニタリングソリューション「MONI」

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