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風評被害

風評被害とは、事実とは異なる情報や曲解された情報、憶測による噂話が流れることによって個人または企業・団体などが経済的な被害を被ることを指す。インターネットなどの普及に伴いネット風評被害というべき事例も増加しており、注目されている。「レピュテーションリスク」とも言う。

ネット風評被害とその背景

風評被害にはさまざまなケースが存在する。そのなかでインターネット上の風評被害(以下、ネット風評被害)は、以前は5ちゃんねる(元2ちゃんねる)やYahoo!知恵袋といった掲示板への書き込みが原因となることが多かった。しかしSNSが普及した近年では、TwitterやFacebookなどへの投稿が発端となるケースが増えている。

匿名制や拡散のしやすさといった各種SNSの性質や、個人がネット上で情報発信することに対するハードルが低くなったこと、情報収集の入り口としてSNSを活用する人が増えたことなどがその背景として考えられる。

なお、政府やマスコミによる報道被害(誤った情報、不正確な情報を報道することで報道された側の生活基盤や人間関係を破壊し、名誉を傷つけてしまうこと)なども風評被害に含まれる。

企業に対するネット風評被害例

企業活動に対するネット風評被害の代表的な例としては、

  • 「異物が混入していた」と画像付きでSNS上に投稿されたが、実際には偽画像であった
  • お客様センターでの対応を企業に不利な一部分のみ恣意的に切り取り、SNS上で公開された

などが挙げられる。いずれもネット上で企業が批判の対象となったが、企業による入念な調査により事実誤認だったことが判明している。

ほかに、社名を検索すると「ブラック」「詐欺」「倒産」等の事実ではない関連キーワードが表示されることで、取引や採用活動に影響が出たというケースもある。また、事実と異なる高すぎる評判が消費者の間で一人歩きすることもリスクになることもある。

事実であるかないかにかかわらず、ひとたびネット上で拡散した情報は多くの人が信じてしまうため信頼の回復に時間を要し、その間に大きな被害を受けることがある。ネット風評被害は、どのような企業でも直面し得るものになってきていると言えるだろう。

ネット風評被害に有効な対策

対処療法としては、ネット上の投稿削除を該当サイトの管理人・運営者へ要請する方法がある。ただし、一度噂として広まっている場合は「解決手段」とはなりえない。また悪評の元は、企業やその対応に不満のある取引先・顧客、退職した元従業員や経営者に対しての怨恨から企業に何らかの不利益を与えたいと考える人物かもしれない。そのため、事業・サービスの品質向上や従業員教育の徹底は欠かせないというのが前提となる。

TwitterやFacebookなどのアカウントを持ち、消費者とのコミュニケーションを取ることで、ニュースやメディアを通じてではなく直接企業としての考えを表明できるからである。実際に7割以上の企業でFacebook運用をしているという結果が出ており、企業の取り組みが進んでいることがわかる(※1)。また、オープンな姿勢を取ることは、憶測や噂を生みにくくすると考えられる。

このような取り組みを通して、企業の体質強化はもちろん、企業としてソーシャルリスクやネットなどにおける風評被害に適切な対応を取ることができるようになるのではないか。

※1 参考:SNSビジネス活用とソーシャルリスク・炎上対策の実態(2019年春版)

ただしこうした情報発信を実施するには、企業が自社の評判を正確に把握することが重要である。アディッシュのソーシャルリスニングを活用すれば、Twitterなどネット上に書き込まれた企業のさまざまな情報が収集され報告される。ネット風評被害と思われる情報が投稿されたら即座に通知される。また整理された情報が定期的なレポートとして提供される。
世間の声や評価を把握し、事実無根の情報の拡散を食い止めるとともに、改善すべき点があれば自社の活動に反映していく。ネット上でリアルタイムに情報が流れていく今だからこそ効果のある対策に目を向けたい。