SNSを通じて拡散する「レピュテーション(評判)」への対策はどのような企業にとっても必須となりました。しかし本格導入にはレピュテーションの重要性について社内の理解を高める必要があります。レピュテーション対策を行っている企業はどのようにして社内へ危機意識を浸透させ、関係者との連携に成功したのでしょうか。
なぜレピュテーション対策が必要なのか?
「レピュテーション」とは「評判」や「名声」などを意味する言葉です。「レピュテーションリスク」という新たなリスクに注目が集まる背景にはSNSによる情報拡散力があります。
かつては商品への異物混入がSNSで注目を集め、また従業員の悪ふざけがTwitterなどで話題となりました。SNSに書き込まれた悪評は瞬く間に拡散。企業の対応は後手に回ることも多く、深刻なダメージとなったケースも報告されています。
いわゆる「ネット炎上」の状態によって定着したネガティブなイメージを払拭することは困難です。インターネット上に悪評は残り続け、トラブルを知らなかった消費者もいずれ情報に触れることになります。この悪影響を解消するためには長い時間を要するでしょう。
この状況を防ぐために有効と考えられるのが「レピュテーション対策」。重大なトラブルの裏には数多くの「ヒヤリ・ハット」と呼ばれる軽微なミスがあると言われています。自社に対するレピュテーション(評判)をSNSから収集して分析を行うことが重大なトラブルを防ぎ、自社を守ることに繋がります。
またレピュテーションとは悪い評判だけでなく良い評判も含みます。実態とかけ離れた事実ではない良い評判は、企業にとって深刻なリスクとなりかねないでしょう。
自社について多様な視点から情報の収集が求められます。
レピュテーション対策のきっかけはネット炎上?
過去にインターネット上で経験したトラブルをきっかけにレピュテーション対策を本格導入した企業は少なくありません。レピュテーションの重要性はイメージしにくいため、実際にインターネット上のトラブルに遭遇してはじめて必要性を実感されるようです。
実際に弊社にも「現在進行形でネット炎上が起きているが対応方法がわからない」というご相談をいただいたこともあります。
また、レピュテーションを収集していたが、自社に対するネガティブな話題が拡散した際に検知できなかったことで対策のレベルを上げたというケースもあります。
以上のように大小問わずネット上にネガティブな評価が拡散したことで、レピュテーション対策に取り組む必要性が社内で高まった事例が多く見受けられます。
それでは実際にトラブルを経験しなければ社内の危機意識は高くならないのでしょうか。
レピュテーション対策の本格導入には「平常時」の重要性について理解を深める必要があります。
平常時に求められるレピュテーション対策
いわゆる「ネット炎上」の状態などトラブルが発生していない「平常時」。
この時でも企業とその製品やサービスについてはインターネット上に多くの反応が書き込まれます。肯定的であっても否定的であっても、これらの反応はやがてトラブルに発展するかもしれない「火種」として警戒する必要があります。
平常時に書き込まれた火種はやがて拡散期を経て、炎上へと発展します。平常時における火種は「まだ注目されていないだけ」とも捉えられるかもしれません。
小さなリスクであったとしても何かのきっかけがあれば、瞬く間に拡散してしまいます。この段階でリスク投稿をキャッチできれば早期の対策につながるでしょう。
過去の炎上事例を調べてみると、リスク投稿がしばらくしてから注目を集めてしまったケースも散見されます。例えばある飲食チェーンでは、従業員による不適切な投稿が数ヶ月後にネット炎上となりました。最初に投稿された時点では話題になりませんでしたが、いわゆる「バイトテロ」が世の中のトレンドになったことにより時間差で発掘されたと見られています。
「世間の価値観が変わった」、「普段は関わりのない層に発見された」というのは、リスク投稿が炎上に発展してしまうきっかけとの考え方もあります。
「レピュテーション対策を検討しているが社内の危機意識が高まらない」というお悩みも聞かれます。確かに前述のようにネット上の大きなトラブルをきっかけとして本格導入が始まるという企業が大半です。
しかし、トラブルにつながる「ヒヤリ・ハット」ともいうべきこのリスク投稿にこそ注目しなければなりません。まずは自社についてのリスク投稿がすでに書き込まれていることを認識することから始めてみるのはいかがでしょうか。
収集した情報を”使える”状態にしておく
自社についてどのような書き込みがあるのか、とりあえず情報を収集して戸惑った経験のある方も少なくないのではないでしょうか。
大きな企業になるほど膨大な関連投稿が収集されるでしょう。また闇雲にキーワードを設定して検索した時に、自社と全く関係のない投稿を大量に収集してしまうこともあるかもしれません。
大切なのは情報を収集するだけでなく、収集した情報が整理されていることです。
当たり前のことだと思われるでしょうが、この整理のために投稿の文脈を読むことが困難となります。
例えばTwitterで自社の製品名を検索した時に「この〇〇買ったんだけどヤバすぎ!!」というツイートを発見したとします。「ヤバすぎ」はポジティブな文脈でしょうか?それともネガティブな文脈でしょうか?
リスク投稿を発見したとしても、どれほどのリスクなのかという評価をしていくとても重要な作業が待っています。
無駄な情報を省き、必要な情報をさらに緊急度やリスクの観点で分類してはじめてレピュテーション対策としての情報収集が効果を発揮します。
アディッシュではこれまでに多くの多様なお客様を情報の収集と分類によってお手伝いさせていただいております。
アディッシュのソーシャルリスニング
アディッシュのソーシャルリスニングは、目視による有人監視を24時間365日行っています。目視監視の最大のメリットは精読によってリスク投稿の検知を漏らさないことにあります。
ソーシャルリスニングにおいては、リスク投稿とそうではないものを分類するだけではなく、リスク投稿そのものの重要度を分類する必要が生じます。弊社サービスにおいては、専任のアナリストが「何のリスクなのか」を分類するための基準を策定し、適宜チューニングを行います。
この基準に則って目視での判断を行うことで、機械的な判断では漏れる恐れのあるリスク投稿を確実に検知して分類します。
レピュテーション対策は簡易的でも構わないのでインターネット上の評判を覗いてみることから始まります。その際の情報収集と分析においてアディッシュのソーシャルリスニングをご活用いただき、本格導入に向けたサポートをさせていただければと思います。