「コミュニティを運営する上でコミュニティマネージャーが必要だと聞くけれど、どのような人が向いているのだろうか?」「コミュニティマネージャーには、どのようなスキルを習得させるべきか?」と疑問を抱えていませんか?
今回はコミュニティマネージャーについて詳しく解説します。この記事を読めば、コミュニティマネージャーの仕事内容、スキル、向いている人が理解できるようになります。
コミュニティマネージャーとは
コミュニティマネージャー(Community Manager)とは、コミュニティを通して人と人をつなぎ、新しい価値を生み出す仕事です。
コミュニティマネージャーの役割は、コミュニティの活性化や健全化のための施策や監視を行うことです。職務内容は「コミュニティ戦略の立案」「コミュニティ立ち上げの実務」「コミュニティ運営・管理」となります。コミュニティマネージャーがコミュニティに介在することで、より質の高い価値が生まれます。
[コミュニティの価値]
- 自社の製品やサービスのコアなファンを育成できる
- 顧客ニーズを把握した上で製品、サービス開発を行える
- コミュニティ参加者同士が意見交換するため、カスタマーサポート業務の負担を削減できる
企業が運営するコミュニティには、ユーザーコミュニティとファンコミュニティがあります。2つのコミュニティの運営方法について詳しく知りたい方は、下記の記事をお読みください。
関連記事:『ユーザーコミュニティとは?メリットや注意点、作り方まで解説』
関連記事:『ファンコミュニティとは?効果が見込めるコミュニティの運用方法や成功事例を紹介』
コミュニティに関するその他の職種との違い
コミュニティに関する職種は「コミュニティコンサルタント」「コミュニティデザイナー」「コミュニティファシリエーター」「コミュニティビルダー」「コミュニティマーケター」もあります。大きな違いは業務範囲です。しかし、業務範囲が明確に区分されていないケースが大半です。
コミュニティコンサルタント | 参加者が興味・関心を持つテーマを調査する コミュニティ形成前の調査、提案を行う |
コミュニティデザイナー | コミュニティの場をデザインする 理想的なコミュニティの形をデザインする |
コミュニティファシリエーター | コミュニティ内の議論を円滑に進める メンバーが自分の意見を出しやすい環境作りを行う |
コミュニティビルダー | 参加者が集まるコミュニティを育てる |
コミュニティマーケター | コミュニティの新規メンバーを獲得する コミュニティ認知度向上を目的としたマーケティング活動を行う |
コミュニティマネージャーの種類
コミュニティマネージャーには「組織活性型」「生活創出型」「顧客獲得型」「商品企画型」の4種類があります。種類によりコミュニティマネージャーの役割は変わります。
組織活性型
組織活性型とは、企業や組織内のコミュニティを活性化させてエンゲージメントを向上し、一人一人が主体的に動く状態を作るためのコミュニティをいいます。社内コミュニティなど、同じ目的を持った人が集まるコミュニティで、イベント開催や会報誌の配布などでエンゲージメントを高めます。
引用:『Relo健康サポートアプリ』
積水化学工業株式会社は、従業員同士のコミュニティ活性化を目指して「Relo健康サポートアプリ」を導入しました。社内で「今日、どれぐらい歩いた?」と健康に興味がある人同士のコミュニケーションを増やすことに成功しました。
生活創出型
生活創出型とは、コミュニティを通じて人々の生活に新たな価値を生み出し、より豊かな生活を創出するためのコミュニティです。自治体や商店街などは地域住民と会話して、地域が抱える問題を解決しています。まちづくりに市民の声を反映させる動きも出てきており、生活創出型のコミュニティが増えてきています。
引用:『大田区商店街連合会』
商店街数が多い大田区では、子どもに職業体験を提供するなどの場が提供されており、地域活性化が図られています。
顧客獲得型
顧客獲得型とは、コミュニティ内でお客様と交流を図り、顧客ロイヤリティ高めるためのコミュニティです。潜在顧客や既存顧客が参加したいと思うイベントを企画・運営します。
マツダ株式会社は「倶楽部MAZDA SPIRIT RACING」を運営し、「RX−8」や「ロードスター」などのモータースポーツ好きの人を集めることに成功しています。コミュニティ立ち上げて半年後に公式グッズの販売を始めたところ、完売になるほどの人気を集めました。コミュニティを通じて、多くの顧客獲得に成功しています。
商品企画型
商品企画型とは、コミュニティメンバーの声を聞いてフィードバックを基に商品企画・サービス改善するためのコミュニティです。顧客との共創を通して、より良い商品を生み出すことを目指します。ユーザーの声を反映した製品を開発すれば、ヒット商品が生まれやすくなります。
引用:『IDEA PARK』
無印良品はものづくりコミュニティ「IDEA PARK」上で、お客様参加型の商品開発を行い「体にフィットするソファ」などヒット商品を生み出しました。
コミュニティマネージャーの仕事内容
コミュニティマネージャーの仕事内容は主に3つあります。
コミュニティ戦略の立案
コミュニティ戦略とは、コミュニティの目標を定めて、オーディエンスやブランドについて検討することをいいます。
コミュニティ参加者の属性(年齢・性別・住まい・興味関心)を明確にした上で、どのような情報提供、イベント企画・運営すればアクティブに参加してもらえるかを考えます。(※コミュニティ戦略を立てる際は、コミュニティの成功を測る評価指標も併せて設定しましょう。)
コミュニティ立ち上げの実務
コミュニティ立ち上げでは、コミュニティ運営するためのプラットフォームを選びます。プラットフォームは目的を達成できるものを選びましょう。さらに、コミュニティ上の投稿のガイドライン、禁止事項などの、運営に必要なルールを定めます。
コミュニティへの新規参加者に送るウェルカムメッセージや、顧客の声を拾うアンケートなどの事前にそろえるべきものの準備ができたら、コミュニティの存在を広く周知します。
コミュニティ運営・管理
コミュニティ運営・管理では、コミュニティ参加者同士が話しやすくなるように働きかけます。
例えば、コミュニティに新しく参加してくれた人に自己紹介を促したり、イベントを企画・運営したりします。また、コミュニティが炎上しないかをモニタリングすることも大切です。
企業がコミュニティ運営する際に行いたい炎上対策について詳しく知りたい方は、下記の記事をお読みください。
関連記事:『企業の炎上対策は何をすべき?事例と予防する方法を解説』
コミュニティマネージャーに求められるスキル
コミュニティマネージャーに求められるスキルは主に6つあります。
コミュニケーション能力
コミュニティマネージャーは、多様な人々と関わり、コミュニティを活性化させる役割を担うため、コミュニケーション能力が不可欠です。
例えば、コミュニティメンバー間でトラブルが発生した場合は交渉や説得をしなければいけません。また、メンバーが希望するイベントをヒアリングして企画・立案などをします。そのため、コミュニティ参加者と良好な関係を築くためのコミュニケーション能力が求められます。
プロモーションやデータ分析などのスキル
コミュニティマネージャーは、マーケティングスキルを活用してコミュニティを活性化させる必要があります。単純にコミュニティを運営するだけでなく、コミュニティを成長させて目標達成に貢献します。
コミュニティの規模を拡大し、より多くのメンバーに参加してもらうためにはマーケティング戦略を考えなければいけません。また、コミュニティデータ(ユーザーの行動履歴など)を分析して、どのような施策を打ち出すべきかを考えます。つまり、プロモーションやデータ分析などのスキルが求められます。
サポートスキル
コミュニティマネージャーは多様なメンバーと関わり、質問に回答しなければいけないため、高いサポートスキルが必要です。コミュニティ参加者の疑問や困り事に対して回答します。質問数が多い場合はFAQを作成するとよいでしょう。
また、コミュニティのルールの周知や、新規メンバーの参加支援なども行うためサポートスキルが求められます。
コミュニティ運用知識
コミュニティマネージャーはコミュニティ運用のノウハウを磨いておきましょう。
コミュニティ運用は継続することが大切です。コミュニティ内で定期的にイベントが開催できなくなるとユーザーの離脱に繋がってしまいます。そのため、イベント開催や情報提供の頻度を決めて、コミュニティ運営を習慣化していくことが大切です。
また、コミュニティは炎上する可能性があります。そのため、炎上対策などの知識も身に付けておきましょう。
マネジメントスキル
コミュニティ運営は複数のタスクを同時に行わなければいけません。
例えば、コミュニティ参加申し込みがあった場合は審査を行います。また、コミュニティ参加者から問い合わせがあった場合はスピーディーに回答しなければいけません。さらに、満足してもらえるようにイベントを開催する必要があります。このように複数のタスクを同時に行う必要があるため、マネジメントスキルが求められます。
ITリテラシー
オンライン上でコミュニティを運営する場合は、ITリテラシーが求められます。
ITリテラシーとは、ネットワーク・セキュリティに関する知識です。コミュニティツールを適切に使いこなす方法や、コミュニティの安全性を確保するためのセキュリティに関する知識が身に付けましょう。万が一、情報を漏洩してしまうと、コミュニティ参加者からの信頼を失ってしまうことになるため細心の注意を払いましょう。
コミュニティマネージャーに向いている人
コミュニティマネージャーに向いている人には3つの特徴があります。
積極的に行動やコミュニケーションができる人
コミュニティマネージャーは、コミュニティを円滑に運営するだけでなく、成長させていく役割を担います。この役割を果たすためには、単に指示されたことをこなすだけでなく、自ら積極的に行動していくことが必要です。
例えば、新しいイベントを立案して実行したり、問題が発生した際には解決したりします。そのため、積極的に行動できる人がコミュニティマネージャーに向いています。
相手の気持ちを汲み取ることが得意な人
コミュニティマネージャーはコミュニティメンバーの考えや気持ちを理解してあげる能力が求められます。なぜなら、相手の気持ちを汲み取ることで、コミュニティ参加者と信頼関係を築けるようになるためです。
信頼関係を築くことで、メンバーは安心してコミュニティに参加できるようになり、多様な意見が出てくるようになります。このように、コミュニティ活性化が行えるため、相手の気持ちを汲み取ることが得意な人もコミュニティマネージャーに向いています。
中長期的な視点を持って取り組むことができる人
コミュニティは短期間で構築できるものではありません。コミュニティを立ち上げてから軌道に乗るまでに、時間がかかるため、中長期的なプランニングが必要です。そのため、長期的な視点を持ってコミュニティを見つめることが求められます。
短期的な成果を求めすぎて、コミュニティメンバーが有意義な場だと感じなくなることは避けなければなりません。そのため、中長期的に取り組むことができる人もコミュニティマネージャーに向いています。
コミュニティマネージャーの求人例・年収
コミュニティマネージャーの募集をする際は、他社の求人票を見て仕事内容や年収を参考にすることをおすすめします。コミュニティマネージャーの求人例を載せているため、参考にしてみてください。
職種 | コミュニティマネージャー |
年収 | 500~850万円 |
仕事内容 |
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使用ツール |
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※年収は8月17日時点の、indeedで「コミュニティマネージャー」の募集で出ていた年収の下限値と上限値を表示しています。
まとめ
今回はコミュニティマネージャーの仕事内容やスキルをご紹介しました。より良いコミュニティをつくるためには、コミュニティマネージャーは欠かせません。そのため、この記事を参考にしながら、適材な人材をコミュニティマネージャーに起用してみてください。