インフルエンサーマーケティングに取り組む企業が増加しています。特にTikTokにおけるインフルエンサーマーケティングは情報拡散や販売数増加につながった多くの事例が報告されています。TikTokインフルエンサーマーケティングが注目を集める理由と押さえていきたいリスク対策について解説します。
インフルエンサーマーケティングが急拡大する理由
インフルエンサー(影響力を持った人物)にSNSで発信してもらうことで情報を拡散させるインフルエンサーマーケティング。商品やサービスの認知度を高め、販売につなげる手法として多くの企業が取り組んでいます。
各SNSに多くのフォロワーを持つインフルエンサーは圧倒的な情報拡散力を持っています。またインフルエンサーを通じた情報の取得は共感性が高く、潜在的な消費者にとって購買行動につながりやすいと言われています。
Insider Intelligenceによるレポートでは、インフルエンサーマーケティングにおける支出は従来のSNS広告よりも急速に拡大しており、2025年までこの傾向は続くと伝えています。
この背景にはインフルエンサーの影響力とSNSの拡散力が大きなマーケティング効果を生んでいることがあると推測されます。また拡散力だけでなく、インフルエンサーを通じた費用対効果の高いターゲティングも魅力の一つです。
各SNSではインフルエンサーと企業をつなぐ仕組みが確立されています。この仕組みによってインフルエンサー側でも十分な収益を受け取ることができます。有名クリエイターもこのインフルエンサーマーケティングに関心を示しており、各SNSによる囲い込みが白熱していると言われています。
そのようなインフルエンサーマーケティングの中でも特に注目を集めているのがTikTokです。日本でも「TikTok売れ」(TikTokをきっかけに商品が爆発的に売れる現象)という言葉が話題になりましたが、インフルエンサーマーケティングという視点でTikTokはどのような特徴を持っているのでしょうか。
注目を集めるTikTokとインフルエンサー
TikTokにおいて、「#TikTokMadeMeBuyIt」というハッシュタグを覗くと、あらゆる購入品をユーザーが紹介しています。動画では高級品から日用品まで様々な商品の魅力がシンプルに伝えられています。この口コミはさらに別のユーザーに拡散していくため、潜在顧客層にも届きやすい仕組みになっていることがわかります。
TikTokとインフルエンサーマーケティングの相性の良さについては以下のようなポイントで分析されています。
1.ユーザーにとって新たな出会いと発見
TikTokは「きみが次に好きなもの」というメッセージを発信してきました。
一般的にSNSはユーザーにとって興味のあるもので徐々に囲まれていく仕組みになっています。「フィルターバブル」という言葉がありますが、SNSが自分好みにカスタマイズされていくので望まない情報はバブル(=泡)の外へ追いやられてしまいます。
しかしTikTokは「おすすめ機能」によって、ユーザーがフォローしていなくても、「ユーザーが好むかもしれない情報」と出会う機会を提供しています。この新たな興味との出会いが気になる商品やサービスとの出会い、そして購買へとつながっていくと考えられます。
2.クリエイターにとって魅力的な収益プログラム
TikTokを語る上で欠かせないのはクリエイター(動画配信者)の存在です。クリエイターの生み出す動画の面白さによって多くのユーザーはTikTokで長い時間を過ごしています。
これまでにTikTokはクリエイターが動画を配信し、収益化するための様々なプログラムをテストしてきました。中には驚くほどの高収入を得られるクリエイターも誕生しています。これによりさらに動画の質が向上することでインフルエンサーマーケティングの効果を高めています。
以上のようにTikTokはユーザーに「面白いコンテンツ」が「適切に届く」という仕組みが確立されています。これは他のSNSと比較しても魅力的であり、企業のマーケティング戦略においても無視できないと考えられます。
インフルエンサーマーケティングのリスク対策
インフルエンサーによるプロモーション動画などのコンテンツは、独自の魅力がある一方で内容についてコントロールしにくいというデメリットがあります。
インフルエンサーはその個性によって人気を集めています。広告主が意図するようなメッセージを押し付けてしまうとインフルエンサーマーケティングの効果を損ないかねないおそれがあります。最低限のルールについては確認しつつ、インフルエンサーの独自性の尊重も求められます。
また以下のようなリスクについても留意が必要です。
・ステルスマーケティング(通称:ステマ)と誤認されるリスク
・「景品表示法」、「薬機法」など関連法規に違反するリスク
・インフルエンサーの炎上リスク
2023年10月よりステマ規制が施行されます。これにより広告であることを隠して宣伝を行なった場合は違反対象となる可能性があります。インフルエンサーによるプロモーションにおいても『広告である』という表示を適切に行い、広告主の存在を明示する必要があります。
「景品表示法」、「薬機法」などのルールによって、使用できない広告表現があります。インフルエンサーが自身の動画の中で、「日本一の商品」や「これを食べて痩せた」などのリスクの高い表現を使用しないように注意しなければなりません。
最後にインフルエンサー自身の炎上リスクというものがあります。インフルエンサーの不祥事や不適切な情報発信などによりいわゆる「ネット炎上」の状態になった場合、プロモーションを依頼した広告主である企業へ影響を及ぼす可能性があります。どのようなインフルエンサーに依頼をするかについては注意深く判断する必要がありそうです。
アディッシュのリスク対策
アディッシュではインフルエンサーマーケティングにおけるリスク対策を支援しています。
ステマ規制対策においては、インフルエンサー施策において適正な「PR表記」を行なっているかなどをチェックし、ステマ規制回避のためのサポートを行います。
また、関係者のSNSへの書き込みが「サクラ」や「やらせ」などステマとして違反対象と見なされるリスクがあります。そのような悪意がなくともステマと見なされる可能性があるため注意が必要です。そのためアディッシュでは従業員など関係者向けのSNS利用のルール作りのお手伝いをしています。
これらはソーシャルリスニングとして自社とその商品、サービスについての情報を収集することでさらに効果を発揮すると考えられます。
プロモーション動画の内容において、「景品表示法」、「薬機法」などの観点でリスクがないか?という点についても広告審査サービスを提供しています。関連法規や各種業界のガイドラインと照らし合わせて、「言ってはいけない表現」を用いていないかをチェックさせていただきます。
これまでアディッシュでは様々なリスク対策を提供してきました。前述の通り、インフルエンサーマーケティングはコントロールしにくいというデメリットがありますが、リスクを低減して効果を最大化するための支援をさせていただきます。