「顧客に見てもらえるオウンドメディアはどうやって作るのだろうか?」「重要な顧客接点であるオウンドメディア運用の注意点は?」と気になっていませんか?
そのような方向けにオウンドメディア運用方法について解説します。この記事では、オウンドメディア運用の手順や成功させるポイントをご紹介しているため、立ち上げ時にお役立てください。
オウンドメディアとは
オウンドメディア(Owned Media)とは、企業または個人が所有・運営するメディアです。
オウンドメディアには、狭義と広義の2通りの意味があります。
狭義では、企業または個人が運営するブログやメディアです。
一方で、広義ではブログやメディアの他、SNSやメルマガ、カタログ、広報誌なども含まれます。
一般的には狭義の意味で使われることが多いです。
本記事でも、そちらの意味で用います。
オウンドメディアは、企業が、制約なく情報発信し、コンテンツとして蓄積、メディア上で読者(=お客様)とコミュニケーションを取れることがメリットととして挙げられることが多いです。
「オウンドメディア」「ペイドメディア」「アーンドメディア」の違い
「オウンドメディア」と比較されるメディアの分類に「ペイドメディア」「アーンドメディア」があります。
・ペイドメディア
ペイドメディア(Paid Media)は、広告主である企業が費用を支払って広告掲載するメディアのことを指します。有名なメディアの広告枠に広告を掲載することで、短期間で認知拡大や購買促進が行えます。しかし、広告出稿期間が終了すると露出機会がなくなるため一時的な効果に留まりやすいです。
・アーンドメディア
アーンドメディア(Earned Media)は、利用者やメディア関係者などの、サービスを提供する企業と直接関わりのない第三者が発信する媒体のことを指します。素晴らしいサービスを提供すれば、無料にて良い口コミ・評判を拡散してもらえることがメリットです。しかし、悪い口コミ・評判も広まる恐れがあるためリスクを伴います。
オウンドメディアの目的
オウンドメディア運用の目的は大きく5つに分けられます。
リード獲得
オウンドメディア上で読者にとって価値ある情報を提供することで、関連サービスの資料請求やお問い合わせに繋げることができます。
例えば、読者が解決したい悩みの解決方法を独自の視点で解説することで、「この企業は信頼できるから相談してみよう」とお問い合わせする方を増やすことができます。
これらのコンテンツは、陳腐かしたものの更新等の工数はかかるものの、一過性のものではなく蓄積することができます。
そのため、広告と比較して、長期的に費用対効果(ROI)を高めることができる可能性があるため、マーケティング予算をオウンドメディアに配分するという流れが見られる企業も一定数増えています。
認知拡大
オウンドメディアの運用により、サービス内容だけに留まらない情報提供をすることで、企業やサービスを知らない潜在顧客との接点を持てる可能性も高くなります。XやFacebookなどのチャネルと連携することで、効果を高くすることも可能です。
ブランディング
オウンドメディア上で、専門性の高いコンテンツを定期的に更新すれば「この企業は信頼できる」「専門性が高い」というブランドイメージを構築することができます。
また、オウンドメディアでブランドストーリーを伝えることも可能です。製品開発のストーリーや製品導入インタビューなどの、ユニークな情報を発信すれことで、企業としてのイメージを構築することができます。
採用力の強化
上記までの目的と一部重なるところもありますが、オウンドメディアは採用力強化に活用することもあります。
オウンドメディアは情報を提供する上で制約を受けません。テキストや画像だけでなく、動画を貼り付けることも可能です。そのため、働く職場やチームの雰囲気を伝えることで「この会社で働きたい」という思いを引き出すことができます。
求職者もオウンドメディアを見ることで、面接や会社概要以外の多角的な情報を元に、入社を決めることができるため、入社後のミスマッチを防ぐ意図で使われることもあります。
直接的な収益化(マネタイズ)
オウンドメディアはコンテンツを通じて読者(=ユーザー)を集めて、収益に結び付けることも可能です。オウンドメディアの直接的な収益化(マネタイズ)には次のような方法があります。
オウンドメディアの収益化の方法
広告収入 | 広告主の広告を掲載して掲載料をもらう |
スポンサーシップ | イベント開催費用をスポンサー企業に負担してもらう |
アフィリエイト収入 | サイト内で商品を紹介して販売手数料をもらう |
商品販売 | オウンドメディア内で商品を販売する |
オウンドメディア運営開始までの手順
1.目的と目標を決める
まずは、オウンドメディア運営の目的を決めます。「リード獲得」「認知拡大」「ブランディング」「採用力の強化」「直接的な収益化(マネタイズ)」のどれを目的とするかを定めましょう。
そして、オウンドメディア運営の指針を示し効果測定できるように、具体的な目標(KPI)を立てます。
例えば、オウンドメディアの目的がリード獲得の場合は「訪問者数」「コンバージョン率」「リード獲得数」「リード獲得単価」等をKPIとして設定するとよいでしょう。
目標(KPI)を立てるときは「Specific(明確性)」「Measurable(計量性)」「Attainable(達成可能性)」「Result-based(関連性)」「Time-oriented(期限)」を意識することが大切です。
2.読者像(ペルソナ)を設定する
オウンドメディアで効果的に集客するめには、ターゲットとなる読者(ペルソナ)を具体的に設定することが大切です。
ペルソナは「年齢層」「性別」のデモグラフィックデータだけではなく、ライフスタイルや価値観、行動パターンなどサイコグラフィックデータを考慮した人物像を指します。
ペルソナを設定し、特定の人に向けてメッセージを送ることで共感が得られやすくなります。
3.サイトのコンセプトを決める
サイトのコンセプトは、メディア全体の方向性を決めるために必要です。
例えば、新入社員の採用を強化するためにオウンドメディアを立ち上げる場合は、これから社会に出る学生向けにキャリアの選択肢を広げる情報を提供する等です。
業界に特化せず、多様なキャリアの選択肢、自由な働き方などの情報を扱えば差別化が図れるかもしれません。このように、読者にどのような情報を提供するのかという大きな方向性を考えます。
4.カスタマージャーニーを描く
ペルソナとサイトコンセプトを決めたら、カスタマージャーニーを描きます。カスタマージャーニーとは、読者(=ユーザー) がメディアに訪れてから、資料請求やお問い合わせ、その後の購買、リピート等の最終着地点に至るまでのプロセスです。
ユーザーがどのような情報を求めて、どのタイミングでオウンドメディアに興味を持つかを理解することにより、どのようなコンテンツを作るべきかを整理できるようになります。
5.キーワードを洗い出す
オウンドメディアへの流入を増やすために、SEO(検索エンジン最適化)の観点から、コンテンツの\キーワードを調査・分析します。
読者がどのようなキーワードで検索するか、どのような課題を持っているかを洗い出し、コンテンツの方向性を決めることが大切です。
キーワード調査ツールを使用して関連性が高く、検索ボリュームがあり、かつ競合性が比較的低いキーワードを洗い出しましょう。
6.コンテンツ制作体制を構築する
オウンドメディアの方向性が決まったら、コンテンツ制作体制を構築します。コンテンツ制作体制は主に4つあるため、自社に合うものを選びましょう。
メリット |
デメリット | |
自社運営 | 外注予算が不要 ノウハウを蓄積できる 専門的内容をカバーできる |
スタッフの確保が必要 教育コストがかかる |
一部の外部委託 (企画:自社、制作:他社) |
制作工数を削減できる 良質なコンテンツを制作できる |
マネジメント業務が必要 信頼できる外注先が必要 |
完全外部委託 | スタッフの確保が不要 他社のノウハウが活用できる |
外注コストがかかる 専門的内容をカバーしにくい ノウハウが蓄積できない |
7.コンテンツを作成する
オウンドメディアのコンテンツは、読者のニーズを満たす有益で信頼性のあるものを作りましょう。テキストだけでなく、インフォグラフィック、動画、ポッドキャストなどを活用して、理解しやすいコンテンツを作ることが大切です。
そして、コンテンツが検索結果で上位表示されるように、SEOを意識したコンテンツ構成や見出し、内部リンクの最適化を図ります。
8.モニタリングする
オウンドメディア上にコンテンツを公開したら、定期的にモニタリングして効果を確認します。
Google AnalyticsやSearch Consoleなどの分析ツールを使用して「「訪問者数(セッション数)」「コンバージョン率」「リード獲得数」を確認します。KPIと照らし合わせて、どのコンテンツが成功しているか、改善が必要かを確認しましょう。
オウンドメディアを成功させるためのポイント
オウンドメディアを成功させるためのポイントは7つあります。
顧客理解を深める
オウンドメディアを成功させるためには、読者がどのような課題、欲求を持っているのか、どのような情報に関心を持っているかを深く理解することが大切です。
そのため、読者に対してアンケートやインタビューを行ったり、アクセス解析ツールで行動データを分析したりして顧客理解を深めましょう。その上で、有用な情報を提供し続けることで、信頼関係を築くことができます。
中長期で計画を立てる
オウンドメディアはSEO対策を行い、コンテンツを上位表示させてアクセスを集めていきます。SEO対策で効果を見込むためには時間がかかります。広告出稿のような即時的な効果は見込めません。
すぐに効果を求めると期待通りの成果が見込めないと挫折してしまいます。このような事態を避けるために、オウンドメディアは中長期の計画を立てて取り組むようにしましょう。
コンテンツ作りが好きな人を採用する
オウンドメディアを成功するためには、コンテンツ作りが好きな人を採用することが大切です。
コンテンツ作りが好きな人は、トレンドに敏感で、読者を惹きつけるコンテンツアイデアを考える等と熱心に取り組んでくれます。試行錯誤しながら改善を行っているため、質の高いコンテンツ作成を好みます。このような熱意がある人を採用することがオウンドメディア運営には欠かせません。
定期的にリライトする
オウンドメディアのコンテンツは作成して公開したら終わりではありません。
陳腐化したり、世の中の変化によって古くなったりする記事は、定期的にリライトすることが大切です。リライトして、情報の新鮮さを保ち、ユーザーにとって有益な情報を提供することで、多くのユーザーに読まれるコンテンツが作れます。
編集会議を開く
編集会議は、チーム全体でアイデアを出し合い、コンテンツの品質をアップするために行うものです。
編集会議では、メンバーが気軽に意見を出し合える環境を整えることが大切です。まずは多くのアイデアを集めて、批判や評価は会議の後半に行うようにしましょう。ライターや編集者同士でフィードバックを共有し合い、記事の質を高めることも大切です。
目的に応じてSNSやメルマガと連携する
オウンドメディアで発信したコンテンツを拡散する場合、SNSやメルマガと連携させましょう。
FacebookやXで、新しい記事がシェアやいいね等をされることで、フォロワー以外にも情報を広げることができます。
また、メルマガで定期的にコンテンツを届けることで、オウンドメディアへのリピート訪問を増やすことができます。メルマガでコンテンツを届ける場合は、読者の興味や行動に基づいてパーソナライズされたものを送りましょう。
オウンドメディアのコメントを監視する
オウンドメディアのコメント監視は、健全なコミュニティを形成するために重要な要素です。オウンドメディアにコメントが付いた場合は、できる限り早く対応しましょう。
ネガティブなコメントであっても、建設的な批判はメディア改善のチャンスと捉えましょう。冷静に対応し、改善できる点があれば対応策を講じる姿勢を見せます。
一方で、荒らしコメントや暴言など、コミュニティの質を低下させるコメントは速やかに削除します。コメントを分析すれば、どのようなコンテンツを作るべきか役立てることが可能です。
オウンドメディア運営でコメント監視する方法について詳しく知りたい場合は、下記の記事をお読みください。
関連記事:『コミュニティサイト運営でコメント監視を行う際に考えるべきこと』
まとめ
オウンドメディアとは、企業が所有・運営するメディアです。オウンドメディア運用の目的は「リード獲得」「認知拡大」「ブランディング」「採用力強化」「直接的な収益化(マネタイズ)」等があります。さまざまな目的で運用するオウンドメディアを成功させるためのポイントは5つです。
近年、インターネット上で炎上することが増えました。炎上すると、企業の価値が落ちて存続不能となることもあります。そのため、オウンドメディアのコンテンツやコメントの炎上リスク対策を行いたいとお考えの方は、アディッシュにご相談ください。