ファンコミュニティを立ち上げる企業が増えてきました。なぜ、企業はファンコミュニティを立ち上げるのでしょうか?どのようにファンコミュニティを運営すればよいのでしょうか?そのような疑問を抱いている方向けに、今回はファンコミュニティについて解説します。
この記事では、ファンコミュニティ運用方法や成功事例を紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
ファンコミュニティとは
ファンコミュニティとは、ある商品やサービスに関する、オンライン上で形成されるファンの集まりをいいます。
人気アーティストのファンコミュニティには多くのファンが参加しています。バックグラウンドが全く異なる人と大好きなアーティストに対して話し合えることが面白さに繋がっています。ファン同士の相互作用により、アーティストに対する愛着が高まりファンを継続する原動力となるのです。
ファンコミュニティは有名人や著名人のみが対象ではありません。企業の商品やサービスに関するファンコミュニティも存在します。
ファンコミュニティの種類
ファンコミュニティには、ファンコミュニティサービスとファンコミュニティサイトがあります。
(1)ファンコミュニティサービス
引用:『にじさんじ 七次元生徒会!ファンクラブ』
ファンコミュニティサービスとは、主に芸能事務所が運用しているファンクラブを指します。会員になるために入会金・年会費を支払わなければなりません。会員になれば、会員特典が受け取れます。
例えば、七次元生徒会!ファンコミュニティサービスでは、ファンクラブイベントに参加でき、個別ライバーカレンダーがもらえるようになっています。また、コミュニティ内でファン同士の交流を楽しむことも可能です。入会金・年会費を支払うユーザーは、強い興味・関心を持っているため、コミュニティが活性化しやすいです。
(2)ファンコミュニティサイト
引用:『にじさんじ YouTube』
ファンコミュニティサイトとは、ファンコミュニティサービスと似ていますが、運営との双方間のコミュニケーションができることが大きな特長です。また、有料のコミュニティと無料のコミュニティがあります。
例えば、にじさんじのYouTubeのように「コメント」ができるものもコミュニティに該当します。企業によりファンコミュニティサイトの運用目的は異なり、以下のようなものがあります。
- ファン同士で交流を深めてもらい顧客ロイヤリティを向上したい
- 商品・サービス開発の参考になるユーザーの声を収集したい
- テスト商品を配布してリリース前に意見を聞きたい
- ファン同士で使い方を話し合ってもらい、カスタマーサポート業務の負担を削減したい
ファンコミュニティとSNSの違い
ファンコミュニティとSNSの違いは、相手の自社に対する興味・関心度です。
SNSは、自社に対する興味・関心が高い人のみではなく、それ以外の人も情報を見ます。SNSの情報がバズれば、多くの人の目に留まるチャンスがありますが炎上してしまう恐れがあります。
その一方で、ファンコミュニティは自社に対する興味・関心が高い人が集まっているコミュニティです。そのため、コミュニティ内で交流が深まりやすく、炎上リスクも低く安心して運営できます。
ファンコミュニティの効果
ファンコミュニティを運用すると4つの効果が見込めます。
1.顧客ロイヤリティの向上
ファンコミュニティでのファン同士のコミュニケーションにより、対象への愛着が高まりファンを継続する原動力となります。企業が運営するコミュニティやサービスに対して愛着が芽生え始めれば、長く商品・サービスを利用してもらえるようになります。
つまり、顧客ロイヤリティを向上させることが可能です。顧客ロイヤリティが高いユーザーは繰り返しサービスを利用します。そのため、LTVの最大化にも寄与します。
2.新規顧客の獲得
ロイヤリティが高いユーザーは、商品・サービスを継続的に購入するだけではなく、熱心なファンとしてSNSや口コミで商品の良さについて語ってくれるようになります。熱心なファンの声は、企業が発信する情報よりも共感が得られやすく、「消費者の口コミで良いと評判だから商品を購入してみよう」という後押しになります。つまり、広告宣伝費をかけるよりも効率的に新規顧客を獲得できるようになります。
3.フィードバックの獲得
ファンコミュニティは双方向でコミュニケーションが取れる場だとお伝えした通り、商品・サービスの愛用者からの要望や感想を聞くことができます。
一般的には、「消費者は、このような商品が欲しいのだろう」と、アンケート結果や、類似サービスの売れ筋等の情報から、仮説を立てる形になります。この様なアンケート調査では、費用をかけないと回答者が集まらない上に、一部の人は報酬目的で、いい加減に答えてしまうこともあり、さらに、回答するのに労力がかかるため、こちらが想定した選択肢以外の声を集めづらいといった難点があります。
しかし、ファンコミュニティ内で「あなたが欲しい商品はどれですか?」と聞くと、報酬が無くても、愛着があるので真摯に答えてくれる傾向があります。また、当初用意していた選択肢以外の意見を聞くことで、新たな発見を多く得ることができます。このように、商品開発やサービス改善のために、有用なフィードバックを獲得できることもメリットです。
4.カスタマーサポート業務の負担軽減
サービスの利用歴が長いファンの中には、他ユーザーの悩みや疑問に自発的に答えてくれる人もいます。ファン同士でサービスの使い方などをシェアしてもらうことで、カスタマーサポート業務の負担を軽減できる可能性もあります。
ファンコミュニティの運用方法
ファンコミュニティの運用方法は以下の通りです。
1.ファンコミュニティの初期設計を行う
まずは、ファンコミュニティの初期設計を行いましょう。初期設定では、以下の内容を決めていきます。
- ファンコミュニティの目的
- ファンコミュニティのKPI
- コミュニティの基盤構築
- ブランド世界観が伝わるようなコミュニティデザイン
- コミュニティのCS担当者
ファンコミュニティ基盤構築が難しい場合は、外部のパッケージ化されたツールを利用する方法もあります。
2.コアメンバーを探してキックオフを行い、拡張する
ファンコミュニティ立ち上げ初期の頃は、コアメンバーのみでコミュニティを運営します。
コアメンバー同士で交流を深め、ポジティブな感情を抱いてもらい、友人を誘ってもらいます。ファンコミュニティは、ロイヤルカスタマーを集めて運営していき、少しずつ拡大していくことが重要です。
なぜなら.初期から、一般向けにもコミュニティの宣伝をしてメンバーを増やすと、文化が醸成される前に、コミュニティ内で、予期せぬ「問題発言」をされてしまい、最も大切にしたいコアなメンバーを失う恐れがあります。そのため、ロイヤルカスタマーを中心にコミュニティへ招待しましょう。
3.ファンコミュニティ運営を見直す
ファンコミュニティに参加してくれているメンバーにヒアリングを行い、コミュニティ内でどのような情報を発信して欲しいか、どのようなイベントに参加したいかを聞きます。その上で、コミュニティ運営方法を見直すと、コミュニティ活性化が見込めるようになります。
ファンコミュニティ運用を成功させるコツ
ファンコミュニティ運用を成功させるコツは5つあります。
双方向でのコミュニケーションを行い、ファンが喜ぶことを打ち出す
ファンコミュニティを活性化させるためには、ユーザーに満足してもらわなければなりません。そのため、ユーザーに定期的に「コミュニティでどのようなイベントをして欲しいですか?」「どのような目的でコミュニティに参加していますか?」等をヒアリングして、喜んでもらえるイベントを準備しましょう。
運用のリソースを確保する
ファンコミュニティは運用するために、一定の工数がかかります。参加するユーザーが「何を投稿すればよいかわからない」と悩んだとき、ファシリテーターとして働きかけなければなりません。
また、問題となる発言などはないかをモニタリングする必要もあります。このようにコミュニティ運用には工数がかかるため、どれぐらいのリソースが必要であるかを、事前に見積もった上で準備しておきましょう。
ルールを考案しておく
コミュニティのルールを決めておくことで、文化の醸成を促進でき、同時に炎上リスクを抑えられます。
例えば、他のユーザーに対する誹謗中傷を行わない、知り合った人にマルチ商法等の勧誘をしないなどのルールを設けておくことで安心してコミュニティに参加してもらえるようになります。実際には、どういった発言が誹謗中傷に当たるのか等、誰が見ても分かる様に具体化しておく必要があります。
炎上対策を検討しておく
ファンコミュニティを運営すると、コミュニティ内での炎上リスクが伴います。そのため、ファンコミュニティの炎上対策を検討しておきましょう。炎上対策には、次のようなものがあります。
- ソーシャルメディアポリシーを作成する
- デジタルパトロールを実施する
- 弁護士とのネットワークを構築する
著作権などについて学んでおく
ファンコミュニティを運営すると、知らぬ間に権利侵害してしまうケースが見受けられます。
例えば、話題性のあるイベントに便乗してしまうと、商標権を侵害してしまう恐れがあります。また、投稿する画像や文章についても著作権を侵害しないように気をつけなければなりません。
著作権を知らずに違反してしまうと、ファンやフォロワーから権利侵害を指摘されてしまいます。また、権利者から権利侵害と申し立てがあるかもしれません。その結果、企業のイメージダウンは避けられないでしょう。ファンやフォロワーからの信頼も失うため、著作権などについては学んでおくようにしましょう。
見落としがちな権利侵害について詳しく知りたい方は、下記の記事を読んでみてください。
関連記事:『SNS運用、そのコンテンツ大丈夫ですか?権利侵害など見落としがちなトラブルの種』
ファンコミュニティ運営の成功事例
ファンコミュニティ運営で成功している企業は、どのような取り組みをしているのでしょうか?ここでは、アディッシュが支援していた企業様のファンコミュニティの取り組みをご紹介します。
インターエデュ・ドットコム
引用:『Inter-edu.受験と教育の情報サイト』
受験に関する悩みや学校・塾の評判を教え合える掲示板「インターエデュ・ドットコム」が人気です。
お互いを尊重しながら、受験に向き合う人同士でつながる場を提供するために、問題発言が投稿されていないかを土日祝も含めて監視しています。しがらみにとらわれず自由な意見交換ができる反面、心無い書き込みや目に余るやり取りが出ないように気をつけて、受験に向き合う人同士が繋がれるコミュニティを実現しているのです。
アディッシュは、インターエデュ・ドットコムの監視業務を担当させて頂いていました。
>>教え、教えられるコミュニティサイトを活性化する取り組み
にじさんじ
引用:『にじさんじ YouTube』
にじさんじは、エンタメ企業ANYCOLOR株式会社が運営しているVtuberグループです。
にじさんじでは、100人以上のバーチャルライバーが毎日のように投稿しており、炎上や権利侵害などへの対策を打つ必要性を感じていましたが、動画内容をチェックするのが大変な状況でした。このような悩みを解決するために、動画を代行会社に渡して法的チェックをした上でアップするようにしています。
映像に肖像権や著作権を侵害するものが映り込んでいないかを確認することで、事前にトラブルを防止しながらコミュニティを運営しています。
アディッシュは、にじさんじの動画チェックを担当させて頂いていました。
>>「にじさんじ」の動画投稿をサポート、アディッシュの投稿動画監視サービス
ガリバー
引用:『ガリバーの店舗ブログ』
自動車の買取・販売店ガリバーは、お客様とスタッフが接点を持つためにメディアで情報発信を始めています。約550店舗から記事を投稿するために炎上リスクを最小限に抑えたいと考えていました。
特に気にされていたのは、お客様の感想などを投稿した際の個人情報漏洩リスクです。こうしたスクを最小限に抑えながら情報発信できる様に、専門の企業に協力を依頼しています。
アディッシュは、ガリバーのメディアチェックを担当させて頂いていました。
>>グループ550店舗のブログで、スタッフの人となりが見える情報発信
まとめ
ファンコミュニティとは、商品やサービスに関する、オンライン上で形成されるファンの集まりをいいます。コミュニティ参加が楽しく有意義なものであれば、参加者のロイヤルティを高めることができます。
近年、新規顧客が獲得しにくくなり、既存顧客のロイヤルティを向上させることが重要だと言われ始めてきました。その結果、顧客ロイヤルティを高めるためにコミュニティ運営する企業が増えてきたのです。
この記事では、ファンコミュニティ運営方法や成功させるコツをご紹介しました。ファンコミュニティを成功させるためには、コンテンツをチェックしたり、問題発言されないかパトロールしたりする必要があります。これらの工数を削減しつつ成果を最大化させたい方は、ぜひアディッシュにご相談ください。