ネット選挙のリスクを理解しよう
ネット選挙が解禁され、多くの候補者や政党、有権者らがブログやSNSを使って選挙活動を行っています。ネット選挙の効果については「ネット選挙の可能性を米国大統領選挙から考察」で解説しています。
しかし、多くのリスクを抱えているのも事実です。今回は、人気のSNSの一つであるFacebookを中心に、このリスクについて解説します。
ネット選挙の問題点の一つは、参加者がネット選挙に慣れておらず、情報リテラシーがまだ十分でないがゆえに、そのリスクに気づいていないことです。利便性のみが独り歩きし、オフラインでの選挙活動と同じような心配りができていません。
ネット選挙のリスクは、しっかりとした対策によって回避したり対処したりできるものばかりです。内容をきちんと把握しておけば、イメージの悪化や大きな機会損失を回避できるはずです。
参加者をベースに考えると、ネット選挙のリスクは次の3つに大別されます。
ネット選挙の3つのリスク
(1)インターネット掲示板やブログを含むネットユーザー
(2)選挙スタッフの個人的な活動
(3)Facebookなどの公式アカウント(候補者・運営者の活動)
まず(1)については、講演会などのリアルな場面での発言などが、ネット掲示板やブログで大きな話題となるものです。誹謗中傷やデマ情報も多いのですが、発端をコントロールできないという問題もあります。
また、一般のネットユーザーには20歳未満の未成年も含まれます。ネット選挙が解禁されたからと言って、公職選挙法の大前提は変わりません。未成年のユーザーがブログや掲示板に選挙運動メッセージを書き込んだり、候補者の選挙活動の様子をYouTubeなどで紹介したりすることは禁じられています。他人の選挙運動メッセージをFacebookでシェアしたり、Twitterでリツイートしたりすることも禁じられています。これは十分に注意しておきたい事項です。
また(2)は忘れられがちなのですが、候補者のボランティアスタッフなどが個人的に楽しんでいるSNSやブログで発信する情報のことです。法律に反していたり、重要な情報を漏洩していたりするケースもあり、軽視できないリスクの一つです。スタッフへの教育や周知は徹底して行いたいところです。
しかし、やはり最も大きなリスクをはらんでいるのは、(3)の公式アカウント、つまり候補者や政党などの運営者による活動そのものです。
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知らなければ諸刃の剣となるSNS
Facebookは有権者が実名登録している点で、非常に強力なネット選挙の武器となります。しかし、その特性のために、大きな危険もはらんでいます。Facebookによるネット選挙が抱えるリスクも、状況によって次の3つに分けることができます。
Facebookに関する3つのリスク
(1)候補者やスタッフの発言
(2)ユーザーコメントへの対応
(3)Facebook規約違反
(1)については、候補者が不用意な発言を行ってFacebookページやネット掲示板などに膨大な批判のコメントが書き込まれる「炎上」に発展するケースが少なくありません。誹謗中傷やデマ情報などを吸収してさらに広がり、候補者や政党のイメージを大きく損ねてしまいます。
この原因の一つは、「SNSは特定のユーザーに向けたクローズドな環境である」という勘違いです。画面ショットやWebアーカイブといった技術を活用すれば、掲示板やブログなどで容易にその情報を共有することができます。リアルな場面と同等の意識で活用することが重要です。
(2)に関して、SNSの“誰でも書き込める”という特徴は、不適切なコメントによる炎上や風評被害のリスクを抱えています。一方で、真摯な意見をいただいたのにもかかわらず、これを無視して印象を悪くするというケースも考えられます。ユーザーの書き込みを注視し、逐一適切な対応を取る必要があります。
(3)のFecebookの規約については、しっかりと理解していないと大きな機会損失となる可能性があります。特に注意したいのは、次の3つです。
カバー写真に20%以上の文字が含まれる
選挙ポスターなどには、候補者名やキャッチコピーを大きく載せることが一般的ですが、Facebookのカバー写真や広告では禁止されています。
面識のない大勢の人に友だち申請を送る
“悪意のあるスパム行為”と判断され、アカウントを削除されるケースの多い活動です。
Facebookページを実在しないアカウントで運営する
候補者や政党の代表者・担当者などの実在の人物が管理する必要があります。ある人気企業のページが、突如停止されたケースもあります。
日本ではまだまだ発展途上のネット選挙ですが、適切に活用すれば候補者や政党にとって大きな武器となります。利点もリスクも、軽視しないことが重要です。
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