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2020/12/01

最新事例から改めて考えるSNSの投稿リスク〜Instagramのストーリー機能

今やすっかり日常に身近な存在となったSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)。法人での利用増加に伴いソーシャルリスク対策への関心が高まっていますが、従業員による不適切投稿に端を発したトラブルは相変わらず多発しています。企業のリスク対策の観点から従業員個人の行為にどう向き合うべきかーそれを考える参考材料の一環として、今日はインターネットへの投稿の権利侵害に関する最新の判例を紹介します。

従業員によるSNSの投稿が企業に与えるリスクとは

スマートフォンの普及に伴いSNSを利用する人は劇的に増加しました。利用者層や特性を鑑み、目的に応じて複数のSNSを使い分けている人も珍しくありません。誰もがインターネット上に動画や写真、テキスト情報を気軽にアップロードできる環境が整う中で、SNSヘの投稿が原因のトラブルが頻繁に起きるようになりました。個人の不適切な投稿が原因で、投稿者が所属する企業の事業活動やブランドイメージに悪影響を及ぼす事例も出てきています。
 
不適切な投稿の例としては、レストランやホテルの従業員による芸能人の来店・宿泊情報の投稿、あるいは勤務中にアルバイトが悪ふざけをした動画の投稿などが挙げられます。こうした法律や道徳、公序良俗に反する投稿の拡散は、投稿者個人の問題にとどまらず投稿者が所属する企業のイメージが低下し、責任を問う声が上がります。結果的に企業が正式に謝罪するケースは珍しくありません。

従業員による問題投稿については、必ず企業のブランドイメージを低下させるとも影響がないとも言い切れないのが実情です。従業員のSNS利用はプライベートの領域と言われる中、どこまで介入するのかという議論はありますが、万が一の場合に備えて、従業員に対するSNSの利用方法に関する注意喚起やリテラシー教育は必要でしょう。

そこで今回は注意喚起、社内での共有を目的に、Instagram(インスタグラム)のストーリーズに投稿された動画に対する最新の判例をご紹介します。

Instagramのストーリーズ上の動画に著作権・肖像権侵害が認められた ストーリー機能の特徴

画像や短時間の動画を共有するInstagramは、この数年で一気に利用者が増えています。もとは若年層の女性が多い傾向でしたが、普及とともにハッシュタグを活用した情報収集ツールとして幅広い世代に使われるようになりました。2016年8月には24時間で投稿が消えるという「Instagram Stories」機能(以下、ストーリー機能)を実装。これはフィード投稿とは別に写真や動画を投稿したりライブ配信ができる機能で、日本のInstagramユーザー約3300万人(2019年11月時点)のうち約70%が利用していると言われています。

 参考:https://monitor.adish.co.jp/blog/facebook-content/

 

Instagramの投稿で問題になりやすいのが、著作権法違反と肖像権の侵害です。著作権とは創作者の権利を保護する法律で、言葉や文字、形や色、音楽などを用いた表現物を勝手に利用したり複製したりすることを禁止しています。肖像権とは、自己の容貌・風貌についてみだりに他人に撮影されない権利です。出先で撮影した動画や写真に他人の顔が写り込むことは珍しくありませんが、そのままシェアしてしまうと肖像権を侵害する可能性があるので注意が必要です。

どちらの権利も侵害された側からの訴えがないかぎり処罰されませんが、ネット上では本人の意図とは関係なく不特定多数の目に触れる可能性がないとは言い切れません。特にストーリーズは24時間で消えるという特徴ゆえに安易に「大丈夫」と考えがちですが、ここでの画像や動画の無断転載で著作権や肖像権の侵害が行われているケースは少なくないのが実態です。

最新事例の概要

本事例は2020年9月24日に東京地裁で判決が出たものです。原告は夫婦で、夕食に出かけた時に夫が妻を撮った動画をストーリーズにアップロードしました。

その動画の一場面をスクリーンショット(スクショ)で保存した何者かが女性を揶揄するようなコメントを添えて、他の匿名掲示板に転載しました。原告夫婦は掲示板へ投稿した行為が動画を撮影した夫の著作権と妻の肖像権の侵害にあたり、さらには社会的評価を低下させるものだとして、投稿者が契約しているプロバイダに対し発信者情報開示を求めました。

判決のポイント

裁判所はストーリーズの動画は著作物にあたり、今回の投稿は夫である男性の著作権を侵害するものと認めました。また肖像権についても「動画は24時間に限定して保存する態様によって投稿されたもので、その後も継続して公開されることは想定されていなかった」とストーリーズの特性を踏まえつつ、当該画像は私人である女性の私生活の一部であり、利用することに「正当な目的や必要性も認めがたい」と判断し、肖像権侵害も認めました。

 

本来SNSへ写真や動画をアップロードする際、誰にどこまで閲覧されることを容認しているかは投稿者の主観の問題です。実際に被告側は「ネット上にアップした時点で公開されることについて黙示の承認を与えていた」と主張していました。ここでInstagramのストーリー機能の特徴を持ち出して投稿者の意図した公開範囲を判断する材料としたところが本判決の大きなポイントです。

最終的に本判決では、被告の投稿に対してその内容や態様、必要性など総合的に考慮した結果「社会生活上受忍すべき限度を超えるもの」として違法性があるものと解し、発信者情報開示を認めています。

企業のリスク対策担当者が考えるべきこと

今回取り上げた事例からもわかるとおり、ソーシャルリスクは身近なところに潜んでいます。被告からすれば悪ふざけ程度でたまたま使った画像の一つかもしれません。しかし結果的に原告を傷つけ、看過できないものとして訴えられてしまいました。SNSの世界では、何の気なしに自らが他者の権利侵害をしてしまったり、その拡散を助長してしまう危険性があるということを改めて考えるべきではないでしょうか。

 

個人に向けた誹謗中傷や不適切行為、あるいは企業の機密・個人情報の漏洩などが問題投稿であることは言わずもがなですが、従業員が本件のように軽率な投稿で大きなトラブルを引き起こすリスクがないとは断言できません。従業員のSNS利用というプライベートの領域に会社として踏み込んだ規制を行うのはなかなか難しいものですが、明確な社内ルールを作成し周知徹底することで、SNSの問題投稿を未然に防ぐよう働きかけることが大切です。

それには従業員全体のリテラシー向上のためにSNS利用のガイドラインを作り、研修機会などを利用して周知徹底すること、そして就業規則にも禁止規定を設けることが必要です。違反があった場合の処分を明確にし、研修時に説明を行うことで、各自が意識しやすくなるでしょう。まずは不適切投稿をさせないような体制整備、取組みが必須です。

それでももし問題が発生した場合には、企業は迅速に適切な対応を取る必要があります。この場合、問題投稿と投稿者の特定は早ければ早いほど傷を広げずにすみます。問題投稿の存在を見逃さないためにも、日頃から自社名や事業名、商品名などでソーシャルリスニングを行い注意を向けておくことも大切です。

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