ネット上での誹謗中傷の問題が様々な場で継続的に議論されています。特に総務省ではどのような対策をしていくべきか検討が行われております。
一方で、誹謗中傷が発生するコミュニティサイトを運営されている企業内においても検討や対策が行われているのではないでしょうか。そこで今回アディッシュではコミュニティサイトを運営されている企業が、どのような状態にあり、どう考えているかを明らかにするために、コミュニティを運営する企業に対しアンケート調査を行いました。
調査概要
・調査主体 アディッシュ株式会社
・調査方法 インターネットリサーチ
・調査対象 コミュニケーション機能を持っているWebサイトやアプリを運営している企業
・調査期間 2020年8月6日(木)〜2020年9月1日(火)
※本調査に対するアンケート回答数はn=13です。コミュニティサイトを運営している企業全体の状況を表したものではない点について、ご留意ください。
誹謗中傷の状況
それぞれのコミュニティにおいて誹謗中傷は課題になっているか質問したところ、73%近くが課題となっていると回答していました。
またコミュニティ運営において実際に抱えている課題について、該当するものを選択していただいたところ、規約違反投稿が1番多く、次いで誹謗中傷が2番目となっています。アクティブユーザー数というコミュニティビジネス拡大において重要な指標よりも、規約違反や誹謗中傷を課題に感じている企業が多いことがわかりました。規約違反投稿や誹謗中傷投稿が溢れるコミュニティはユーザーの離脱を起こす可能性があり、ビジネス面からも課題として捉えている可能性があります。
具体的に今後のコミュニティ運営における懸念事項として、このようなコメントをいただいています。
- 今後誹謗中傷が増えていくと、情報交換の場としてのコミュニティが崩壊する恐れがあるため、いわゆる荒らし投稿や誹謗中傷投稿などはできるだけ排除していきたいと考えている。ただ、対応したとしても売り上げに連動するわけではないという観点から、実行できるだけの人的コストが割けなかったりすることが往々にしてあり、徹底的に行うことがどうしても難しい。
- 誹謗中傷の対策を入れることによるユーザーの離脱。また、企業によって可/不可な対応があると思うので、不可なことを求められた際の代替案。
誹謗中傷へ対策をしても売上に連動するわけでなく、またユーザーの離脱の可能性もあることから、非常に対応しづらい状況が見て取れます。
また、下記は実際の誹謗中傷の月間投稿数です。少ないところが多いですが、数千件に上るところもあるようです。
さらに、直近の開示請求の増減についても確認しています。
上記通り、変わっていない企業が多いですが、大きく減った企業も見受けられました。
誹謗中傷対策に対する意見
総務省では誹謗中傷への対応策を有識者らから意見を募りながら検討しています。その中のいくつかについて、どう思うかをアンケートで問いました。
誹謗中傷を受けた側(被害者)から、該当投稿者(加害者)に対する電話番号開示請求 について
コミュニティサービスの利用登録時に個人情報等の取得をあまり行わないケースが多く、コミュニティ運営事業者が投稿者情報を持っていないため、誹謗中傷を受けた方が対処しようとしても、開示請求に手間を大きく取られるケースがあります。一方で、電話番号は取得していることも多いため、電話番号を開示対象とする、という案です。
そちらに対する回答が下記になります。
好ましい、好ましくない、どちらともいえない、で意見が3つにわかれています。
実際に保有している会員情報について確認したものがこちらです。
実際に電話番号を保持している企業は少ないため、新たに取得をする必要がある企業からはネガティブな反応があったのではないかと考えられます。
誹謗中傷が発生しづらいよう、さらなるリテラシー教育の実行について
児童生徒に対する情報モラル教育の充実をしていくことが謳われています。そちらに関する質問がこちらです。
多くの企業が好意的に回答しています。
弊社ではネットリテラシーに関する講演活動を学校向けに提供しております。新しいインターネットサービスは次から次と生まれており、様々な形でネットでのコミュニケーションが行われるため、教育現場だけでは追いつくことが難しく、専門家のサポートを取り入れたリテラシー教育の充実が重要だと弊社では考えています。
誹謗中傷と思われる投稿をユーザーがしようとした際に、投稿の再考を促す機能の導入
有害かもしれない投稿をしようとした際に、書き直す選択肢を提供するような取り組みがあります。例えばTwitterではそのような仕組みが一部で取り入れられているようです。
- Twitter、不快なリプライの投稿前に再考促す機能をテスト – ねとらぼ
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2005/06/news031.html
そのような再考を促すような機能の導入について聞いた内容が下記になります。
80%近い企業が好ましく考えているようです。
また実際にそのようなシステムがAPIで利用可能な場合、実装するか聞いたものが下記です。
導入したい企業がこちらでは50%ほどとなりました。再考システムは好ましいが、APIで外部から提供される形より自社開発等を検討されているのかもしれません。
各種施策は一部大手コミュニティサイトから対応を求められる可能性がありますが、自社が該当していなかった場合、対応しますか?
上記のような様々な施策は、まずは影響力の大きい大手コミュニティサイトより対応を求められる可能性があります。そのような場合において、自社が該当していなかった場合、どうしていくかを聞いたのがこちらです。
大変素晴らしいことに、既に対応を進めていたり、対応を検討していく企業が多く、基本的には誹謗中傷対策を実行していく方向性が見て取れました。
その他、総務省に求めること
総務省に求めることとして
- 絶対に担保してほしいラインなどの線引きをしていただきたい
- ガイドラインの制定と周知
- 誹謗中傷するユーザーの厳罰化
などがあげられており、ルールの整備や誹謗中傷ユーザーを厳しく取り締まってほしい要望があげられていました。
まとめ
以上、アンケート結果から一部抜粋してまとめさせていただきました。
アディッシュでは企業がコミュニティを運営していくにあたり必要となる、ポリシーの策定のお手伝いや、実際の投稿が規約違反投稿になっていないかのチェックなどをサービス提供しています。誹謗中傷という問題が大きくなった中、どう対応していくのが良いのか、一緒に考えて参りたいと思います。
AIによる投稿再考アラート「matte」
アディッシュでは、投稿者がSNS等インターネット上に投稿する前に、内容再考の機会を促すアラート機能を装備したAI検知サービス「matte(マッテ)」を提供開始しました。
トラブルの元となる不適切な投稿内容を検知し、投稿を再考する機会を作ることで、ユーザー間トラブルの防止やICTリテラシーの向上を促し、健全なコミュニティづくりに貢献します。
詳細・資料請求はmatteサービスサイトよりご確認ください。