キュレーションメディアと責任の認識
騒動となっている「キュレーションメディア」。
日々大量の情報が発信され続けているインターネットにおいて、ライター独自の切り口で情報をまとめてくれる「キュレーション」は大きな役割を果たしてきていました。
しかし、検索上位を獲得するために安価でコンテンツを大量生産し、悪質な記事を掲載する事態が発生。今回、生死に関わるような重大な悩みに対して、問題のある回答を提示している記事が発見されたことで注目を集めるようになりました。
また、コンテンツの大量生産のために著作権などを無視した記事作成が行われたことも問題視されています。
騒動の発端となったサイトの運営企業だけでなく、ネット業界全体の問題として向き合うべきだと考えられます。
すでに問題の根本的な原因はいくつか分析されています。サイト運営を企業が「場」の提供に過ぎないと考えていたことも大きな要因と思われます。
キュレーションメディアにおいては、ライターに「まとめ記事」を執筆させてコンテンツとしています。運営企業はここの記事に対する責任はライターにあるという認識があったのではないでしょうか。
しかし、騒動となってしまえば運営企業とライターの契約は関係ありません。「場所の提供に過ぎない」という言い訳で運営企業が責任を回避することは不可能です。
サイト管理者が負うべき責任
前述のようにサイトの運営企業、サイト管理者は責任を回避することはできません。
単純に記事を書く人と読む人をつなげる「場所」の提供であったとしても、そのような説明は通じません。
著作権を侵害するような書き込みがあった場合には権利者からの「申し立て」を無視することはできないでしょう。
キュレーションメディアとして、重大事故を招くような誤った情報を放置しておくことは無責任と言わざるを得ません。
例えば、ある症状を改善する方法がキュレーション記事として掲載されたとします。医療についての専門知識のないライターが執筆した記事だった場合、その方法を試してしまうことは大きなリスクです。実際に症状の悪化など生死に関わる事故が起こってしまえば、「我関せず」という説明で人々が納得するとは考えられません。
掲載する内容にメディアは責任を負うべきです。そのため記事の内容を厳しく審査し、修正や取り下げを行うことも検討することが望ましいでしょう。
読者に対する積極的なアプローチ
掲載内容に責任を持つことに加えて、読み手に対して「正しい読み方」を伝えて行くこともリスク回避のためには必要です。
ネット検索をする以上、読者は何かしらの解決したい悩みを抱えています。この悩みが深刻であるほど冷静な判断はできなくなり、誤った情報でも信じてしまうことでしょう。
掲載されている記事がどのような人に向けたものなのか、どのような人が書いたものなのか、真似をすることのリスクなど十分な説明は必要だと思われます。
誤った情報を掲載しないことも重要ですが、同時に読み手に対してサイトの趣旨を伝えて行くべきです。
キュレーションメディアを含むサイトは運営者、投稿者、読者で作り上げて行くものです。それぞれにとって健全なサイトとは何か?と見つめ直す機会ですね。