ソーシャルリスニングによるリスク対策って何? 前編では、ソーシャルリスニングにおけるリスク対策、「ソーシャルリスク対策」について、「ハインリッヒの三角形」に当てはめながら、その捉え方について記載しました。今回は、「ソーシャルリスク対策」を行うために、具体的に準備すべき内容を記載したいと思います。
具体的なソーシャルリスク対策手法
ソーシャルリスク対策を行なうには、大きく3つの内容を整える必要があります。
- ツール・検索ワード
- 目視体制
- 社内フロー
ツール・検索ワードについて
ソーシャルメディアには、日々、多数の書き込みがなされます。「自社や自社商品に関する書き込みを把握したい!」と思っても、その数はときに膨大であり、また書き込まれ方も、正式名称であったり略字であったりと、多種多様な表現がなされます。
そのため、まずは自社や自社商品に関する書き込みをソーシャルメディア上から取得するツールを用意することが、ソーシャルリスニングにおけるリスク対策、ソーシャルリスク対策の第一歩となります。
ほとんどのツールは、キーワードを組み合わせることで、効果的にソーシャルメディア上から書き込みを取得、表現するように開発されています。逆に言うと、いかに効果的にキーワードを設定できるかによって、その効果は大きく変わります。例えば、「自社の名前」をキーワードに設定した場合に、あまりに取得される書き込み数が大きすぎるような場合があります。このときは、「自社の名前 AND リスクキーワード※1」を設定したり、「自社の名前 NOT 不要ジャンルワード※2」を設定したりします。
どのようなワードを設定すればいいのか、書き込み量をどの程度にすればいいのかは、業種・業態、企業や組織、対策の目的によって様々です。詳しくお知りになりたい場合は、別途お問い合わせください。
※1 ANDは「AND条件」の意味。また、「リスクキーワード」は異物混入・誹謗中傷などのワード。得たい書き込みによって変わる。
※2 NOTは「NOT条件」の意味。
目視体制
ツールと合わせて、ソーシャルリスク対策で用意すべきなのが、目視体制です。ツールは、書き込みそのものの取得や、全体傾向の把握には役立ちますが、「ヒヤリ・ハット」を含む、注意すべき重大投稿を検知することはできません。もちろん、「特定のキーワードがあればアラートを出す」というような設定をツールに行なうことは可能ですが、それでも、「特定のキーワードを含んだ投稿にリスクがあるか否か」を判別するのは、人の目になります。
前回の記事(ソーシャルリスニングによるリスク対策って何? 前編)でも記載しましたが、「ソーシャルリスク対策」で重要なのは、「炎上」をどうするのかではなく、炎上やレピュテーション被害につながるような「ヒヤリ・ハット」をいかに普段から検知し、むしろ炎上を起こさないようにするか、です。
ツールで書き込みを取得して傾向をつかむ
目視で1件1件のリスクを判定する
それぞれの役割を正確に認識し、きちんと体制を整備する。これが、ソーシャルリスク対策の要とも言えると私たちは考えています。
社内フローについて
ツールも目視体制も準備ができたら、最後に必要なのは「社内フロー」です。
ソーシャルメディアには、多種多様な書き込みがなされます。それをツールで取得し、目視でリスク分類していった後、実際に分類された書き込みを活かすフローを整えましょう。
例えば、異物混入のおそれがある書き込みが発見されたとします。その場合は、品質管理やあるいは製造管理のチームに内容を共有し、本当に問題が起きていないか確認できた方がよいでしょう。
例えば、自社の従業員と思われる人の不注意な発言が発見されたとします。その場合は、人事、教育担当、あるいは担当部署の上長等に内容が共有され、必要な場合は、該当する従業員に指導できた方がよいでしょう。
このように、内容に応じた社内フローが整備されれば、ソーシャルリスク対策の準備はかなり整ったと言えるでしょう。あとは、実際に毎日の書き込み取得とリスク判断を行いましょう。そして、もし、リスクある書き込みが発見され、対処が必要だと判断された場合には、しっかりと内部改善を行いましょう。どのような事故も100%防げるわけではありません。しかしながら、その裏にある「ヒヤリ・ハット」をきちんと確認し、対処すれば、大きな事故が防げる可能性は高まると考えます。