「ユーザーコミュニティを運営する企業が増えてきているけれど、どのようなメリットがあるのだろう…」「ユーザーコミュニティの作り方がわからない…」とお悩みを抱えていませんか?そのような方向けに、今回はユーザーコミュニティについて解説します。
この記事では、ユーザーコミュニティの必要性について記載しています。また成功事例等も紹介しているので、ユーザーコミュニティを検討する際にお役立てください。
ユーザーコミュニティとは
出典元:『Googleアカウントヘルプ』
ユーザーコミュニティとは、ユーザー同士がサービスに関して情報交換する場をいいます。
例えば、Google社はGoogleアカウントに関するユーザーコミュニティを運営しており、ユーザーが質問を投稿すれば、別のユーザーが回答してくれるようになっています。このようなコミュニティを運営することで、ユーザーの満足度向上と共に、自社カスタマーサポートの業務負荷を軽減しているのです。
ユーザーコミュニティはサイト運営が一般的ですが、SNSコミュニティやオフラインイベントをメインとしたものなど、さまざまなコミュニティがあります。
ユーザーコミュニティの実施率は約4割
コミューン株式会社のプレリリースによると、国内の企業に勤めるビジネスパーソンの内、顧客と接点を持つ業務に従事している方の約4割がコミュニティ施策を実施済みで、検討中または興味がある方は約3割となっています。多くの企業がユーザーコミュニティを運営して既存顧客と良好な関係を築きたいと考えていることがわかります。
<出典元>コミューン株式会社プレリリース コミュニティに関する実態調査
ユーザーコミュニティを立ち上げるメリット
ユーザーコミュニティを立ち上げるメリットは大きく分けて3つあります。
1.コアなファンを育成できる
コミュニティ上でユーザー同士が交流すれば、仲間意識が芽生えるようになります。
従来はサービスを購入・利用するのみのユーザーでしたが、コミュニティがあると、サービスに対する意見を交換し合えるようになります。ユーザー同士で意見交換し合う過程で、サービスに対する愛着や信頼、つまり顧客ロイヤリティを向上できることがあります。
顧客ロイヤリティが向上すれば、ユーザーが家族や友人にサービスを薦めてくれるようになり、新規顧客を獲得しやすくなります。また、ユーザーが継続してサービスを購入してくれるなど、さまざまなメリットが得られます。
2.顧客ニーズを把握できる
ユーザーコミュニティ上でユーザーの声を聞くことができるのも、メリットの1つです。
例えば、無印良品では顧客の声を聞いて商品を開発するために「IDEA PARK(旧:ものづくりコミュニティ)」の運営を始めました。
出典元:『IDEA PARK』
IDEA PARKでは、ユーザーが商品アイデアを投稿できたり、魅力的だと思うアイデアに投票できたりします。そして、投票数が多いアイデアを商品化してロングセラー商品を生み出しているのです。このように、顧客ニーズを把握した上で商品開発ができるようになることもメリットです。
3.カスタマーサポートの負担を削減できる
コミュニティ上で、ユーザー同士が意見交換できれば、コミュニティ内で悩みを解決できます。つまり、カスタマーサポートの負担削減につながります。
カスタマーサポートはクレームの対応や、幅広い知識の習得等の他業務も多く、想像以上に負荷が高いです。ユーザーコミュニティを運営してカスタマーサポートの負担を削減できれば、担当者の満足度に繋がり長く働いてもらえるようになります。
ユーザーコミュニティを立ち上げる際の注意点
ユーザーコミュニティを立ち上げる際の注意点は4つあります。
効果が出るまでには時間が必要
経営陣がコミュニティ運営は長期的な視野で取り組むことが大事だと認識しないと、失敗するケースがあります。
ユーザーコミュニティを立ち上げてから、コアなユーザーが増えるまでには一定の時間が必要です。
例えば、コミュニティの担当者数人でオフラインで、地道にコアなユーザーや文化を醸成する場合は、3ヵ月に1回、数十人程度の小規模イベントを開催するので精一杯なケースが多いです。その場合、最初の1年間で親睦を深められるのは、せいぜい100名程度でしょう。親睦を深めたユーザーがサービスに対する愛着を持つようになり、口コミで広めてくれるまでとなると、より時間がかかります。
サービスにもよりますが、立ち上げ期に、Web広告を始めとするオンライン施策でコミュニティ参加者を増やしてしまうと、自社サービスへの愛着が必ずしも高い訳ではないユーザーを集めてしまう恐れがあります。そのため、コミュニティの文化を醸成する立ち上げ期には、時間はかかりますが、地道でオフラインでの活動をする方が、良いケースもあります。
効果の可視化に工夫が必要
ユーザーコミュニティの運営が売上に直結するケースは多くありません。ユーザーコミュニティの目的はCX(カスタマー・エクスペリエンス)の向上であり、結果として継続率やリピート購入率が高くなるという構図です。サービスがコモディティ化する中、差別化となり、企業競争力は上がりますが、事前に仕込まないと、コミュニティを起因とした売上を計測できません。
そのため、準備をしていないと、見かけ上のROIが悪いとなり、育ち始めたコミュニティの運用停止につながってしまう恐れがあります。
コミュニティ運営には多くのリソースがか必要
ユーザーコミュニティを運営するためには、リソースが必要です。コミュニティサイトの立ち上げをはじめ、コミュニティ運営や、文化醸成や参加者の満足度向上のために、ルール違反等に対応する監視等を行う必要があります。そのため、ユーザーコミュニティを立ち上げる際は、運営までを見据えてリソースを確保しておきましょう。
ユーザートラブルのリスクがある
ユーザーコミュニティに参加する人は、ポジティブな意見を持っている人のみではありません。ユーザーコミュニティ参加者の中にはネガティブな意見を持っている人もいるでしょう。また、コミュニティサイトの利用規約を読んで忠実に守ってくれるユーザーばかりではありません。
アディッシュが独自調査したところ、自社のコミュニティ運営に課題があると回答した企業は72.8%に及ぶことがわかりました。
上のグラフが回答された、コミュニティ運営における課題です。コミュニティを運営すると誹謗中傷や規約違反投稿、出会い目的ユーザーの出現などのリスクがあるため、対応するために、監視等の策を講じる様にしましょう。
ユーザーコミュニティの作り方
ユーザーコミュニティを立ち上げるには、大きく4STEPが必要です。
1.コミュニティの目的やKPIを関係者と握る
最初にユーザーコミュニティを運営する目的を考えましょう。なぜなら、目的によってコミュニティデザインが変わるためです。
カスタマーサポート業務の負荷軽減をしたい場合は、質問と回答をしやすいコミュニティを立ち上げた方がよいでしょう。その一方で、顧客の声を聞いてサービス開発を行いたい場合は、レビューを書きやすいUIのコミュニティを立ち上げる必要があります。
コミュニティの目的を定めたら、KPIとルールを定めておきましょう。
コミュニティ運営のKPIには「コンテンツ投稿数」「アクティブメンバー数」「質問に対する回答数」があります。
2.コミュニティの核となるユーザーを選定する
ユーザーコミュニティを成功させるためには、コミュニティの核となるユーザーを招待できるかどうかが極めて重要となります。そのため、どのような人がロイヤル顧客に向いているか考え、ペルソナ(顧客プロファイル)を作成しましょう。
そして、該当する人をコミュニティのコアメンバーとして招待し、最初はコアメンバー同士でコミュニティを楽しんでもらいます。
3.コミュニティを拡張する
コアメンバー同士でのコミュニティ運営が軌道に乗ったら、少しずつコミュニティを拡張していきましょう。コミュニティを拡張する際は、自社商品の購入頻度が高いなどロイヤリティが高い人から優先的に、コミュニティへの参加の案内をしていくことが大切です。
4.コミュニティ運営の状況を分析して改善する
コミュニティ運営の状況は定期的に分析して改善しましょう。コミュニティ運営の分析では、以下のような分析を行います。
- ユーザータイプのバランス分析:どのようなユーザーがコミュニティに参加しているかを分析する
- PLHM分析:ユーザー同士の交流頻度を分析して活性化度合を分析する
- キーワードマップ分析:どのようなキーワードが多いかを分析する
コミュニティ運営の状況を分析して改善すれば、コミュニティ参加者の顧客ロイヤルを向上できます。
ユーザーコミュニティ運営を成功させるコツ
ユーザーコミュニティ運営を成功させるコツは4つあります。
コミュニティツールを活用する
引用:『comuune』
ユーザーコミュニティサイトの立ち上げに時間がかかってしまい、効率化したいと感じた場合は、communeなどのコミュニティツールを利用しましょう。自社の目的に合っているツールを活用すれば、短時間でコミュニティサイトを立ち上げられます。また、コミュニティサイトの運営、サポート、改善も効率化できます。
楽しめる企画を用意する
コミュニティ参加者に楽しんでもらう企画を用意する必要があります。
例えば、スープ好きのユーザーが参加する「じっくりコトコト」は、ユーザーの中から募ったアンバサダーにクリスマスにサンタに扮してもらい、温かいスープを届ける企画を用意しました。
出典元:『じっくりコトコトファンコミュニティ』
サンタになってもらうアンバサダーを募集したところ、アンバサダー50名の募集に対して1,000名を超える応募があったそうです。たくさんの人に応募してもらえた理由は、かわいいサンタ袋やクリスマスカードをオリジナルで作り話題を集められたためです。このようにユーザーが楽しめる企画を用意することが必要です。
ユーザーに喜んでもらえるネットコミュニティ設計については、下記の記事で詳しく解説しています。
関連記事:『ネットコミュニティ設計に必須な3つの視点』
ユーザーコミュニティをモニタリングする
ユーザーコミュニティでは、誹謗中傷や利用規約違反行為などが起きます。参加者にコミュニティを楽しんでもらうためにも、ユーザーコミュニティをモニタリングして、利用規約違反行為を見つけたら即座に対応することが大切です。
ユーザーコミュニティは24時間365日運営のため、モニタリングは大変かもしれません。
しかし、ユーザーコミュニティ支援会社に相談すれば、モニタリング業務を委託することもできます。コミュニティサイト運営でコメント監視を行う際のポイントについては、下記の記事で詳しく解説しています。
関連記事:『コミュニティサイト運営でコメント監視を行う際に考えるべきこと』
>>モニタリングソリューション「MONI」の詳細情報はコチラ
ユーザーコミュニティの設計・運用支援会社へ相談する
ユーザーコミュニティを立ち上げようと思っても、どのようなコミュニティサイトを立ち上げるべきか悩んでしまうかもしれません。また、コミュニティ参加者の募り方に苦戦するケースも多いです。そのため、初めてユーザーコミュニティを立ち上げる場合は、実績を豊富に持つユーザーコミュニティの設計や運用を支援する会社へ相談しましょう。
ユーザーコミュニティの成功事例
実際に他企業では、どのようなコミュニティを運営しているのでしょうか?ここでは、アディッシュがコミュニティ運営支援に携わっているユーザーコミュニティの成功事例をご紹介します。
株式会社インターエデュ・ドットコム
出典元:『インターエデュ・ドットコム』
株式会社インターエデュ・ドットコムは受験・教育に関する3つの事業(ソリューション事業・メディア事業・HR事業)を展開する企業様です。2000年に受験情報サイト「インターエデュ・ドットコム」を開設し、受験にまつわる悩みを解決し、さらに学校や塾の評判を知ることができるコミュニティの運営を始めています。
はじめての子どもの受験に戸惑う悩みに先輩ママがアドバイスする、各自の教育観を主張しあったりする等の場の提供を行い、成功しました。顧客ロイヤリティが高まったコミュニティユーザーに対して受験情報を提供したり、おすすめの受験教材を紹介したりすることで、売上拡大に成功しています。
インターエデュ・ドットコムのコミュニティ運営状況を24時間体制でチェックする業務をアディッシュがサポートさせて頂いていました。
>>株式会社インターエデュ・ドットコム様のコミュニティに関する取り組みはコチラ
株式会社QVCジャパン
引用:『QVC』
QVCは24時間テレビショッピングを放送する専門チャンネルです。アメリカ、イギリス、ドイツ、イタリア、中国、日本などでテレビショッピングを放送するなど業績を順調に伸ばしています。
株式会社QVCジャパンのECサイトでは、商品レビューや商品Q&Aの投稿が可能です。
当社がECサイト上の商品レビューを、ポジティブまたはネガティブ等に分類し、関係者に共有する等の分析をサポートしています。結果として、それらの声が商品の改善につながり、テレビ視聴者が満足できる商品を届けることにつながっています。
ANYCOLOR株式会社
出典元:『にじさんじ』
ANYCOLOR株式会社はバーチャルライバープロジェクト「にじさんじプロジェクト」を運営する会社です。にじさんじのファンにより売上、利益共に大幅成長しています。
にじさんじのYouTubeチャンネルは、「にじさんじのB級バラエティ(仮)」「NIJIBAN」などを放映しており、登録者149万人を突破。動画のコメント欄をあけて、ユーザー同士のコミュケーションができるようにしています。また、有料メンバーシップ会員限定の動画を用意しており、コアなファンの獲得に成功しています。
炎上や権利侵害などの対策として、配信動画のチェックする業務をアディッシュがサポートさせて頂いています。
>>ANYCOLOR株式会社様のコミュニティに関する取り組みはコチラ
まとめ
ユーザー同士が商品やサービスに関して情報交換するユーザーコミュニティを立ち上げれば、コアなファンの育成や、カスタマーサポートの負担軽減をすることができます。また、顧客ニーズを把握した上で商品の開発、改善することも可能です。
ユーザーコミュニティには、さまざまなメリットがあるため、取り組む企業が増えてきています。この記事を読み、ユーザーコミュニティに興味を持った方は、これを機会に取り組んでみてください。
アディッシュはコミュニティ内投稿ルールやガイドラインの策定、ユーザーコメントの24時間体制での監視等の対応をしております。
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