SNSやオンラインコミュニティなど、インターネット上でのコミュニケーションがますます活発化する中、コミュニティの円滑な運営に欠かせないのが『コミュニティガイドライン』です。
コミュニティガイドラインは、参加者全員が快適に交流するためのルールのようなものです。
今回は、コミュニティガイドラインの目的や作成方法をわかりやすく解説します。そのため、コミュニティの立ち上げや運営を見直す際にお役立てください。
コミュニティガイドラインとは
コミュニティガイドラインとは、コミュニティの健全さを保つための指針です。つまり、コミュニティ参加者が快適に交流するためのルールやマナーです。
コミュニティガイドラインは具体的に書かれるケースが多いです。コミュニティ上で許可されていること、禁止されていることを示して、禁止行為をした際にどういう措置を取るかまで記載されています。このような記載をしておくことで、コミュニティの健全さを保てるようになります。
ソーシャルメディアポリシーとの違い
コミュニティガイドラインとソーシャルメディアガイドラインとの違いは「対象」です。
ソーシャルメディアポリシーとは、SNSを運用する上で、企業が持つブランドイメージや利益を守るためのルールやマナーです。「自社の従業員に」どのようにSNSの運用をすればよいかを言及します。一方で、コミュニティガイドラインはコミュニティの健全さを保つために「コミュニティ参加者に」示す指針です。コミュニティ参加者が快適に交流できるようにルールやマナーを定めます。
利用規約との違い
コミュニティガイドラインと利用規約の違いは「契約の有無」です。
利用規約とは個人情報の取り扱いなどが盛り込まれているケースが多く、ユーザーが利用規約に同意することで契約が成立します。
一方で、コミュニティガイドラインはコミュニティルールを守るための指針です。コミュニティガイドラインに同意しても契約が締結されるわけではありません。
マニュアルとの違い
コミュニティガイドラインとマニュアルの違いは「目的」です。
マニュアルとは、業務を遂行するための手引書です。業務のやり方が具体的に記載されており、その通りにやれば、誰でも同じ結果が得られます。
一方で、コミュニティガイドラインはコミュニティ参加者が快適に交流できるようにするための方針です。コミュニティの健全さを保つために許可されていること、禁止されていることの指を示して禁止行為をした際にどういう措置を取るかまで記載します。
そのため、手順を示すというよりは、ルールブックであり、そのルールの下で参加者は自由に行動できるのがコミュニティガイドラインです。
「コミュニティガイドライン」「ソーシャルメディアポリシー」「利用規約」の違いを知りたい方は、下記の記事をお読みください。
関連記事:『ソーシャルメディアポリシー、ソーシャルメディアガイドライン、コミュニティガイドライン、利用規約の違いは?』
コミュニティガイドライン作成の目的
コミュニティガイドラインは3つの目的のために作成します。
コミュニティの品質(健全性)を保つ
コミュニティガイドラインを作成することで、コミュニティの品質(健全性)を保ちやすくなり、コミュニティ参加者が快適に交流できるようになります。なぜなら、コミュニティガイドラインが行動規範となるためです。
コミュニティ内で、どのような言動が許容されて、どのような言動が禁止されているかを想像できるようになり、望ましくない行動を抑制できます。またコミュニティガイドラインを作成しておくことで、コミュニティは安全な場所であると安心感を与えることができます。
コミュニティ運用の属人化を防ぐ
コミュニティガイドラインに行動規範の様なルールだけでなく、トラブル発生時の責任の所在、対応方法も記載しておくと、コミュニティガイドラインに基づいて、どのように対応すべきか判断できるようになり、コミュニティ運用の属人化を防げます。
また、新たなメンバーがコミュニティ運営に加わった場合でも、コミュニティガイドラインを用意しておけば、スムーズに業務を引き継ぐこと可能です。
炎上などのトラブルを防ぐ
コミュニティガイドラインを制定することで、トラブルから炎上する可能性を下げることができます。なぜなら、コミュニティガイドラインにより、コミュニティ内でどのような言動が許容されて、どのような言動が禁止されているかが明記されているため、トラブルになったとしても、早期解決をしやすいからです。
ただし、早期解決のためには、ガイドラインだけでは不十分で、ガイドラインを遵守する文化を醸成するために、特に初期は運営側で違反行為を検知し、是正してもらうための働きかけもセットになります。
また、コミュニティ運営方針を公開することで、外部からの批判の抑制も期待できます。企業が取り組める炎上対策について詳しく知りたい方は「企業の炎上対策は何をすべき?事例と予防する方法を解説」を併せてご覧ください。
コミュニティガイドラインで制定すべきこと
コミュニティを運営する上で、コミュニティガイドラインに制定すべきことは6つあります。
基本方針
コミュニティ参加者が快適に交流できるコミュニティをつくるために基本方針を記載しておきましょう。
[基本方針の例]
- 法令や社内規程を遵守し、良識ある社会人として、自己の責任を持って、適切な情報発信に努めること
- インターネットへ発信した情報は、不特定多数の利用者がアクセスして閲覧できることを理解した上で投稿すること
- コミュニティで投稿した情報は完全に削除することができないことを理解した上で投稿すること
- 世の中に少なからず影響を与えることを意識し、誤解を与えないように努めること
注意事項
コミュニティトラブルを防ぎ、法的な問題から身を守るために注意事項を記載しておきましょう。
[注意事項の例]
- コミュニティ内の投稿は、企業が公式発表しているものではないため、正確性を保証するものではないこと
- ユーザーが投稿した内容に関する責任は負わないこと
- コミュニティ参加で生じた損害に責任を負わないこと
- コミュニティの投稿に関する著作権等はユーザーに帰属するが、投稿コンテンツを無償で使用することを許諾したものとすること
- 予告なくコミュニティガイドラインは変更される恐れがあること
禁止事項
コミュニティを円滑に運営するために、コミュニティガイドラインに禁止事項を記載しておきましょう。
[禁止事項の例]
- 本人の承諾なく、個人を特定できる情報の開示
- 法律・法令・公序良俗に反する行為
- 著作権や商標権など第三者の権利の侵害
- 他のユーザーへのなりすまし
- 特定の個人、企業の誹謗中傷
- 事実と異なる発言
- 政治活動、選挙活動、宗教活動など
- 有害なコンピュータープログラム等の投稿
- 他社製品を紹介・宣伝する商業目的のもの
- 本規約及び当社アカウントの趣旨に合わないと判断したもの
個人情報の取り扱い
コミュニティに参加する際に登録する個人情報をどのように扱うかを明確にすることで、コミュニティ参加者に安心感を与えます。
個人情報保護に対する姿勢を示すことで、コミュイティを信頼してもらえるようになります。
また、個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法など)を遵守していることを示すことで、法的な問題から身を守ることも可能です。
[個人情報の取り扱いの例]
- 当社がユーザーから個人情報を取得する場合、当社の「個人情報保護方針」に基づいて適切に取り扱います。
- 個人情報の取扱いについて:https://www.〇〇〇.co.jp/privacy/
運営者情報
コミュニティ運営者が責任を持ちコミュニティを運営していることを示すために、運営者情報を書きましょう。
[運営者情報の例]
- 運営者:〇〇〇株式会社
- 対応時間:平日10:00~18:00(年末年始、祝日、当社が定める休業日を除く)
- 返信:コミュニティに対する全ての投稿に対して返信を行うわけではありません。あらかじめご了承ください。
- 運営期間:予告なく本ページの運営が終了または削除される場合があります。
- お問い合わせ先:コールセンターはこちら
準拠法および裁判管轄
コミュニティ上でトラブルが発生した際に、どのような法律が適用されるかを知るために記載しておきます。
[準拠法および裁判管轄の例]
- 本規約は日本法に準拠します。
- ユーザーと当社の間で紛争が生じた場合は、〇〇地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とします。
コミュニティガイドラインを作成する際のポイント
コミュニティの方針を理解してもらえるコミュニティガイドラインを作成するために4つのポイントを押さえておきましょう。
専門用語を多用しない
コミュニティガイドラインでは、そのコミュニティに即さない専門用語を多用せずにシンプルな言葉で、誰もが理解できるようにしましょう。なぜなら、コミュニティガイドラインはコミュニティルールを守ってもらいながら、交流を楽しんでもらうために存在するためです。
専門用語を多用すると、ルールを理解してもらえない、もしくは解釈の幅が生まれてしまう恐れがあります。そのため、シンプルでわかりやすい言葉を選びましょう。
他社のコミュニティガイドラインを参考にする
コミュニティガイドラインの作成方法に悩んだら、「SNS」「業界団体」「競合他社」のガイドラインを参考にすることをおすすめします。
(1) SNS
YouTubeやX、Instagram、Facebookなど各プラットフォームが公開しているガイドラインは参考になる情報が豊富に掲載されています。
(2) 業界団体
業界団体が公開しているガイドラインを参考にすれば、業界特有の注意事項などを確認できます。
(3) 競合他社
競合他社のコミュニティガイドラインを参考にすれば、より漏れない項目のガイドラインを作成できます。
定期的に見直す
コミュニティガイドラインは作成したら終わりではなく、定期的に見直すことが大切です。なぜなら、関連する法律が改正された場合、ガイドラインも合わせて変更する必要があるためです。
例えば、2024年頃にブロバイダ責任制限法が情報流通プラットフォーム対処法に変わり誹謗中傷等の投稿の削除要請があった場合は調査をして、一定期間内に削除するか否かを通知しなければならなくなります。それに伴い、コミュニティガイドラインを作成し直す必要性も出てくるでしょう。
関連記事:『情報流通プラットフォーム対処法とは?プロバイダ責任制限法からの改正を解説』
また、コミュニティの規模が変化した場合などもガイドラインを見直して調整する必要があります。そのため、少なくとも年に1回はコミュニティガイドラインを見直すようにしましょう。
専門家にアドバイスをもらう
コミュニティガイドラインを作成する際には、弁護士やコンサルタントなど専門家からアドバイスをもらいましょう。なぜなら、コミュニティを運営する上で個人情報保護法や著作権法を遵守する必要があるためです。
法律に関して不安な方は、弁護士に相談することをおすすめします。また、コミュニティを運営する前に、コミュニティに詳しいコンサルタントに相談することもおすすめします。コミュニティは意図せずに炎上してしまう恐れがあるため、適切な方法で運営しましょう。
コミュニティ運用に悩んだら「アディッシュ」
アディッシュ株式会社は、コミュニティ運営やソーシャルリスク管理を得意としている支援会社です。800サービス以上のコミュニティ、SNSを監視しています。炎上対策のためのポリシー策定からシステムと目視による監視により、リスク対策を支援します。そのため、コミュニティ運営やSNS運営で課題を感じている方は当社までお気軽にお問い合わせください。
・提供サービス
サービス | 内容 |
SNS監視 | 企業リスク、プロモーションリスクを監視する |
ソーシャルリスニング | SNSで収集した情報を分析し、ビジネス戦略に反映させる |
動画・動画コメント監視 | 監視して問題のある動画やコメントを早期に発見する |
広告審査(SNS) | 問題となる表現を含むSNS投稿はないか審査する |
広告審査(PR/広告運用事業者向け) | 問題となる表現を含むネット広告はないか審査する |
炎上リスク診断 | 炎上するリスクはないか審査する |
コミュニティサイト・アプリ内監視 | コミュニティサイト・アプリ内を監視する |
メディア運営者向け記事審査 | 記事内に問題となる表現がないかチェックする |
本人確認(KYC)代行 | フリマサービスやマッチングサービス、オンライン決済サービスの本人確認を代行する |
まとめ
コミュニティガイドラインとは、コミュニティルールを守るための指針です。コミュニティガイドラインを作成することで、炎上などのトラブルを防ぎ、コミュニティの品質を保つことができます。この記事では、コミュニティガイドラインの作成方法をわかりやすく解説しました。ぜひ、この記事を参考にしながら、コミュニティガイドラインを作成してみてください。