米国大統領選挙とフェイク・ニュース
ドナルド・トランプ共和党候補が勝利した2016年の米大統領選挙。
世界を驚かせた「トランプ勝利」には拡散した「フェイク・ニュース」の存在があったと言われています。
これらの嘘のニュースの作り手の目的は自分のサイトへのアクセス数の増加。多くの広告収入を得るために偽ニュースを大量に配信しました。彼らに政治的な主張はなく、「拡散されやすい」という理由でクリントン候補に否定的でトランプ候補に有利なニュースを配信していたと報じられています。
調べればデマだとわかる嘘のニュースを人々はなぜ信じてしまったのでしょうか?
主要ニュースサイトではなく、個人がソーシャルメディアでニュースを読む機会が増加しています。読者にとって「誰が報じたニュースか」についての重要度が低下しています。拡散されたニュースの真偽を確かめることなく信じてしまうことも要因の一つではないでしょうか。
偽ニュースを拡散させるプラットフォーム
偽ニュースを生み出すサイトは世界中に存在しています。
これらのサイトは閉鎖に追い込まれても、名前を変えて新たに公開されます。
ただし、偽ニュースサイトの存在だけでは選挙結果に影響を与えることはないでしょう。
残念なことに、偽ニュースを人々が信じ、拡散させるソーシャルメディアが役割を担うことになっています。
2016年の米大統領選挙の結果、批判の矛先がFacebookなどのソーシャルメディアに向けられています。偽ニュースが拡散されていく状況に対して、有効な対策を怠ったという厳しい意見が目立っています。
FacebookやTwitterなどの大手ソーシャルメディアはフェイク・ニュース撲滅に向けて対策を行っていくことを公式に発表。具体策は明らかになっていませんが、プラットフォームとしての責任を果たしていくことを約束しました。
2017年、重要な選挙を予定している国々では特にこの「フェイク・ニュース」について注目が集まっています。ソーシャルメディアがインフラのように社会に広く浸透していることの証明でもあります。
サイト運営者にも求められる高い意識
この「フェイク・ニュース」の問題は、昨年末に話題となった「キュレーションサイト」の問題と繋がっているのではないでしょうか。
コンテンツを掲載するサイトは、「内容に責任を負わない」という言い訳が通用しなくなりつつあります。自社のサイトに「フェイク・ニュース」が掲載された際の影響を重く受け止め、場合によっては排除するなどの動きも必要となるかもしれません。
Facebookでは、米国で2013年より試験的に導入していた「関連記事」の事実確認機能をより広範に提供する旨を2017年8月に発表しました。また、機械学習を利用した偽情報発見システムを改良することも発表しています。
今後、各プラットフォーム運営企業は対策を強めていくものとみられますが、各社の対策だけでなく、読み手である私達のリテラシーを高めることも含め、社会全体が注視すべきテーマのようです。
※2017年8月にFacebookが対策方法を発表。その内容に即して、本記事は2017年9月13日に加筆修正しています。
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